人材会社の商談が受注しない原因の分け方|派遣・紹介の営業責任者へ

人材会社の商談が受注しない原因の分け方

この記事でわかること

  • 人材の商談は「求人をもらい、合う人がいて」初めて決まるという、ほかの商材と違う決まり方
  • 失注の理由を「覆らないもの」「電話で潰せるもの」「今ではないもの」に分け、どこで手を打つかを決める方法
  • 候補者・エリア・時期を合わせて、商談を決まりやすくするやり方

このコラムは、次のような方に向けて書いています。

「アポはそれなりに取れているのに、商談のあと求人をもらうところまで進みません」
「失注の理由を聞いても『条件が合わなかった』ばかりで、何を直せばよいのか分かりません」
「商談では前向きだったのに、紹介できる人がいない間に、ほかで決まってしまいました」

アポは取れているのに受注につながらない。その原因の見直し方には、どの商材にも共通する考え方があります。ただ、人材派遣・人材紹介の商談には、ほかの商材には無い決まり方があります。商談がうまくいっても、紹介できる人がいなければ決まりません。条件の合わない求人をもらっても、人は出せません。

この記事では、人材会社ならではの原因、つまり条件・候補者・エリア・紹介と派遣の違いに絞って、受注しない原因の分け方と、分けたあとの手の打ち方をまとめます。「条件が無理でした」で終わらせないための見直し方です。

前提:人材の商談は「求人をもらって、合う人がいて」初めて決まる

ほかの商材なら、商談で相手が「買う」と決めれば受注です。人材の商談は違います。求人をもらい、その求人に合う人がいて、はじめて決まります。商談で相手が前向きになっても、条件に合う人を出せなければ、受注にはなりません。

比べる点 人材派遣 人材紹介
商談のあとの流れ 基本の契約を結ぶ → 求人をもらう → 人を出す → 働き始める 求人票をもらう → 求職者を推薦する → 面接 → 入社
止まりやすいところ 契約書を送っても返事が来ない。求人をもらっても、条件に合う人がいない 求人票はもらえても、推薦できる人がいない。面接で合わない
お金が動くとき 人が働き始めてから、毎月 入社が決まったとき、一度に

ここで気を付けたいのが、「受注」という言葉の意味が会社ごとに違うことです。「求人をもらったこと」を受注と呼ぶ会社もあれば、「基本の契約を結んだこと」「人が働き始めたこと」を受注と呼ぶ会社もあります。電話をかける側と商談する側、あるいは営業を外に任せている場合はその相手と、何を受注と数えるかを最初にそろえておかないと、同じ数字を見ていても話がかみ合いません。

アポからどれくらい決まれば良い方なのかも、目安を持っておきます。電話から始める営業では、アポから2〜3割決まれば良い方と見られることが多くあります。アポの半分が決まらないからといって、すぐに失敗と判断する必要はありません。

POINT

人材の商談は、「相手が前向きか」だけでは決まりません。求人の条件と、出せる人がかみ合うかで決まります。失注の理由を見直すときも、この2つを分けて考えます。

失注の理由は「覆らないもの」「電話で潰せるもの」「今ではないもの」に分ける

失注の理由を並べるだけでは、次の手は出てきません。「派遣は使わない」「単価が合わない」「今は足りている」をひとまとめに「条件が合わなかった」と書いていると、何を直せばよいか分からないままです。

大事なのは、理由を「どこで手を打てるか」で分け、数の多いものから潰すことです。

覆らないもの

「派遣は使わない」「グループの方針で業者を通さない」など、商談では変わりにくい会社の方針

電話の前の絞り込みで外す

電話で潰せるもの

単価が合わない、必須の経験や資格がある、そもそも募集していない

アポを取るときの確認で潰す

今ではないもの

「今は足りている」「募集が埋まった」「状況が変われば使うかも」

商談と追いかけで攻める

「覆らないもの」が多いなら、商談を磨いても効果は小さく、アポの取り方を変えるのが近道です。「今ではないもの」が多いなら、商談の中身と、その後の追いかけ方で攻めます。言い換えると、自分たちで変えられる理由と、相手が決める理由を分け、変えられる方に手を集めるということです。「必要性が低い」「今は大丈夫」という失注理由はどの商材でも出てきますが、そこで止まると次の手が出ません。

分けるときに注意したいのは、見た目の理由と中身の理由が違うことがある点です。単価を伝えたら即座に断られ、同じグループの別の法人にも「派遣を使う必要はない」と断られた例があります。単価で落ちたように見えて、中身は「派遣は使わない」という方針の断りでした。「単価が合わない」と書かれた失注の中に、方針の断りが混ざっていないかを確かめます。

失注の理由を書く欄を作っても、埋まらないことがよくあります。埋めてもらうためには、区分は3つほどに絞り、断りの言葉をそのまま書き残してもらう形にします。商談の結果を営業リストに戻しておけば、どんな会社のどんなアポが決まりやすいかが、数か月で見えてきます。

単価・必須の経験・募集の有無は、商談の前に電話で確かめる

商談の場で初めて「単価が合わない」「経験者でないと無理」と分かる失注は、電話で一言確かめておけば減らせます。電話で潰せる原因は、電話の段階で潰す。商談でしか解けない原因(紹介料の交渉など)とは分けて扱います。

アポを取ったあとに、次の順で確かめます。

募集が続いているか
「求人を出されていたお仕事の募集は、今も続いていますか」「そのほかに募集されているお仕事はありますか」。募集が無ければアポにしない
必須の経験・資格
「募集のお仕事で、必ず必要な経験や資格はありますか」。外国語や上位の資格が必須で、紹介できる人がいなければアポにしない
派遣を検討できるか
「今回は紹介ではなく派遣のご案内ですが、派遣はご検討の余地がありそうでしょうか」。余地が無ければアポにしない
単価の目安
失注の多くが単価なら、電話の段階で単価の目安を伝えて、受け入れられる範囲かを確かめる

必須の経験を聞く目的は、実はアポを外すためだけではありません。多くは商談の準備のためです。どんな経験の人を求めているかが事前に分かれば、商談の場で「この経験の人なら出せます」と具体的に話せます。

電話の前に、営業リストの段階で外せるものもあります。たとえば、語学の資格が必須で単価も低くなりやすい職種は、紹介できる人がいなければ、リストから外すか、当てる順番を下げます。小さすぎる会社は予算と単価が合わないことが多いので、従業員の数で下限を決めます。ただし、絞る前にその条件で営業リストがどれくらい残るかを試算しておきます。絞りすぎて電話する先が無くなっては本末転倒だからです。

派遣の単価で断られる理由も知っておきます。派遣の単価は、同じ仕事を直接雇用したときの時給よりかなり高くなります。直接雇用の時給が低い会社ほど、派遣の単価に驚きやすい傾向があります。一方で、資格を持つ人や技術者、夜勤や交替勤務、忙しい時期の増産への対応が要る会社は、高めの単価でも話が通りやすくなります。

「条件が無理」と言われたら、商談の中で条件を組み替える

商談が、相手の話を聞くだけで終わっていないでしょうか。聞くだけの商談では、相手から「経験者でないと無理です」と言われたら、そこで終わってしまいます。「条件が無理」は、商談の中で踏み込めば組み替えられることがあります。

NG 聞くだけの商談

相手の条件を聞き取り、「確認して、合う人がいればご連絡します」で終える

「経験者しか無理」「条件が合わない」で終わり、次の一手が無い

OK 条件を組み替える商談

仕事の中身や働く時間を一緒に見直し、出せる人に合う形を探す

短い時間の予定だった仕事に別の業務を足して、通常の勤務時間にしてもらい、決まった例もある

NG 派遣を嫌う会社に、派遣の良さを語る

「派遣なら教育の手間が減ります」と一般的な良さを語る

相手の過去の失敗の記憶は消えず、「やはり派遣は」で止まる

OK 自社の選び方を具体的に見せる

面談を何度、誰が行い、合わない人はどう落としているか、自社の内側の仕組みを見せる

「よく分からない人が来る」という不安に、仕組みで答えられる

ハローワークなど無料の求人だけで採っている会社には、求人の手段の話から切り込みます。「無料の求人で、妥協して採用したことはありませんか」と問いかけると、過去の失敗の話が出てくることがあります。その話が、派遣や紹介を検討する理由になります。

商談の冒頭で、よくある悩みを1枚にまとめて見せ、相手に当てはまるものを選んでもらう方法もあります。相手は自分の悩みを言葉にしやすくなり、商談が「聞くだけ」で終わりにくくなります。

「最初から紹介でお願いしたい」「派遣を経ずに直接雇用したい」という希望は、電話ではどうにもできません。商談で向き合って、条件をすり合わせる話です。電話の段階で無理に答えを出そうとしないことも大切です。

アポの数と決まる率のどちらを取るかは、先に決めておく

アポを取る条件を足すほど、アポの数は減り、決まる率は上がります。どこで止めるかに正解はありません。大事なのは、どちらを取るかを先に決めておくことです。

進め方 アポの数 決まりやすさ 向いている場面
条件を足さずに広く取る 多い 低め。商談で「今は不要」「対象外」が増える まず市場の反応を見たいとき。商談を受けられる人手に余裕があるとき
条件を絞って取る アポの割合は半分ほどに下がることもある 上がる。絞ったことで、決まる数が増えた例もある 商談の人手が限られているとき。紹介できる人の条件がはっきりしているとき
電話では確かめられない条件まで足す ゼロに近づく ― 避ける。電話の入口で満たせない条件は、商談で確かめる

電話をかける側と商談する側が分かれている場合、特に営業を外に任せている場合は、今の数字を見せたうえで、どちらを取るかを依頼する側が選ぶようにします。電話をかける側が勝手に絞ったり、勝手に広げたりすると、あとで「思っていたアポと違う」になります。

条件を足すときは、電話の入口で確かめられる限界も知っておきます。「その経験を持つ人なら検討できる」くらいまでが、電話で確かめられる入口の限界です。求人の人数や時期まで決まっている会社だけ、といった条件を足すと、今の条件でも話せた相手のごく一部しか残らず、アポがゼロになることもあります。足せない条件は、先にはっきり伝えます。

候補者がいないまま月をまたがない。エリアと時期を候補者に合わせる

人材の商談で一番避けたいのは、アポは取れるのに、出せる候補者がいないという状態です。商談で「すぐ来られる人がいるなら紹介して」と言われても、紹介できる人がいないまま月をまたぐと、その間にほかで決まってしまうことがよくあります。契約書を送っても連絡が来ず、確かめると「近々は必要ないので、また時期を改めて」と言われる。こうした失注は、商談の中身ではなく、時期と候補者のずれから生まれます。

そこで、候補者がいる時期に合わせて商談を集めます。

同じように大事なのがエリアです。候補者が通える範囲と、営業リストのエリアがずれていると、どれだけ良い商談をしても人を出せません。仕事の内容とエリアを候補者に合わせて決めれば、あとはアポの数を増やすだけ、という状態に近づきます。実際に、エリアを候補者の住む地域にしっかり絞り、仕事の条件は保ったまま進めたところ、すぐに初めての成約が出た例があります。

候補者を連れてきたら話を進めたい、という会社もあります。「候補者と一緒に来たときに詳しく」で止まる会社は、候補者がいるときに連絡する先として分けておきます。今すぐの商談先と同じ扱いにすると、決まらない商談が積み上がるだけになります。

「今ではない」で落ちた先は、2〜3か月空けて当たり直す

人材の商談は、その時点で人が足りていれば決まりません。逆に言えば、「今ではない」で落ちた会社は、状況が変われば一番早く決まる会社になります。派遣を後回しにしていた会社が、直接雇用で採用に失敗し、「派遣の単価はこれくらいが当たり前なのか、受け入れてみよう」と考えが変わることもあります。派遣は、電話してすぐ頼まれるより、2〜3か月から半年たって、ちょうど人が欲しい時期につながることが多いものです。

「今ではない」で落ちた先を当たり直す決めごと

新規より比重を多くかける

一度商談した会社は、新しい会社より決まりやすい相手です。新規の電話より、当たり直しに多めに時間を割いてかまいません。

2〜3か月空けて当たり直す

受付で断られた会社でも、2〜3か月空けると担当者につながり、話が進むことが多くあります。

止まった理由で当たり方を変える

金額だけが理由なら電話で、サービスの中身で止まっているなら商談を組み直します。

ほぼ新規のつもりで話す

相手は前回の内容を覚えていないことが多いので、一から話すつもりでかけます。それでも時期が合えば、新規より話が早く進みます。

当たり直しを仕組みにするには、失注の理由を区分で残しておくことが前提になります。区分が残っていれば、新しい切り口ができたときや、時期が来たときに、どの会社に当たり直すかがすぐに決まります。

うまくいった例・いかなかった例

うまくいった例

人を募集している会社だけをアポにした

状況

外国人材の紹介会社の新規開拓で、アポの数よりも、商談で話が進むことを重視していた

やったこと

人を募集していない会社は、すべてアポの対象から外した。電話では「今、人を募集しているか」だけを線にした

分かったこと

商談のうち、はっきり断られたのは1割ほどにとどまり、3割ほどが契約まで進んだ。残りも検討が続いた。アポの線を守ると、商談の歩留まりが上がる

うまくいった例

エリアを候補者の住む地域に絞った

状況

事務や販売の派遣で、商談はできても、出せる人がいないまま話が止まることが続いていた

やったこと

電話するエリアを、候補者が通える地域にしっかり絞り込んだ。仕事の条件は緩めずに保った

分かったこと

絞ってすぐに、顔合わせのその場で合格が決まる成約が出た。仕事の内容とエリアが定まれば、あとは数を増やすだけになる

いかなかった例

アポの数だけを報告していた

状況

アポは毎月取れていたが、依頼した会社は社内でアポに評価を付け、成約の少なさから費用に見合うかを気にしていた

やったこと

アポの件数を中心に報告し、商談の結果や失注の理由は依頼した会社の手元にだけあった

分かったこと

電話をかける側と商談する側で、見ている物差しがずれていた。商談の結果と失注の理由を同じ営業リストに戻してもらう仕組みを、最初から作っておくべきだった

まとめ:失注の理由は、次の一手が決まる形で分けます

人材会社の商談で、受注しない原因を見直すときに押さえること

  • 人材の商談は「求人をもらい、合う人がいて」初めて決まる。何を受注と数えるかを最初にそろえる
  • 失注の理由は「覆らないもの」「電話で潰せるもの」「今ではないもの」に分け、多い方から手を打つ
  • 単価・必須の経験・募集の有無は、商談の前に電話で確かめる
  • 「条件が無理」は、商談の中で仕事の中身や時間を組み替えて合わせられることがある
  • アポの数と決まる率のどちらを取るかは、数字を見せて先に決めておく
  • 候補者がいないまま月をまたがない。エリアと時期を候補者に合わせる
  • 「今ではない」で落ちた先は、2〜3か月空けて当たり直す

どれも土台にあるのは、失注の理由を「次の一手が決まる形」で分けるという考え方です。「条件が合わなかった」で終わらせず、どこで手を打てる理由なのかまで分ければ、電話・商談・その後の追いかけのどこを直せばよいかがはっきりします。

電話の段階で出る断りへの返し方は、人材会社のテレアポで断られたときの返し方にまとめています。

よくある質問

人材会社の商談で、アポからどれくらい受注できれば良い方ですか?
決まった基準はありませんが、電話から始める営業では、アポから2〜3割決まれば良い方と見られることが多くあります。ただし、「受注」が求人をもらったことを指すのか、契約を結んだことなのか、人が働き始めたことなのかで数字は大きく変わります。まず、何を受注と数えるかをそろえてから比べます。
失注の理由は、どのように分ければよいですか?
「どこで手を打てるか」で分けます。「派遣は使わない」のような会社の方針は商談で覆りにくいので、電話の前の絞り込みで外します。単価・必須の経験・募集の有無は、アポを取るときの確認で潰せます。「今は足りている」のような時期の理由は、商談とその後の追いかけで攻めます。区分は3つほどに絞り、断りの言葉をそのまま書き残すと、欄が埋まりやすくなります。
一度失注した会社には、いつ連絡し直せばよいですか?
2〜3か月空けるのが一つの目安です。受付で断られた会社でも、時間を空けると担当者につながり、話が進むことが多くあります。人材は、その時点で人が足りていれば決まりませんが、状況が変われば一番早く決まる相手になります。金額だけが理由なら電話で、サービスの中身で止まっているなら商談を組み直して当たり直します。

人材サービス業界での支援事例は「人材サービスの営業代行実績」にまとめています。

このような状況でしたら、

ぜひセグロスにご相談ください

  • アポは取れているのに、求人や契約まで進まない
  • 失注の理由が「条件が合わない」ばかりで、何を直せばよいか分からない
  • 商談はできても、紹介できる人がいないまま話が止まってしまう
  • アポの数と質のどちらを優先すべきか、判断の材料がほしい
  • 外注したいが、活動の中身が見えなくなるのが不安
まずは現状を伺い、「どこで詰まっているか」と「次の一手」を整理します。

(外に任せるべきか、自社で直すべきかも含めて整理します)