営業ノウハウ

展示会の費用対効果を最大化する架電設計

公開 2026.02.09更新 2026.09.24読了目安 12分

この記事でわかること

  • 展示会リードを「接点の深さ」で4分類する方法
  • 分類ごとの架電の目的と、そのまま使えるトーク例
  • メールを使わずに展示会ROIを最大化する数値管理のやり方

展示会は短期間でリードが増える一方、「名刺は集まったのに商談にならない」「フォローが追いつかず放置になる」が必ず起きます。

この問題は頑張り不足ではなく、架電の設計不足で起きます。展示会リードは温度感が混ざるので、同じ追い方をすると必ずズレます。

本記事では、メールは一切使わず、架電だけでROIを最大化するやり方に落とします。

1. まず前提:展示会リードは「接点の深さ」で4分類します

展示会リードは、接点の深さで次の4種類に分けられます。深いほど商談化しやすい一方で、実態は接点が薄いリード(③④)が多くなりがちです。

  • ① 深い会話:10分以上会話し、課題・ニーズを把握/次アクションが明確 → 目的:次の約束(日程打診)を取る
  • ② 軽い会話:立ち話・資料説明中心で、ニーズ未確定 → 目的:深掘り or 担当部署の確定
  • ③ 名刺交換のみ:挨拶程度/内容理解が薄い(でも宝の山) → 目的:担当判定 → 担当外なら部署を振り直す
  • ④ QRのみ:会話ゼロで最も薄い(ただし母数として価値あり) → 目的:追いすぎず、拾えるものだけ拾う
展示会リードを接点の深さで4分類した図
図1:展示会リードの4分類。分類ごとに「架電の目的」を変えることが設計の肝になります。

POINT

展示会フォローは、①〜④で「架電の目的」を変えないと勝てません。

2. 多くの企業がハマる3つの問題

展示会投資が効かなくなる原因は、だいたいこの3つがセットで起きています。

  1. フォロー対象の偏り(①②だけ追って、③④は未フォロー)
    → 商談母数が慢性的に不足します。
  2. リソース不足で商談数が足りない
    → 育成すべき層に手が回らず、見込みが積み上がりません。
  3. 対象部署外の担当者が多い
    → 名刺交換した相手が意思決定者ではなく、取次ぎが進まず工数だけ消えます。

3つめが本記事の肝です。展示会で交換した名刺やQR登録には、すでに会社名・部署・氏名が入っています。それでも商談が進まないのは、その部署が今回売りたい商材の担当部署とは限らないからです。

3. 架電だけで回す:①〜④の目的と台本を固定します

台本に入る前に、前提を1つ揃えます。展示会リードは「部署が分からない」状態ではありません。名刺にもQR登録フォームにも、会社名・部署・氏名は入っています。

それでも架電が空振りするのは、取得できている部署が、今回売りたい商材の担当部署とは限らないからです。展示会には情シス・総務・広報・人事など、その商材の決裁とは無関係の来場者も多く含まれます。

つまり、架電でやることは「部署を聞き出すこと」ではありません。取得済みの部署が担当かどうかを判定し、違ったときだけ正しい部署へ振り直すことです。担当部署の確認が必要になるのは、この「担当違い」のケースだけです。

取得済みの部署が担当部署かを判定し、担当外のときだけ部署を振り直す分岐図
図2:架電の分岐。水色の線が付いた「担当外」のときだけ、部署の確認(部署ルーティング)が発生します。

①(深い会話):目的=「次の約束」を取る

①は最優先です。ここは迷わず日程打診まで必ず行きます。日程打診をしないのは「ゴール前まで行ってシュートを打たない」のと同じです。

Yes/Noではなく、A or Bで聞くと前に進みやすいです。

①への電話(例)

「先日の◯◯展示会でお時間いただきありがとうございました。当日お話していた◯◯の件、1点だけ確認したいことがありまして。もしよろしければ15分だけお時間いただけますか。来週だと木曜か金曜、どちらが取りやすいですか?」

②(軽い会話):目的=「深掘り」or「担当部署確定」

②は説明電話をすると失敗します。目的は1つだけ、次の一歩に進めるための確認です。

②も部署は分かっているので、聞くのは「その方の管轄で合っているか」です。合っていれば深掘りして①に引き上げ、外れていればそこで初めて正しい部署を聞きます。

②への電話(例)

「展示会で少しだけお話した件で、確認だけさせてください。◯◯の領域は、◯◯様の部署の管轄で合っていますでしょうか?」
(外れていた場合)「では、そちらは御社だとどの部署の管轄になりますか?」

③(名刺交換のみ):目的=「担当かどうかを判定し、違えば振り直す」

③は会話が浅いだけで、名刺がある以上、会社名・部署・氏名はすでに手元にあります。だから最初にやるのは部署の聞き出しではなく、当たり判定です。名刺の部署が売りたい商材の担当なら、そのまま本人と話を進めます。

部署ルーティング(正しい部署と担当者を取りに行く動き)が必要になるのは、当たり判定が外れたときだけです。そのケースでの成果は、次のどれかが取れればOKです。

  • 正しい担当部署名が分かった
  • その部署の担当者名(できれば役職も)が分かった
  • 取次ルート(代表→部署名→担当者名)が作れた

ステップ1で当たれば、ステップ2・3は不要です。全件に部署確認をかけないでください。担当本人に「どの部署が担当ですか」と聞くと、かえって不信感を与えます。

ステップ0
正当性を出す(冒頭10秒)「先日の◯◯展示会で名刺交換した件でご連絡しました」
ステップ1当たり判定
名刺の部署が担当で合っているかを確認する「◯◯の領域は、◯◯様の部署の管轄で合っていますでしょうか?」
→ 合っていれば、ここで終わり。そのまま深掘り・日程打診に進みます(ステップ2・3は不要)。
ステップ2外れたときだけ
正しい担当部署を聞く「失礼しました。では、そちらは御社だとどの部署の管轄になりますか?」
ステップ3外れたときだけ
担当者名(難しければ役職)と、次の行き先を確定する「その部署のご担当者様のお名前も伺えますか?難しければ役職だけでも大丈夫です」
「では、◯◯部の◯◯様宛てに改めてお電話します。お取次ぎの際に展示会で名刺交換済みと一言添えていただけますか」

③ パターン別アクション(名刺の部署で振り分ける)

③-1名刺の部署が、売りたい商材の担当部署と一致している
  • アクション:部署確認は不要。本人に架電して、そのまま深掘り・日程打診へ
  • ステップ1の当たり判定だけ入れて、Yesならすぐ本題に移ります
③-2名刺の部署が明らかに担当外(総務/情シス/広報/人事など)
  • アクション:ここが部署ルーティングの本番。商談ではなく「正しい部署名の回収」がゴール
  • フロー:正しい部署名 →(聞けたら)担当者名・役職
    「展示会でご挨拶した件です。◯◯の領域は、御社だとどちらの部署が担当になりますか?」
③-3名刺の部署名からは担当かどうか判断がつかない(事業部名だけ、役職のみ等)
  • アクション:当たり判定の一言で切り分けてから、③-1か③-2の動きに入る
  • 「◯◯の領域は、◯◯様の管轄で合っていますでしょうか?」
③-4担当外と分かったが、正しい部署名まで聞き出せなかった
  • アクション:本人依存をやめ、代表番号にかけ直して部署名だけ回収する
  • 「展示会でご挨拶した件で、◯◯関連の担当部署だけ伺えますか?」
    部署に着地できれば、その部署へ直接かけて担当者名を取ります

POINT

③で失敗するのは、全件に「担当部署はどちらですか」と聞いてしまうケースです。部署は分かっているのだから、まず当たり判定。外れた分だけを振り直せば、工数も相手の警戒心も最小で済みます。

④(QRのみ):目的=「追いすぎず、拾えるものだけ拾う」

④もQR登録フォームから会社名・部署・氏名は取れています。薄いのは情報ではなく、会話がゼロであることです。だから③と同じく、まず当たり判定から入ります。目的は次のいずれかです。

  • 登録された部署が担当で合っているかを判定する
  • 担当外だった場合に、正しい部署(取れれば担当者名)を回収する
  • 温度感(今期/来期/未定)を一言で把握する

④は「なぜ連絡?」が起きやすいので、入口の説明が重要です。

ステップ0
QR登録の事実+売り込みではない旨を伝える「先日の◯◯展示会で、弊社ブースのQRから情報登録いただいた件でご連絡しました」
ステップ1当たり判定
登録された部署が担当で合っているかを確認する「◯◯の領域は、◯◯様の部署の管轄で合っていますでしょうか?」
→ 合っていれば、そのまま温度感を1問だけ聞いて終えます。
ステップ2外れたときだけ
正しい部署と、取れれば担当者名「では、そちらは御社だとどの部署の管轄になりますか?」
「その部署のご担当者様のお名前も伺えますか?難しければ役職だけでも大丈夫です」
ステップ3
温度感を1問だけ(必要なときだけ)「ちなみにこのテーマ、今期で検討の可能性はありますか?それとも来期以降でしょうか?」

④は軽く・短くが基本です。説明を始めると一気に営業電話化します。

④ パターン別アクション

状況アクション入り口のトーク
④-1
登録部署が担当と一致
部署確認は不要。当たり判定がYesなら、そのまま温度感を一言だけ聞いて終える「◯◯の領域は、◯◯様の管轄で合っていますでしょうか?」
④-2
登録部署が担当外
ここで初めて部署ルーティング。正しい部署名 →(取れれば)担当者名・役職「では、そちらは御社だとどの部署の管轄になりますか?」
④-3
登録項目が不足(部署名や個人名がない)
代表に「部署名確認」だけで入る。部署が出たら担当者名(難しければ役職)を追加で聞く「展示会でQR登録があった企業様に、担当部署の確認だけしています」
④-4
「覚えてない」と言われる/受付で止まる
説得しない。受付には「担当者に繋いで」ではなく「部署名」を聞き、判断させない質問にする「大丈夫です、登録いただいた方に一律で確認しておりまして」

4. 受付ブロックは「展示会の正当性」で下げられます(メール不要)

展示会フォローの強みは、普通のアウトバウンドより正当性があることです。

「◯◯展示会で名刺交換をしておりまして」と伝えるだけで、受付ブロック率は下がります。担当外・決裁権なしで詰む場合は、ルートを変える(部署→役職→別部署)も有効です。

5. 数値で回さないと改善できません

展示会フォローは「今日は商談が取れた/取れなかった」で判断すると迷走します。重要なのは、結果と過程を切り分け、数値からボトルネックを特定して改善することです。

分類置くべきKPI(架電のみ)
①日程打診率/商談化率
②①化率(深掘り獲得率)
③当たり率(名刺の部署が担当だった率)/担当外だった分の部署振り直し率
④接続率(通電)+当たり率+担当外だった分の部署振り直し率+温度感把握率

6. ブラックボックス化を防ぐ:録音+Excel一覧で可視化します

外注・分業・リモートになるほど不安が増えるので、見える化が必須です。

通話録音データと、アポ・部署回収結果の一覧(Excel)をセットで残すと、感覚ではなく事実で改善できます。

まとめ:展示会ROIは「①の深さ」より「担当外の振り直し」で伸びます

展示会で得られるリードは、接点が薄い層(③④)が多くなりがちです。だからこそ、①②だけ追うと商談母数が足りなくなります。

ただし③④も、部署が分からないわけではありません。分かっている部署が担当かどうかを判定し、外れた分だけ正しい部署へ振り直す。これを全件の部署ヒアリングと混同しないことが、工数を溶かさずROIを伸ばす分かれ目です。展示会の正当性で受付を突破し、担当に当たったら日程打診まで必ず行き、数値で改善する。これが、メール無しで展示会フォローを勝たせる実務設計です。

よくある質問

名刺交換しただけのリードにも架電すべきですか?
すべきです。ただし全件に部署確認をかけるのではありません。名刺には部署が入っているので、まず「その部署が担当で合っているか」を一言で判定します。合っていればそのまま深掘り、外れていたときだけ正しい部署へ振り直します。
QR登録のみで会話していないリードはどう追えばいいですか?
QR登録でも会社名・部署は取れています。薄いのは情報ではなく会話です。入口を軽くしたうえで当たり判定を一言入れ、合っていれば温度感だけ、外れていれば正しい部署名を拾います。説明を始めると営業電話化して切られます。
展示会フォローにメールは使わなくていいのですか?
本記事は架電だけで回す前提の設計です。展示会は「名刺交換をしている」という正当性があるため、メールより架電のほうが受付突破率・反応率ともに高く出ます。

このような状況でしたら、ぜひセグロスにご相談ください

  • 名刺・リードは増えたのに、商談化が伸びない
  • 展示会のリードで放置してしまっているものがある
  • そもそもリソースが足りない
  • 架電はしているが、どこが詰まっているか分からない
  • 外注を検討しているが、ブラックボックス化や情報管理が不安

まずは30分だけ現状を伺い、「詰まりポイント」と「次の一手」を整理します。
(外注すべきか/内製で直すべきかも含めて整理します)

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株式会社セグロス 編集部

キーエンス出身者をはじめとするプロフェッショナルが、150社以上・250件以上の営業支援実績をもとに、現場で使える営業ノウハウを発信しています。