登録型派遣の営業は「出せる仕事」と「通える場所」で絞る|派遣会社の方へ

登録型派遣の営業リストの絞り方

この記事でわかること

  • 登録型派遣の営業で、アポが取れても人が出せなくなる理由
  • 「アポの取りやすさ」と「人の出しやすさ」を分けて、当てる仕事を選ぶ考え方
  • 地図の距離ではなく「登録スタッフが通えるか」でエリアを切り、営業リストを回し続けるやり方

このコラムは、次のような方に向けて書いています。

「アポは取れたのに、出せる登録スタッフがいなくて話が止まってしまいます」
「エリアも仕事も絞り込んだら、電話をかける先がすぐに尽きてしまいました」
「同じ営業リストを回し続けていたら、だんだんアポが出なくなってきました」

登録型派遣の営業は、電話で求人をもらえば終わりではありません。もらった求人に合う登録スタッフを出せて、はじめて売上になります。ところが新規開拓の電話は、どうしても「アポが取れそうな先」に寄っていきます。その結果、アポは増えたのに人が決まらない、というずれが起きます。

この記事では、登録型派遣の新規開拓で、どの仕事に、どのエリアで電話をかけるかを決める考え方をまとめます。人材紹介や外国人材の紹介でも、根っこは同じです。人材サービスの営業の良し悪しは、サービスの種類よりも「どこで」「どんな仕事か」で決まります。

前提:登録型派遣の営業は「人がいる場所」と「できる仕事」にしばられる

派遣で働く人は約220万人います。そのうち、派遣会社と期間を決めて雇用契約を結ぶ有期雇用の派遣が約129万人、期間を決めない無期雇用の派遣が約91万人です(厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」)。数の上では、登録型を中心とした有期雇用の派遣がまだ多数派です。

登録型派遣は、派遣会社のサイトなどに登録した人に、仕事を紹介して派遣する形です。登録する人の多くは、自分の住む場所から通えて、自分にできそうな仕事を探しています。つまり、派遣会社が出せる人は、「どこに住んでいるか」と「何ができるか」の2つで決まっています。

人材紹介なら、条件の合う人を広く探しに行くこともできます。登録型派遣は、すでに登録している人の中から出すのが基本です。そのため、電話で取ったアポが登録スタッフの顔ぶれと合っていないと、求人をもらっても人が出せません。

人がいる場所

登録スタッフが住み、通えるエリア

外れた求人は取っても出せない

できる仕事

未経験でできるか、資格が要るか

仕事ごとに母数が大きく違う

求人の時期

求人は2〜3か月ほどで入れ替わる

時期がずれると話が変わる

営業の側から見ると、電話をかける先を決める軸は、この3つです。中でも大事なのは前の2つで、時期は営業リストの回し方で合わせていきます。

エリアと仕事内容、先にどちらを絞るかを決める

派遣の営業リストを作るとき、「出せる人に合わせたい」という気持ちから、エリアも仕事内容も両方を細かく絞りたくなります。ところが、両方を絞ると電話をかけられる先があっという間に尽きます。残るのは、何度かけてもつながらない不在の先ばかりで、同じ先を追いかけ回すだけになります。

実際に、エリアと仕事内容の条件を重ねていった時期は、アポの割合が目に見えて落ちました。狭い営業リストで同じ数のアポを取るのは、それだけ難しくなります。

NG エリアも仕事も両方絞る

電話をかける先がすぐ尽き、不在の先を何度も回すだけになる。アポの数そのものが出なくなる

OK 片方を絞り、もう片方は緩める

エリアを絞ったら仕事は広めに、仕事を絞ったらエリアは通える範囲で広めに取って電話をかける

NG アポの割合で絞り込みを決める

アポが取りやすい地域や仕事に電話が寄り、求人をもらっても人が出せない

OK 出せる人で絞り込みを決める

登録スタッフが多い地域、希望者が多い仕事から先に絞り、取ったアポを人の決定につなげる

どちらを先に絞るかは、派遣会社の登録スタッフの顔ぶれで決めます。特定の地域に登録者が集まっているならエリアを先に絞り、特定の仕事を希望する人が多いなら仕事内容を先に絞ります。

決めたら、もう片方は「出せる人が本当にいないもの」だけを外し、あとは緩めておきます。たとえば大きな都市1つにエリアを絞ったら、その中の仕事は広めに取る。逆に、ある仕事に絞って成約が出ないなら、「紹介できる人がいるエリアがあれば広げる」と割り切ります。

POINT

絞り込みは「両方ギュッと」ではなく、片方を絞ったら、もう片方は緩める。絞り込みで大事なのはアポの割合ではなく、取ったアポで人が出せるかどうかです。

アポの取りやすさと、人の出しやすさは分けて見る

もう一つ分けて考えたいのが、アポの取りやすさと、人の出しやすさです。この2つは、同じ方向を向いているとは限りません。

たとえば工場の製造の仕事は、求人も多く、電話をすれば話を聞いてもらいやすい傾向があります。ところが、特殊な技能が要ったり、音や暑さなど工場ならではの環境があったりして、行ける人が限られます。求人をもらっても、合う登録スタッフが見つからないことがよくあります。

反対に、倉庫の軽作業やフォークリフトの仕事は、未経験でも始めやすく、候補者の母数そのものが多い仕事です。倉庫は職場の環境が整っていれば、主婦層など幅広い人が働けます。架電してみると、こうした倉庫・軽作業の仕事は、事務の仕事のおよそ2倍アポになりやすく、人も出しやすい仕事でした。

仕事 アポの取りやすさ 人の出しやすさ 見方
倉庫の軽作業・フォークリフト 取りやすい 出しやすい 候補者の母数が多い。物流なら工場より倉庫を先に当てる
工場の製造 取りやすい 出しにくい 技能や職場の環境で行ける人が限られる。取っても止まりやすい
ドライバー 取りにくい ― 優先は低い。軽作業も付いている求人なら当ててよい
事務 取りにくい 登録者は多い 希望者は多いが、電話が集中していて会社も自社で採りやすい
接客販売 職場で差がある 接客が中心なら合う 接客が7割で清掃などが3割なら合うが、逆は合わない。旅館やゴルフ場など、店頭の販売ではない接客の方がアポに乗りやすい
飲食 規模で差がある ― 個人の小さな店は「ちょっとしたアルバイトで足りる」と断られやすい。正社員がいる規模なら他の業種と変わらない

表は、架電と、派遣会社の方とのやりとりの中で見えてきた傾向です。アポの割合だけを見て仕事を選ぶと、「アポは取りやすいが決まりにくい」仕事に電話が寄っていきます。決まりやすい仕事は、アポの割合ではなく、登録スタッフの母数で見ます。

公的な数字でも、仕事ごとの差ははっきりしています。2025年平均の有効求人倍率は、生産工程が1.54倍、運搬が1.10倍なのに対して、一般事務は0.34倍です(厚生労働省「一般職業紹介状況」)。一般事務は働きたい人が多く、会社が自分で採りやすい仕事です。派遣会社にも事務の希望者は多いのですが、相手の会社から見ると「自社ですぐ見つかる」仕事でもあります。事務の電話の工夫は「事務職派遣のテレアポ攻略法」にまとめています。

POINT

アポが取りやすい仕事と、人が決まる仕事は同じではありません。自社の登録スタッフが多い仕事から当てると、アポの割合は多少下がっても、人が決まるアポが残ります。

エリアは地図の距離ではなく「通えるか」で線を引く

いちばん避けたいのは、アポは取れたのに、出せる登録スタッフがいないという状態です。これを防ぐには、エリアを「登録スタッフが実際に通えるか」で切ります。

地図の上では電車で20〜30分の距離でも、乗り換えや本数の都合で、実際には50分かかることがあります。地元が好きで、都会の中心へ出るのを嫌がる人もいます。逆に、空いている方向の電車なら、距離があっても行きやすいこともあります。距離ではなく、通勤の実態で線を引くのが基本です。

通えるエリアを決めるときの決めごと

会社の住所ではなく、働く場所の住所で見る

本社の住所で絞った営業リストを働く場所の住所で見直すと、1割強が実際には通えない職場でした。求人の就業場所で判定します。

主要都市と電車で通える隣の市区町村を軸に

人が多い都市の中心と、そこから電車で通える範囲を軸にします。駅が無くバスだけで通う町は、通勤が難しいので外します。

車通勤が要る求人は、登録者を見て決める

都会の登録者は電車で通う人が多く、車を運転しない人も多くいます。車通勤が条件の求人は、登録者に合わせて当てるかを決めます。

駅に近い・送迎があるは、優先する

駅から近い職場や、駅から送迎がある職場は、登録スタッフが行きやすく、紹介しやすい求人です。

会社が受け入れてくれても、登録スタッフとの面談で「通勤がきつい」と断られることは何度もありました。こうなると、会社にも登録スタッフにも手間をかけたうえで話が止まります。仕事の種類よりも、まず距離を優先して営業リストを作り直すべき場面は少なくありません。

休みの条件も、登録者の希望に合わせて見ます。「土日祝休み」にこだわりすぎず、「どこかに決まった休みがある」くらいで拾っておくと、当てられる先が広がります。営業リストを作る細かい手順は「「今採用している企業」の営業リストの作り方」にまとめています。

登録スタッフの顔ぶれに合わせて、架電エリアを動かす

通えるエリアをいちばん正確に知っているのは、登録スタッフを担当している派遣会社の営業担当です。架電する側が地図とにらめっこするより、今すぐ働ける人がどこに住んでいるかを共有してもらう方が、ずっと早く正確にエリアを決められます。

共有してもらうのは、細かな個人の情報ではありません。住んでいる市、いつから働けるか、車で通えるか、事務と接客のどちらの経験があるか、といった、電話先を選ぶのに要る項目だけです。この一覧があると、架電は目に見えてやりやすくなります。

共有する
派遣会社の営業担当が、今すぐ・来月から働ける登録スタッフの住む市、働ける時期、車通勤の可否、経験のある仕事をまとめる
決める
その顔ぶれから、今週電話をかけるエリアと仕事を決める。登録スタッフが多い地域から厚く当てる
かける
決めたエリアと仕事に絞って架電する。「こういう経験の方が、この地域で働きたいと言っている」と具体的に伝える
返す
取れたアポと、断られた理由を営業担当に返す。登録スタッフが決まったり増えたりしたら、一覧を直して次の週のエリアを決め直す

登録スタッフの顔ぶれは、週ごとに変わります。人が決まって一覧から外れることもあれば、新しく登録する人もいます。エリアを一度決めて終わりにせず、週ごとに動かすことで、「アポは取れたが出せる人がいない」を減らせます。

エリアと仕事内容を登録スタッフに合わせ込めば、アポの中身そのものは大きくずれなくなります。

POINT

エリアは一度決めて終わりではありません。登録スタッフの顔ぶれに合わせて週ごとに動かすと、アポの中身がそろい、あとは電話の数を増やすだけ、という状態に持っていけます。

都心の真ん中より、少し外れたエリアで「地域に根を張っている」を押す

エリアを選ぶとき、人口の多い都心の中心は、一見よさそうに見えます。働きたい人も多く、会社も多いからです。ところが、都心の会社には派遣会社や紹介会社からの営業電話や問い合わせが集中しています。同じような電話の1本として扱われやすく、テレアポは意外と難しくなります。

むしろ取りやすいのは、少し外れたエリアです。大きな都市の中心から一駅二駅外れた地域や、工場の多い地域で、「この地域に根を張ってやっています」という見せ方をすると、電話でぐっと話を聞いてもらいやすくなります。地域の名前を出して「うちもこの近くにいます」と伝えるだけで、アポにつながることもあります。

NG どこにでもある派遣会社として名乗る

会社名と「人材のご案内です」だけを伝える。都心の会社には同じような電話が毎日来ていて、その1本として受け流されやすい

OK 地域に根を張っていることを名乗る

地元の人が使う呼び方で地域を言い、「この近くで派遣をしていて、地元で働きたい人がいる」と伝える。近くの会社からの電話として聞いてもらえる

地域の名前は、地図上の正式な名前より、地元の人がふだん使う呼び方で言う方が伝わります。区の名前より「〇〇の方で」と言う方が、近くにいる会社だと感じてもらえます。

人材に限らず、都会の中心より地方の方がアポは取りやすい傾向があります。地域に根を張った見せ方は、通えるエリアで絞ることとも相性がよく、「近くの人を、近くの会社に」という話の筋が通ります。地域密着のほかに、電話で何を違いとして伝えるかは「派遣の種類の伝え方」で詳しく書いています。

POINT

電話が集中する都心の中心で張り合うより、少し外れたエリアで「地域に根を張っている」を前に出す方が、話を聞いてもらえます。通えるエリアで絞ることとも、筋がそろいます。

絞っても母数は確保し、営業リストを入れ替え続ける

エリアや仕事内容で絞るほど、営業リストの件数は減ります。それでも、母数は確保することが大切です。100件の営業リストで4件のアポを取るより、1,000件の営業リストで4件取る方が、ずっと取りやすいからです。絞り込みとあわせて、新しい先を足し続ける仕組みを持っておきます。

もう一つの考え方が、営業リストの使い回しです。受付で一度断られた先でも、2〜3か月ほど空けて電話をすると、担当者につながり、話が進むことがよくあります。一度断られたからといって、その先が使えなくなるわけではありません。

派遣の求人は、今すぐ人が欲しいというより、2〜3か月から半年ほどたって、ちょうど人が欲しくなったときに話がつながることも多いものです。電話をかける側は、その時期に合わせて何度か顔を出しておく、という考え方で回します。

同じ先を何度も回し続けたエリアでは、かけ直しが9割を占めるようになり、アポがほとんど出なくなりました。同じ時期に新しい版の営業リストを足したエリアでは、アポの数を保てました。かけ直しと新しい先の両方を混ぜておくのが大切です。

POINT

受付で断られた先も、2〜3か月空ければまた使えます。営業リストは「1回断られたら終わり」ではなく、時期を空けて回し続けるものです。ただし、それだけに頼らず、新しい求人の先を足し続けます。

うまくいった例・いかなかった例

うまくいった例

エリアを1つの都市に絞り、仕事の条件はそのままにした

状況

広いエリアで架電していて、アポは出ても人が決まらない状態が続いていた

やったこと

登録スタッフが通える大きな都市1つにエリアを絞り、仕事内容の条件は変えずに当てた。物流会社の未経験可の事務など、エリアと仕事内容がはっきり定まった求人に電話した

分かったこと

すぐに顔合わせのその場で合格が出て、人が決まった。エリアと仕事内容を絞るとアポの割合は半分ほどに下がったが、人が決まるようになった。アポの割合と、人が決まることは別に見る

いかなかった例

会社は受けてくれたのに、通勤で断られた

状況

派遣先の会社からは「ぜひ」と言ってもらえたが、登録スタッフとの面談で「通勤距離が遠い」と断られることが何度かあった

やったこと

仕事の種類よりも距離を最優先にして、通える範囲で営業リストを作り直した

分かったこと

地図の距離が近くても、乗り換えや本数で実際の通勤は長くなる。会社が受けてくれることと、人が通えることは別で、エリアは登録スタッフの側から決める

うまくいった例

「募集は終わった」と言われた先が、別の仕事でアポになった

状況

受付で一度「募集は終わりました」と断られた会社だった

やったこと

「御社で働きたいと希望している方がいる」と伝えると、代表の方につながった

分かったこと

品質管理など、別の仕事で募集していることが分かりアポになった。求人票の仕事だけでなく、登録スタッフを入口にすると、ほかの募集が見えることがある

POINT

どの例も、分かれ目は「取ったアポで人を出せたか」でした。アポの割合より先に、登録スタッフがその仕事に、その場所へ行けるかを見ます。

まとめ:登録型派遣の営業は「出せる人」から逆に電話先を決める

登録型派遣の営業リストで押さえること

  • 登録型派遣の営業は「人がいる場所」と「できる仕事」にしばられる
  • エリアと仕事内容は両方を絞らない。片方を絞ったら、もう片方は緩める
  • アポの取りやすさと人の出しやすさは別。決まりやすい仕事は登録スタッフの母数で見る
  • エリアは地図の距離ではなく、働く場所の住所と通勤の実態で線を引く
  • 登録スタッフの顔ぶれを共有してもらい、週ごとに架電エリアを動かす
  • 都心の真ん中より、少し外れたエリアで地域に根を張っていることを押す
  • 絞っても母数は確保し、断られた先は時期を空けてかけ直す

どれも土台にあるのは、「アポが取れる先」からではなく、「出せる人」から逆に電話先を決めるという考え方です。登録型派遣の新規開拓は、アポの数より、取ったアポで人を出せるかで決まります。営業リストの作り方を登録スタッフの顔ぶれに合わせれば、アポの中身はぶれなくなり、あとは数を積み上げるだけになります。

よくある質問

登録型派遣で、人を出しやすい仕事はどれですか?
倉庫の軽作業やフォークリフトのように、未経験でも始めやすく、候補者の母数が多い仕事です。工場の製造の仕事はアポは取りやすいものの、技能や職場の環境で行ける人が限られ、求人をもらっても人が見つからないことがあります。仕事を選ぶときは、アポの割合だけでなく、自社の登録スタッフの母数を見て決めます。
派遣の営業リストは、どこまでエリアを絞ればよいですか?
登録スタッフが実際に通えるかで決めます。主要都市の中心と、そこから電車で通える隣の市区町村を基本にし、駅が無くバスだけの町は外します。判定は会社の本社ではなく、求人の働く場所の住所で行います。ただし、エリアと仕事内容の両方を細かく絞ると電話先が尽きるので、片方を絞ったらもう片方は緩めます。
一度断られた会社に、また電話してもよいですか?
かまいません。受付で断られた先でも、2〜3か月ほど空けると担当者が代わっていたり、新しい募集が出ていたりして、話が進むことがよくあります。断られた理由と日付を営業リストに残しておき、時期を決めてかけ直します。あわせて、新しい求人の先も足し続けます。

人材サービス業界での支援事例は「人材サービスの営業代行実績」にまとめています。

このような状況でしたら、

ぜひセグロスにご相談ください

  • 登録型派遣の新規開拓で、アポは取れるのに人が出せない
  • エリアや仕事内容を絞ったら、電話をかける先が尽きてしまった
  • 同じ営業リストを回し続けて、アポが出にくくなっている
  • 登録スタッフの顔ぶれに合わせて、架電の計画を立て直したい
  • 外注したいが、活動の中身が見えなくなるのが不安
まずは現状を伺い、「どこで詰まっているか」と「次の一手」を整理します。

(外に任せるべきか、自社で直すべきかも含めて整理します)