健康経営サービスの法人営業攻略法5つ|ヘルスケアを企業に売りたい方へ

健康経営サービスの法人営業攻略法

この記事でわかること

  • 健康経営のサービスを企業に売るとき、電話の先で相手が何を基準に動いているか
  • どの会社に当て、誰と話し、何を売りにすればよいかの5つの攻略法
  • 健康経営ならではの、当てる時期とよくある断りへの返し方

このコラムは、次のような方に向けて書いています。

「健康経営のサービスを企業に売りたいのに、電話しても誰につないでもらえばよいのか分かりません」
「担当の方は興味を持ってくれるのに、『社内で確認します』のまま話が止まってしまいます」
「サービスの良さを説明しても、『もう別のものを入れている』『無料で支援を受けている』と断られます」

健康経営の記事の多くは、サービスを「買う側」の人事・総務に向けた選び方です。売る側が、電話の先で誰につながり、何を話せば前に進むのかを書いたものはほとんどありません。この記事では、ヘルスケアのサービスを企業に売るときの考え方と、現場でそのまま使えるやり方を5つにまとめます。

前提:企業は「健康経営の認定」の上で動いています

最初に押さえておきたいのは、相手の会社は「社員の健康のため」だけで動いているのではないということです。健康経営は、経済産業省が旗を振る取り組みで、社員の健康管理を経営の視点で考え、戦略的に実践することと定義されています。福利厚生ではなく「人への投資」で、健康が生産性・採用・企業の評価につながる、という考え方です。

国は取り組む会社を認定・選定して「見える化」し、求職者や取引先、金融機関、投資家から評価される仕組みを作ってきました。ヘルスケアのサービスを売るときは、企業がこの制度の上で動いていることを前提にします。

健康経営銘柄

東京証券取引所の上場会社から、原則1業種1社

投資家に向けた紹介

健康経営優良法人(大規模法人部門)

大企業などが「健康経営度調査」に回答して申請

上位500法人に「ホワイト500」の冠

健康経営優良法人(中小規模法人部門)

中小企業などが認定申請書で申請

上位500法人に「ブライト500」の冠

認定の数は年々増え、健康経営優良法人2026では大規模法人部門で3,765法人、中小規模法人部門で23,085法人が認定されました(2026年3月9日の発表、経済産業省)。大規模法人部門は調査に回答した会社の9割ほどが認定され、中小規模法人部門は申請した会社のほとんどが認定されています。

POINT

相手の担当者は、認定を「取る・保つ」ために動いています。商品の良さを語る前に、認定の評価のどこに効くのかを話すと、担当者が社内で説明しやすくなり、話を聞いてもらえます。

営業リストは健康経営優良法人、なかでもホワイト500から当てる

ヘルスケアのサービスを企業に売るなら、営業リストの軸は健康経営優良法人を取っている会社です。中でもホワイト500の会社は、健康経営を会社の取り組みとして本気で進めていて、それを社外にも示しています。だから、次に打つ新しい施策を探しています。

同じ「認定企業」でも、認定の種類によって施策を探す強さがはっきり違います。

相手 施策への向き合い方 当て方
ホワイト500の会社 具体的な施策を探していることが多い。健康経営の専門の部署がある 最初に当てる。評価の弱いところを埋める施策として話す
ホワイト500以外の大規模法人部門の会社 広く浅く取り組み、セミナーや動画の研修でとどまりやすい ホワイト500を当て終えてから広げる
中小規模法人部門の会社 一度取れば同じ内容で認定が続きやすい。保険会社やコンサルが無料で支えていることが多い 法律の改正や補助金の加点など、別の切り口を用意してから当てる

ホワイト500は上位の約500法人と母数がはっきりしていて、その半分ほどが東京都に本社を置く大手です。当てる相手が絞れる分、受付を越える工夫がそのままアポの数を左右します。

営業リストを作るときは、セミナーや展示会の申込者も混ぜたくなります。ただ、申込者は担当とは限りません。「参加したが担当業務ではない」「個人的な興味で聞いた」という相手も多いので、認定企業の営業リストとは分けて扱い、最初に担当かどうかを確かめます。

POINT

中小企業の数は多く見えますが、認定は「取ったら終わり」になりやすく、新しい施策の話が進みにくい傾向があります。まずは大手、なかでもホワイト500に絞って当てるのが近道です。

受付では「健康経営のお取り組みの件で」と短く名乗る

ホワイト500の会社の多くは大手で、受付の壁が高いのが悩みどころです。ここで効くのが、認定企業であることを入口にした名乗り方です。認定は自分で申請しないと取れないので、相手は自社が認定企業であることを必ず知っています。だから、短い一言で用件が伝わります。

NG 商品から話す

「社員向けの健康サービスのご案内で、人事のご担当者様をお願いします」
→ よくある売り込みの電話として、受付で止められやすい

OK 認定の取り組みから話す

「健康経営、ホワイト500のお取り組みの件で、推進のご担当者様はいらっしゃいますか」
→ 社内の取り組みの話として、担当の部署につないでもらいやすい

担当者につながってからも、いきなり売り込まないことが大切です。「ホワイト500に認定されているお立場から、取り組みに値するかご意見をいただきたい」という意見交換の立て付けにすると、相手は話を聞きやすくなります。

担当者につながったときの例

「ホワイト500に認定されている御社のお立場から、ご意見を伺えないかと思いご連絡しました。新しい取り組みの案について、取り組むに値するかどうか、率直なご意見を聞かせていただけないでしょうか」

都内の大手は、担当者の名前が分からない電話をつながないことも多くあります。その場合は、健康経営の専門の部署の名前と人の名前を調べてからかけます。主担当でなくても、話の分かる人につながれば、そこから主担当につないでもらえます。

話す相手は室長より、社員の声を持つ保健師

大手やホワイト500の会社には、健康推進室・健康サポート室といった健康経営の専門の部署があります。その室長や管理職と話すと、多くの場合「現場の保健師に聞いてみます」で止まります。金額や決裁の流れには問題がなくても、です。

理由は、課題の中身を持っているのが現場だからです。社員と面談し、健診の結果を見て、具体的な体調の悩みや困りごとをつかんでいるのは保健師です。決める立場の人は、その声を現場に確かめてから動きます。健康経営の評価でも、産業医・保健師などの専門職が関わる体制が問われるため、保健師は施策の中身を決める力が強い立場にあります。

電話の段階でも、保健師の名前はよく出てきます。

「全国の拠点に保健師と産業医がいるので、共有して意見を聞いてから決めたいと思います」
「保健師を交えて話さないと意味がないので、まずは軽く資料をいただけますか」
「保健師が中心でやっているので、まず保健師と確認を取ってもいいでしょうか」

保健師と話すための決めごと

アポの段階で同席を頼む

担当者だけと会うと、持ち帰って保健師に確かめる一往復が必ず入ります。電話の時点で「保健師の方にもご同席いただけますか」と頼んでおきます。

社員の声への答えとして話す

保健師は改善の意欲が強い相手です。面談や健診で拾った声に、どう答えられるかを中心に話します。健診で課題が見つかっても、その後のフォローが単発で終わっていることが多いからです。

保健師がいなければ負担の話に切り替える

担当者だけの商談では、手軽に使えること、報告がまとめやすいことなど、担当者の負担が軽くなる話を中心にします。

グループ会社は親会社を確かめる

「子会社だけでは導入できない」「グループ全体で決めた施策を子会社に広げる」という会社もあります。誰が決めるかを早めに聞いておきます。

売るのは商品ではなく「効果を数字で示せること」

健康経営の担当者は、取り組みを社内外に報告しないといけません。ところが、セミナーや動画の研修をやっても、その後の効果が数字で見えず、説明しにくいという悩みを多くの担当者が抱えています。体調の悪さによる仕事の効率の落ち込みも、「調子はどうですか」を5段階で答えるような自己申告のアンケートで測っている会社がほとんどです。

国の調査でも、健康経営に取り組んだ会社のうち、業績の向上まで効果を感じている会社は3割前後にとどまります(令和6年度の健康経営度調査ほか、経済産業省)。そして評価の仕組みも、「施策をやったか」から「効果を測って直しているか」に重みが移っています。

評価の枠組み 重み 中身
経営理念・方針 30% 健康経営の戦略を文書にし、社外に出す
組織体制 20% 経営層が責任者になり、産業医・保健師などの専門職が関わる
制度・施策実行 20% 健康課題をつかみ目標を決め、研修や社内の決まりで土台を作る
評価・改善 30% 健診・ストレスチェック・生産性の指標を見て、施策の効果を検証して直す

大規模法人部門の評価の重み(2025年度の健康経営度調査、経済産業省の資料から)。2025年度は、個別の施策の配点が下がり、土台づくりと効果の検証の配点が上がりました。

つまり、売るのは健康グッズやアプリそのものではありません。「取り組みの効果を数字で示せること」です。「全社員の研修として使える」「効果を数字で出して、評価・改善の欄に書ける」と言えるサービスは、評価の仕組みとかみ合います。

NG サービスの良さだけを語る

健康の一つの分野の良さを説明しても、担当者の優先順位が低いと「すぐに取り組む状況ではない」で終わりやすい

OK ストレスと休職につなげる

どの会社も知りたいのは「社員のストレスが強いかどうか」。急な休職・退職につながる話に広げる

NG 全社員に配る提案

予算も社内の説明も大きくなり、「社内で検討します」のまま止まりやすい

OK 小さく試す提案

課題の大きい部署だけ、数名のお試し、数十人での試し、ストレスの高い人に絞るなど、小さく始めて数字を残す

申請の時期を避け、秋から冬の施策検討に合わせて当てる

健康経営には、毎年決まった1年の流れがあります。認定の申請は8月中旬から10月中旬で、この時期の担当者は申請の作業で手一杯です。電話をかける時期を、この流れに合わせて組みます。

3月には認定の発表があり、春ごろに評価の結果が届きます。ホワイト500の会社は評価の結果の公開が条件になっているので、商談の前に相手の会社の弱いところを見てから話すこともできます。

健康経営ならではの断りもあります。言葉どおりに受け取って引き下がらず、背景に合わせて返します。

よくある断り 背景 返し方
「もう別のものを入れている」 似たサービスをすでに複数入れていて、これ以上は社員の負担になると考えている 足すのではなく、今あるものでは測れていない部分を補う話にする。一つの分野より、運動・食事・心の健康までまとめて見たいという声も多い
「保険会社やコンサルから無料で支援を受けている」 セミナーや申請書類の作成まで、無料で手伝ってもらっている 担当者と予算の土台がある合図でもある。セミナーや申請の手伝いで張り合わず、無料ではできない効果の測定や、保健師が使える社員のデータを出す
「グループで決めている」 親会社がグループ全体の施策を決めている その会社で止めず、親会社の担当につないでもらえるかを聞く
「職場の事情で使えない」 現場で身に着ける物に決まりがある、交代勤務がある、など 使えない理由をそのまま聞き取り、対応できる形があるかを返す。できない場合は早めに伝える

中小企業に当てる場合は、2028年4月から50人未満の事業場にもストレスチェックが義務になることが、心の健康の話の入口になります。

うまくいった例・いかなかった例

うまくいった例

保健師が同席する商談に切り替えた

状況

社員向けのヘルスケアのサービスを、健康経営に取り組む大手に提案していた。室長や管理職との商談は感触が良くても、「保健師に意見を聞いてみたい」「担当にも確認して」で止まることが続いた

やったこと

商談の振り返りで、保健師が同席した商談の方がはっきり話が進んでいることに気付き、アポを取るときに保健師の同席を頼む形に切り替えた

分かったこと

保健師は面談で社員の具体的な声を持っていて、解決策の必要性を感じている。課題を持つ人が最初からいると、持ち帰りの一往復がなくなり、お試しの話まで進みやすい

いかなかった例

中小企業の健康経営の担当に直接当てた

状況

健康経営のイベントの案内を、中小企業の担当者に電話で届けた

やったこと

認定を取っている中小企業の営業リストに、そのまま架電した

分かったこと

「一度取れたらそれっきり」「今年取ったので数年はこのまま」という声が多く、保険会社やコンサルの無料の支援で足りている先も多かった。中小企業に当てるなら、認定以外の切り口を先に用意する必要がある

うまくいった例

3月の断りを、こちらから先に話した

状況

年度末の3月に架電すると、「来年度の施策は決まった」「年度末で忙しい」という断りが続いた

やったこと

相手が言いそうな断りに、こちらから先に触れてから本題に入るトークに変えた

分かったこと

すぐにアポが増えた。時期ごとに決まって出る断りは、相手に言わせる前にこちらから言ってしまう方が、話を聞いてもらえる

まとめ:健康経営の営業は「誰の、どの悩みに効くか」で決まります

健康経営のサービスを企業に売るときに押さえること

  • 相手は健康経営の認定の上で動いている。商品の良さより「評価のどこに効くか」で話す
  • 営業リストは健康経営優良法人、なかでもホワイト500から当てる
  • 受付では「健康経営のお取り組みの件で」と短く名乗り、意見交換として話す
  • 話す相手は室長より保健師。アポの段階で同席を頼む
  • 売るのは「効果を数字で示せること」。小さく試して数字を残す
  • 申請の時期は避け、秋から冬の施策検討に合わせて当てる

どれも土台にあるのは、「サービスを売る」ではなく「担当者と保健師が抱える悩みに答える」という考え方です。認定の制度、社内で決める人、1年の流れを押さえて電話と商談を組み立てれば、関心の高い大手ほど話を聞いてもらえる相手は確実に増えていきます。

よくある質問

健康経営のサービスは、どんな会社に営業すればよいですか?
健康経営優良法人を取っている会社、なかでもホワイト500の会社から当てるのが基本です。健康経営を会社の取り組みとして本気で進めていて、専門の部署があり、新しい施策を探していることが多いからです。ホワイト500以外の大規模法人部門の会社はその次に当てます。中小企業は認定が「取ったら終わり」になりやすいので、法律の改正や補助金の加点など、別の切り口を用意してから当てます。
健康経営の担当者に電話をつないでもらうには、どうすればよいですか?
受付では商品の名前から話さず、「健康経営、ホワイト500のお取り組みの件で、推進のご担当者様はいらっしゃいますか」と短く名乗ります。認定は自分で申請しないと取れないため、相手は自社が認定企業であることを知っていて、用件が伝わりやすくなります。担当者の名前が分からない電話をつながない大手には、専門の部署の名前と人の名前を調べてからかけます。
健康経営の営業で、営業をかけるのに良い時期はありますか?
あります。8月中旬から10月中旬は認定の申請の時期で、担当者は時間が取れません。この時期は申請が明けた後の日程を先に約束しておきます。10月から12月は次の年度の施策を考え、予算を取りに動く会社が多いので、提案の好機です。3月は「来年度の施策は決まった」という断りが増えるため、その断りに先に触れてから話します。

医療・ヘルスケア業界での支援事例は「医療・ヘルスケアの営業代行実績」にまとめています。

このような状況でしたら、

ぜひセグロスにご相談ください

  • 健康経営のサービスを企業に売りたいが、誰に当てればよいか分からない
  • 担当者との商談が「社内で確認します」で止まってしまう
  • 大手の受付を越えられず、担当の部署までつながらない
  • 申請の時期や予算の時期に合わせた架電の計画を立てたい
  • 外注したいが、活動の中身が見えなくなるのが不安
まずは現状を伺い、「どこで詰まっているか」と「次の一手」を整理します。

(外に任せるべきか、自社で直すべきかも含めて整理します)