「採用は本社一括」と言われたときの進め方|人材会社の営業担当へ

「採用は本社一括」と言われたときの進め方

この記事でわかること

  • 「採用は本社一括」が、本当に決められない場合と断り文句の場合の見分け方
  • 先に現場にかけて何を聞き、その話を持ってどう本社に当てるか
  • 紹介と派遣で決める人の場所が違う理由と、本部の話が出た現場で無理にアポにしない理由

このコラムは、次のような方に向けて書いています。

「工場や支店に電話すると、ほぼ毎回『採用は本社でやっているので』と言われて終わってしまいます」
「本社にかけ直しても、受付で『どういったご用件ですか』と止められ、採用の担当者までたどり着けません」
「現場の方が乗り気だったのでアポにしたのに、訪問したら『本社が決めることなので』と何も進みませんでした」

人材紹介・人材派遣の新規開拓で、工場・支店・施設・店舗に電話すると、「採用は本社で一括しています」「本部に聞いてください」と言われるのは定番です。この一言で電話を終えていると、拠点の多い会社ほど、営業リストから静かに消えていきます。

この記事では、「本社一括」と言われたときに、現場と本社をどんな順番で当てればよいかをまとめます。本社と現場の関係は、店舗や施設を相手にする営業なら、人材以外の商材でもほとんど同じです。そうした商材で分かったことも交えてお伝えします。

前提:「本社一括」には、本当に決められない場合と断り文句の場合がある

最初に押さえておきたいのは、「本社一括」という言葉が、いつも同じ意味ではないということです。本当に現場に決める権限が無い場合もあれば、営業の電話を断るための決まり文句として使われている場合もあります。背景によって、次の動き方が変わります。

「本社一括」の背景 よくある言い方 動き方
本社が窓口で、現場に権限が無い 「派遣のことは本社の担当に話してほしい」「求人はすべて本社でまとめています」 本社の誰が決めるか、本社の番号を聞く。現場の困りごとも聞いて、本社への電話の材料にする
受付が、営業の電話を断るよう言われている 「本社で決めていますので」とだけ言い、それ以上は話さない 受付で押し問答をしない。断られたことを記録し、時期を変えるか、別の拠点・本社から当たる
実は拠点ごとに決めているのに、現場が「本社へ」と言う 本社にかけると「派遣は各工場に任せている」と返ってくる 本社で「どの拠点の、どの方が決めるか」を聞き、拠点にかけ直す
本社でも、すでに決まった相手がいる 「付き合いのある派遣会社で足りている」「採用は外部にまとめて任せている」 今の取引に無い種類の人材がないかを聞く。無ければ深追いしない

「本社で決めている」という断りは、多く出るように感じますが、断りの理由が分かった中で見ると1割ほどにとどまる、という傾向があります。電話のたびに耳に残るので多く感じますが、本当に多いのは「今は足りている」「派遣は使わない」といった断りです。まず「本社一括」を特別な壁と思い込まないことが出発点です。

また、本社で決める会社と拠点で決める会社の割合は、業界によって大きく違います。同じ製造業でも、ある業界ではほとんどが本社で決め、別の業界では本社と拠点がほぼ半々、ということがあります。業界ごとに、どちらが多いかを最初の数十件で確かめておくと、その後の当て方が決めやすくなります。

POINT

「本社一括」と言われたら、まず本当に本社が決めているのか、断り文句なのかを分けて考えます。その見分けに使うのが、現場で聞く「決め方」の一言です。

先に現場にかけ、聞いた話を持って本社に当てる

「本社へ」と言われてから本社に電話しても、本社の受付から見れば、知らない会社からの新しい営業の電話です。何も持たずにかけると、「どういったご用件ですか」で止まります。

そこで順番を組み替えます。「本社へ」と言われる前提で、先に現場にかけ、そこで聞いた話を持って本社に当てます。現場の電話は、アポを取る電話ではなく、本社に当てるための材料を取る電話と考えます。

現場で聞くことは、次の4つです。本社の誰が決めるか(部署と名前)、本社の番号、現場の困りごと、決め方(本社でまとめているのか、拠点ごとか)。アポの手前に「この4つが聞けたら成功」というもうひとつの目標を置くと、「本社へ」が行き止まりではなく、次の電話の入口に変わります。

こうして本社にかけると、本社への電話が「新しい営業の電話」ではなく「現場で話を通してある電話」になります。工場の課長から本社の担当者へ先に一言伝えてもらえたことで、本社に電話したその日のうちに会う日が決まった、ということもあります。

過去の電話の記録も、同じように材料になります。以前の電話で「本社で聞いた話」や「担当者には断られたが、仕事はある」と分かっている先を拾い直し、その話を持ってほかの拠点や本社にかけ直したところ、短い期間でアポが大きく増えた例があります(人材以外の商材での例です)。一度の断りで営業リストから外さず、聞いた話を残しておくこと自体が、次の電話の武器になります。

介護・障害福祉の施設に当てる場合の事業所と本部の当て方は、介護・障害福祉向けのテレアポ攻略法でも詳しくまとめています。

現場には「決めるのは本社と分かったうえで」と前置きする

現場の担当者に「ご検討いただけませんか」と話すと、断られます。現場の担当者は、自分に決める権限が無いことを分かっているので、断るしかないからです。決めなくてよいと先に伝えると、話を聞いてもらえます。

NG 現場の担当者に

「一度ご検討いただけませんか」と、決めてもらうお願いをする

権限が無い人は「本社なので」と断るしかない。困りごとも聞けずに終わる

OK 現場の担当者に

「決めるのは本社の方と分かったうえで、まず現場のご意見を聞かせていただけませんか」と前置きする

決めなくてよいと分かると、現場の本音を話してもらいやすい。良ければ本社に伝えてもらえることもある

NG 本社に電話するとき

「人材のご案内で、採用のご担当者様をお願いします」と、いきなり用件から話す

よくある人材の営業電話として、受付で止まりやすい

OK 本社に電話するとき

「〇〇の事業所と〇〇の事業所にも伺ったところ、本社でまとめているとのことで」と、事実から話す

すでに現場と話がついている電話として、聞く耳を持ってもらいやすい

本社の受付では、本社に一度電話したときに言われた「拠点によって状況が違うので、現場に聞いてください」という言葉も使えます。「前回、現場の方に聞くよう伺ったので、現場でお話を聞いてまいりました」と言えば、受付とすんなり話せることが多くなります。

現場の担当者から「本部で決めているので」と言われたときにも、一度だけは返します。実際に人を受け入れ、一緒に働くのは現場の方です。「実際に働く現場の方のご意見をいただきたくて」と伝えると、話を続けてもらえることがあります。それでも本部だと言われたら、粘らずに本部の窓口と現場の困りごとだけを聞いて、本部への電話に回します。

現場の担当者に前置きするときの例

「採用を決められるのは本社の方だと分かったうえでのお電話です。まずは実際に人を受け入れる現場の方に、今どんなお仕事で人が足りていないのか、ご意見を聞かせていただけないでしょうか。もし良いと思っていただけたら、本社のご担当の方にも共有いただけると助かります」

本社1か所・1拠点で終わらせず、近くの複数の現場と本社を同時に当てる

本社だけに当てる、または1つの拠点だけに当てる。どちらも、一見すると無駄が少ないように見えます。ところが、どちらにも落とし穴があります。

本社だけに当てる

本社の数は限られていて、すぐに営業リストが尽きる。現場の話が無いので、受付で止まりやすい

本社にかける先が早く無くなる

1つの拠点だけに当てる

現場で前向きな話が聞けても、本社から見ると「その拠点だけの話」で終わる

本社が動く理由にならない

複数の拠点と本社に当てる

近くの拠点を2〜3か所選んでかけ、同じ困りごとの声を集めてから本社に当てる

本社が決める理由がそろう

近くの複数の現場で「同じように人が足りていない」という声が集まれば、本社にとっても「1つの拠点の話」ではなくなります。本社に近く、本社とつながりの強い営業所や工場を2〜3か所選んで当たるのが、効率のよいやり方です。

同じ法人の中でも、施設ごとに採用の管轄が違うことがあります。病院や介護施設を持つ法人では、2つの施設がそれぞれ別に採用を決めていて、「もう1つの施設とは採用の窓口が違う」と言われ、両方の施設でそれぞれアポになった例もあります。法人の名前が同じでも、事業所ごとに全部当たるのが基本です。

本社と現場を当てるための営業リストの決めごと

同じグループの会社・施設は近くに並べる

製造業は工場から本社へ、の順で当てることが多くなります。同じグループの会社や同じ法人の施設が営業リストの中で離れていると、聞いた話を次の電話に生かせません。

エリアは働く場所の住所で決める

本社の住所で対象エリアを決めると、実際に働く場所が対象の外にある求人が混ざります。求人に書かれた働く場所の住所で決めます。

本社の行に拠点を全部付ける

本社と拠点の区分を付け、拠点の数も書いておきます。拠点の多い会社は、近い住所から当たる順番を決めておきます。

「本社管理」は不在として残す

現場で「本社管理なので、ここにはいません」と言われても、断りではなく、決める人がそこにいないだけです。戻る時間と、次に誰あてに電話すればよいかを聞いて、かけ直す先に残します。

紹介と派遣で、決める人の場所が違う

人材の営業では、紹介と派遣で、決める人のいる場所が違う傾向があります。お金の払い方と、払う金額の大きさが違うからです。

比べる点 人材紹介 人材派遣
雇い主 紹介先の会社が直接雇う 派遣会社が雇う
払い方 入社が決まったときに、成功報酬として一度に払う。1件の金額が大きい 働いた時間に応じて、毎月払う
決める人 有料の紹介会社との契約や手数料は本部、面接は現場、と分かれていることが多い 本社の人事が決める会社と、工場・支店などの拠点ごとに決める会社がある
聞くこと 「紹介会社とのお取引は、どちらでお決めになっていますか」 「派遣会社とのお取引は、本社でまとめていますか、拠点ごとですか」

紹介は1件の金額が大きいため、手数料の承認のために上に話を上げる必要が出てきます。一方で派遣は、現場の課長の判断ですぐに決められることがあります。実際に、受け入れる側の製造業の課長から「派遣の契約なら自分の決裁ですぐ決められる。紹介だと手数料の承認で上に上げないといけない」という声を聞くこともあります。

病院では、職種ごとに窓口が分かれていることも多くあります。事務長、人事、看護部と、どの職種の採用かで話す相手が変わります。また、病院の約7割は医療法人が開設していて、系列の病院や施設があれば、法人の本部が採用の方針を決めていることがあります。

出どころ:病院のうち医療法人が開設するものは69.9%(厚生労働省「医療施設動態調査」2026年7月末概数)

製造の派遣では、会社の規模によって決める人が変わる傾向もあります。数百人規模の会社では、工場長や製造部長が派遣会社を選ぶ権限を持っていることが多く、千人を超える会社では、購買や人事の部署がまとめて取引先を選び、年に一度の見直しの時期を外すと入れない、ということがあります。

POINT

紹介か派遣か、規模はどれくらいかで、決める人のいる場所の見当が付きます。それでも会社ごとに違うので、最後は現場で「どこで決めていますか」と聞いて確かめます。

本部の話が出た現場で、無理にアポにしない

現場の担当者が前向きだと、ついアポにしたくなります。ところが、現場が「本部から何かあれば連絡が来る」「本部の会議の後にまた電話して」と言っている先をアポにして訪問しても、何も進みません。本部に話が通っていないアポは、商談で止まります。資料すら受け取ってもらえなかった、ということもあります。

本部の話が出たら、その場でアポを取りにいく電話から、情報を取る電話に切り替えます。聞いた話は、本部への電話に使います。

NG 本部の話が出てもアポにする

現場の担当者が前向きなので、そのまま訪問のアポにする
→ 商談の場で「本部が決めることなので」と止まり、相手にも依頼した側にも手間だけが残る

OK 本部の話が出たら情報を取る

本部の窓口、決める人、現場の困りごとを聞いて電話を終える
→ 本部への電話で「現場でこう伺いました」と話せる。商談で止まらないアポになる

人材以外の商材で、「本部の話が出たら引く」というやり方に変えたところ、担当者と話せた先のうちアポになる割合は半分ほどに下がりました。それでも、依頼した会社は「数字が少し下がっても、商談で止まらない方がよい」と判断しています。アポの数より、商談まで進むアポかどうかを優先した判断です。

一方で、本部にばかり当たっていても、本部の数が限られているので、すぐに営業リストが尽きます。本部の担当者から「拠点には電話しないで、自分を通して」と言われたまま、連絡が取れなくなることもあります。現場への電話をやめるのではなく、現場の電話の目的を変えることが大切です。

本社に追いかけるか、次の会社に行くかの線も決めておきます。目安は、営業する地域の中で、本当に人を募集している先なら本社まで追うことです。本社の受付まで「営業の電話は断るように」と言われている会社もあるので、本社でも同じ断りが続いたら、記録を残して次の会社に移ります。

うまくいった例・いかなかった例

うまくいった例

工場の課長から、本社の担当者へ先に話を通してもらった

状況

製造業の工場に派遣の案内で電話したところ、工場の課長から「派遣のことは本社の担当に話してほしい」と言われた

やったこと

電話をそこで終えず、課長に工場の困りごとを聞いたうえで、本社の担当者へ先に一言伝えてもらえないかを頼んだ。そのうえで本社に電話した

分かったこと

本社の担当者は話を聞いていたので、「今日の夕方でもよい」と言われるほど早く会う日が決まった。現場は断る人ではなく、本社への橋渡しをしてくれる人になりうる

うまくいった例

「決めるのは本社」と言われた支店で、あいさつを兼ねた案内としてアポにした

状況

事務職を募集している会社の支店に電話したところ、「最終的に決めるのは本社」と言われた

やったこと

本社が決めることを前提にしたうえで、派遣のあとに正社員へ切り替えられる形もあることを伝え、今後の選択肢を知っておいてもらうためのあいさつを兼ねた案内として、会う時間をもらった

分かったこと

「決めるのは本社」でも、現場が話を聞くこと自体は止められていないことが多い。決めてもらう話ではなく、知っておいてもらう話にすると会ってもらえる

いかなかった例

本部の話が出ていた店舗を、そのままアポにした

状況

店舗向けの商材で、店舗の担当者が「本部から何かあれば連絡が来る。会議の後にまた電話して」と話していた(人材以外の商材での例)

やったこと

担当者の反応が良かったので、そのまま訪問のアポにした

分かったこと

訪問しても話は進まず、資料すら受け取ってもらえなかった。本部の話が出た現場は、アポにせず情報を取る電話にとどめ、本部への電話に回すべきだった

まとめ:「本社一括」は行き止まりではなく、本社への入口です

「採用は本社一括」と言われたときに押さえること

  • 「本社一括」には、本当に決められない場合と断り文句の場合がある。現場で決め方を聞いて分ける
  • 先に現場にかけ、決める人・本社の番号・困りごと・決め方を聞いてから本社に当てる
  • 現場には「決めるのは本社と分かったうえで」と前置きし、決めなくてよい話にする
  • 本社だけ・1拠点だけで終わらせず、近くの複数の拠点の声を集めて本社に当てる
  • 紹介は本部、派遣は本社人事か拠点ごと、という傾向を頭に置き、最後は聞いて確かめる
  • 本部の話が出た現場では無理にアポにせず、情報を取る電話に切り替える

どれも土台にあるのは、現場の電話を「アポを取る電話」から「本社に当てるための材料を取る電話」に変えるという考え方です。「本社一括」の一言を行き止まりにせず、本社への入口として使えれば、拠点の多い会社ほど話を聞いてもらえる先に変わっていきます。

「本社一括」以外の、人材の営業でよく出る断りへの返し方は、人材会社のテレアポで断られたときの返し方にまとめています。

よくある質問

「採用は本社一括」と言われたら、すぐ本社に電話すべきですか?
すぐにはかけず、まず現場で「本社の誰が決めるか」「本社の番号」「現場の困りごと」「決め方」を聞きます。できれば同じ会社の近くの拠点にもかけ、同じ困りごとの声を集めてから本社に当てます。何も持たずに本社にかけると、知らない会社からの新しい営業電話として受付で止まりやすいためです。
現場の担当者とアポを取ってもよいのは、どんなときですか?
現場に決める力がある会社か、本社に話が通っている場合です。現場で「本部から連絡が来る」「本部に聞かないと決められない」という話が出たら、アポにはせず、本部の窓口と現場の困りごとを聞くだけにとどめます。本部に通っていないアポは、商談で止まることが多いからです。
人材紹介と人材派遣で、電話する先は変わりますか?
変わる傾向があります。紹介は1件の金額が大きく、手数料の承認のために本部が決めることが多い一方、面接は現場で行うことが多くなります。派遣は、本社の人事が決める会社と、工場・支店などの拠点ごとに決める会社があり、現場の課長の判断で決まることもあります。最後は、現場で「どこで決めていますか」と聞いて確かめます。

人材サービス業界での支援事例は「人材サービスの営業代行実績」にまとめています。

このような状況でしたら、

ぜひセグロスにご相談ください

  • 工場・支店・施設に電話しても「本社で決めている」で終わってしまう
  • 本社の受付を越えられず、採用の担当者までたどり着けない
  • 現場で取ったアポが、商談で「本社が決めること」と止まってしまう
  • 拠点の多い会社を、どの順番で当てればよいか決めたい
  • 外注したいが、活動の中身が見えなくなるのが不安
まずは現状を伺い、「どこで詰まっているか」と「次の一手」を整理します。

(外に任せるべきか、自社で直すべきかも含めて整理します)