求人媒体の掲載営業でぶつかる4つの壁|求人広告の営業担当の方へ

求人媒体の掲載営業4つの壁

この記事でわかること

  • 求人を出している会社が、求人媒体の営業電話をどう受け止めているか
  • 媒体疲れ・無料の媒体で十分・ほかと比べられる・営業電話が多すぎる、の4つの壁の越え方
  • 電話をかける先と時間、アポを取るときに聞いておくこと

このコラムは、次のような方に向けて書いています。

「求人を出している会社に電話しても、『媒体はもう十分です』と切られてしまいます」
「『ハローワークで足りている』『今は採用していない』と言われると、返す言葉がありません」
「説明しても『よくある求人サイトと同じでしょ』と、ほかの媒体と比べられて終わります」

求人サイト・求人広告・採用の仕組みを売る会社にとって、電話の相手は「今、採用している会社」です。ところが、採用している会社ほど、媒体や紹介会社からの営業電話を毎日のように受けています。商品の良さを伝える前に、話を聞いてもらえないまま終わる電話が多いのはそのためです。

この記事では、求人媒体を売る人なら誰でもぶつかる4つの壁と、それぞれの越え方をまとめます。媒体の種類や料金の仕組みが違っても、同じ考え方で使えます。

前提:求人を出している会社の本音は「払いたくないが、払わざるを得ない」

最初に押さえておきたいのは、採用費に対する相手の気持ちです。人が足りなければ、求人にお金をかけないと採用できません。けれど、いくらでも払えるわけではありません。求人を出している会社に共通しているのは、「できれば払いたくないが、払わざるを得ない」という状況です。

ひとくちに求人を出している会社といっても、お金のかけ方は大きく3つに分かれます。

お金をかける会社

有料の媒体や紹介を使っている

比べる相手が多い

かたくなに無料の会社

ハローワークなど無料だけを使う

話が前に進みにくい

使うが安く抑えたい会社

お金をかけつつ減らしたい

一番多く、話を聞いてもらえる

最近は、相手の悩みの中心が「応募が集まらない」から「費用が高い」に移ってきています。求人サイトの値上げが相次いでいるからです。費用だけではありません。「無料の媒体では応募の質が低い」「面接まで来ない」「内定を出しても他社に流れる」という不満もよく聞かれます。

POINT

求人媒体の営業は、媒体の良さを語る前に、相手のこの痛みに立てるかどうかで決まります。これから挙げる4つの壁は、どれもこの本音から出てくる断りです。

「もう媒体にお金をかけたくない」という媒体疲れには、相手の痛みから入る

媒体疲れの相手には、「新しい求人サイトのご案内です」と名乗った時点で断られます。相手から見れば、またひとつ採用費が増える話だからです。

NG 媒体の良さから話す

「新しい求人サイトのご案内で、採用のご担当者様をお願いします」
→ よくある媒体の営業として、名乗った時点で止められる

OK 相手の痛みから話す

「求人のお金、高いですよね。払わないと採用できないけれど、とんでもない金額は払えない。そこを抑えられるお話で、一度お時間をいただけないでしょうか」
→ 売り込みではなく、同じ悩みの話として聞いてもらえる

大事なのは、媒体の営業として入らず、同じく採用費に困っている側・味方として入ることです。自分たちも求人媒体や人材紹介を使って採用している会社なら、「私たちも採用のお金には困っていて」と同じ立場から話せます。そうした立場がない場合も、「費用が痛手になっている」という相手の気持ちを先に言葉にしてから、自分の商品がその痛みをどう軽くするかを一言で添えます。

費用以外の痛みもあります。現場を見ながら採用も受け持っている施設長や総務の担当者にとっては、いくつもの媒体や紹介会社とのやりとりそのものが手間です。「自分の仕事が楽になるなら」という反応が返ってくることもあります。費用か、手間か、応募の質か。相手のどの痛みに当たるかを先に決めておくと、名乗りの一言が決まります。

「無料の媒体で足りている」には、過去と今後の採用で聞き、言い切る先は追わない

「ハローワークで足りています」「今は採用していません」は、掲載営業でとてもよく出る断りです。ただ、言葉は似ていても中身が違うので、返し方を分けます。

断り 背景 返し方
「今は採用していない」「人は足りている」 本当に足りていることもあるが、多くは断り文句。採用を一度もしない会社はほとんど無い 「採用は急に必要になることの方が多いですよね」と同調し、過去にされていたか、今後のご予定はあるかで聞き直す
「無料の求人で足りている」 費用はかけたくないが、無料だけで集まっているとは限らない 言い返さずに同調し、「無料の求人だけだとなかなか集まらない、定着しないという声も聞きます」と、ほかの会社の話として添える
「ハローワークしか使わない。お金はかけない」 一銭もかけないと決めている 追わずに引く。粘っても商談にならず、次の先にかける時間が減る

見極めの線は、言い切っているかどうかです。「お金をかけないようにとしか考えていない」と言い切る相手は、どう切り返しても答えが変わりません。粘って1時間あたりの架電数を落とすより、次の先に電話する方が早いのです。

一方、「今は採用していない」は、その場の断り文句であることが多い言葉です。今の募集の有無だけで切らず、「過去に採用されていたか」「今後のご予定はあるか」で聞き直し、日程の打診まで進めます。

地域による差もあります。地方の事業者は、有料の媒体を使わない所が多い傾向があります。地域ごとにアポの数を分けて見ておくと、無料志向の強い地域にかけすぎていないかが分かります。

ほかの媒体と比べられたら、「やめてこっち」ではなく「どっちも使う」

求人媒体の営業で必ず聞かれるのが、「それは〇〇みたいなものですか」「求職者が見るサイトと同じですか」という質問です。相手は、すでに使っている媒体の物差しで、新しい話を測ろうとします。

採用する側は、一つの経路だけに頼っていません。病院の採用(医師以外の正職員)では、使った経路はハローワークが89.0%、病院のホームページが84.0%、人材紹介会社が82.9%と、ほとんどの病院がいくつもの経路を並べて使っています。一番効果があった経路も、人材紹介会社が73.6%、ハローワークが52.3%と分かれています(福祉医療機構「2025年度 病院の人材確保に関する調査」、複数回答)。

つまり、採用する側にとって媒体は「どれか1つを選ぶもの」ではなく「組み合わせて使うもの」です。だから、今の媒体を否定するのは、相手の今の判断を否定するのと同じで、対立を生みます。

NG 今の媒体を否定する

「あちらは応募の質が低いので、切り替えませんか」
→ 相手の今の判断を否定し、言い合いになる

OK どっちも使う

「やめてこっちではなく、どちらも使ってみませんか」
→ 今の媒体はそのままで、足りない所を補う選択肢として並べる

NG 仕組みの違いを長く説明する

説明が長くなり、「結局なんの話?」と思われる。申し込んだ後に、思っていたものと違ったと言われることもある

OK 違いを最初に一言で言う

求職者が見る媒体と同じものか違うものかを、最初に分かってもらう。商談でも、相手の思い描く仕組みとずれていないかを確かめる

比べられたときに一番多いのは、「同じようなものを、もう使っている」という返事です。そこで言い返さず、今の媒体で困っていること(費用・手間・応募の質)を聞き、その足りない所を補う話に回します。

アポを取るときには、担当者の名前(漢字)、部署・役職、今使っている採用の手段(無料か有料か、どの媒体か、紹介を使っているか)、有料で採用している職種、採用の悩みを聞いておきます。商談する人が、相手の今の組み合わせのどこに入れるかを考えたうえで話せるからです。

営業電話が多すぎる相手には、名乗りを一言で分かる2つに絞る

求人を出している会社には、媒体・紹介会社からの営業電話が毎日のように届いています。紹介会社が電話しても、大半の会社に「紹介料は払わない」と断られるほどです。「同じような話は多く、ほとんど断っているので期待しないでほしい」と最初に言われることもあります。

この相手に話を聞いてもらうには、何の電話かを一言で分かってもらうことです。名乗りに入れる強みは、相手が一言で分かる2つに絞ります。たとえば「誰がやっているか」と「何に特化しているか」の2つです。名の通った会社が関わっていること、ひとつの職種や業態に絞っていることは、聞いた瞬間に伝わります。強みを3つも4つも並べると、どれも相手の耳に残りません。

受付と名乗りの決めごと

何の会社かをすぐ言う

前置きが長いと「結局なんの電話?」と警戒されます。会社名の次に、何の件かを一言で伝えます。

「はじめまして」の電話だと伝える

いつもの紹介会社の電話だと思われると、すぐに切られます。初めての連絡だとはっきり言います。

受付では決められない用件にする

用件を少しだけ話し、受付では判断できない内容だと思ってもらうと、担当者につないでもらいやすくなります。

担当者の名前で呼ぶ

採用の担当者の名前が分かる営業リストなら、名前で呼び出します。受付で止められる割合が下がります。

付き合いのある相手には別の話だと言う

人材紹介で付き合いのある先には、「今回は紹介ではなく、求人サイトの件で」と先に伝えます。

信用を確かめられる前提で備える

医療・介護の相手には、許可や認定を受けているかを電話中に調べられることがあります。聞かれたらすぐ答えられるようにしておきます。

大きな病院のように、いつも人を募集している相手でも、代表の受付を通る電話ではまったく前に進まないことがあります。担当者の名前が分かる営業リストを用意できるかどうかが、掲載営業でも結果を分けます。

今求人を出している会社に、担当者がいる時間にかける

掲載営業の相手は「今まさに採用している会社」です。求人サイトに載っている先とハローワークの求人を突き合わせると、「今採用していて、担当者の名前も分かる」営業リストになります。求人サイトの掲載先の一覧だけでは、番号がつながらない先や担当者の分からない先が多く、突き合わせて担当者の名前を入れた営業リストでは、アポが3倍ほどになりました。作り方は「「今採用している会社」の営業リストの作り方」にまとめています。

かける時間も選びます。採用の担当者は、現場や外回りと兼ねていることが多いからです。

求人の数には季節の波もあります。新しく出される求人の数は、1月が年の平均より4〜13%多く、10月も5〜10%多い一方、5月・8月・11月は少なめです(厚生労働省「一般職業紹介状況」、2022〜2025年の新規求人数)。求人を出す会社が増える時期は、掲載営業で話を聞いてもらえる相手が増える時期でもあります。

うまくいった例・いかなかった例

うまくいった例

名乗りに入れる強みを2つに絞った

状況

ひとつの職種に絞った求人サイトを、その職種を採用する事業所に案内していた

やったこと

名乗りに入れる強みを、名の通った会社が運営に関わっていることと、その職種だけに絞っていることの2つにした。紹介で付き合いのある先には、「今回は紹介ではなく求人サイトの件で」と別の話だと先に伝えた

分かったこと

「誰がやっているか」「何に特化しているか」の2つで名乗ると、相手が一言で分かり、媒体の営業でも話を聞いてもらえる。アポも安定して取れるようになった

いかなかった例

費用の話の前に、信用を確かめられた

状況

医療・介護の事業者に、採用の仕組みを電話で案内していた

やったこと

電話の途中で、相手がその場で許可や認定の有無を調べた。確かめられず、「それなら結構です」と断られた

分かったこと

医療・介護の相手は、信用できる会社かを確かめてから話を聞く。許可や認定の有無を聞かれる前提で、答えを用意しておく

いかなかった例

申し込みの後に「思っていたものと違う」と言われた

状況

電話で「求職者が見るサイトと同じものか」と聞かれることが多かったが、違いを深く確かめないまま進めていた

やったこと

申し込みから数日で「問い合わせが全然来ないが、どうなっているのか」と連絡があり、相手が別の仕組みの媒体だと思い込んでいたと分かった

分かったこと

求人媒体は、相手がすでに使っている媒体の物差しで受け取られる。仕組みの違いは、電話と商談で必ず確かめる

まとめ:求人媒体の営業は「売り込み」ではなく「味方」として入ります

求人媒体の掲載営業で押さえること

  • 相手の本音は「払いたくないが、払わざるを得ない」。媒体の良さより先に、この痛みに立つ
  • 媒体疲れには、売り込みではなく、同じく採用費に困っている側として入る
  • 「採用していない」は過去と今後で聞き直す。「一銭もかけない」と言い切る先は追わない
  • 今の媒体を否定せず、「やめてこっち」ではなく「どっちも使う」で話す
  • 名乗りの強みは、相手が一言で分かる2つに絞る
  • 今求人を出している会社に、担当者の名前で、つながる時間にかける

どれも土台にあるのは、「媒体を売る」ではなく「相手の採用の悩みを一緒に軽くする」という考え方です。相手は毎日のように同じような電話を受けています。その中で、味方として名乗り、今の選択を否定せずに足りない所だけを補う電話は、それだけで違う電話として聞いてもらえます。

よくある質問

求人媒体の掲載営業では、最初に何と名乗ればよいですか?
媒体の良さからではなく、相手の痛みから入ります。求人を出している会社の多くは「できれば払いたくないが、払わざるを得ない」状況にあり、採用費の高さに悩んでいます。そのうえで、名乗りに入れる強みは「誰がやっているか」「何に特化しているか」など、相手が一言で分かる2つに絞ります。何の電話かを最初に一言で伝え、前置きは短くします。
「ハローワークで足りている」と言われたら、どう返せばよいですか?
言い返さずに同調し、「無料の求人だけだとなかなか集まらない、定着しないという声も聞きます」と、ほかの会社の話として添えます。ただし、「お金は一銭もかけない」と言い切る相手は、切り返しても答えが変わりません。粘って架電の数を落とすより、次の先に電話する方が早いので、追わずに引きます。
求人媒体の営業は、どんな会社に電話すればよいですか?
今まさに求人を出している会社です。求人サイトに載っている先とハローワークの求人を電話番号で突き合わせると、今採用していて担当者の名前も分かる営業リストになります。担当者の名前で呼び出せると、受付で止められにくくなります。電話は、担当者に一番つながりやすい午前10時台に集め、外に出ることの多い相手は朝か昼休みを狙います。

人材サービス業界での支援事例は「人材サービスの営業代行実績」にまとめています。

このような状況でしたら、

ぜひセグロスにご相談ください

  • 求人媒体の案内の電話が、名乗った時点で断られてしまう
  • 「無料で足りている」「採用していない」と言われると先に進めない
  • ほかの求人サイトと比べられ、違いを伝えきれない
  • 今求人を出している会社の、担当者の名前が分かる営業リストを作りたい
  • 外注したいが、どんな電話をしているのかが見えなくなるのが不安
まずは現状を伺い、「どこで詰まっているか」と「次の一手」を整理します。

(外に任せるべきか、自社で直すべきかも含めて整理します)