事務職派遣の営業は「他と同じ電話」に聞こえたら終わる|派遣会社の方へ

事務職派遣のテレアポ攻略法

この記事でわかること

  • 事務職の派遣営業が、ほかの職種よりアポになりにくい理由
  • 「また派遣の電話」と思われないための、違いの出し方と人物の伝え方
  • 人を出せない事務の外し方と、事務の求人が動く時期の読み方

このコラムは、次のような方に向けて書いています。

「事務を希望する登録スタッフはたくさんいるのに、事務の求人でアポが取れません」
「『事務の方を紹介できます』と言っても、すぐに『間に合っています』と切られます」
「せっかくアポが取れても、商談で求める経験が合わずに止まってしまいます」

事務は、派遣会社にとって一番人を出したい職種です。事務を希望する登録スタッフは多く、派遣会社から営業の依頼が一番多いのも事務の求人です。ところが、テレアポの難しさで言えば、事務はほかの職種より一段上になります。

理由は単純で、どの派遣会社も紹介会社も、まず事務を狙うからです。相手の会社には同じような電話が何度も来ていて、普通に「事務の方を紹介できます」と言うだけでは、ほかと同じ電話に映ります。この記事では、事務職の派遣営業で、よくある電話に埋もれずにアポを取る考え方をまとめます。

前提:事務は一番人気の職種。求人は多いが、埋まるのも早く、同じ電話も多い

まず、事務という職種が、採用の市場でどんな位置にあるかを見ておきます。厚生労働省「一般職業紹介状況」によると、2025年平均の有効求人倍率は、職業全体で1.12倍です。これに対して、事務の中でも差がはっきり出ています。

職業 有効求人倍率 読み取れること
一般事務 0.34倍 働きたい人が求人の約3倍いる。会社は自分で人を集めやすい
営業・販売事務 1.00倍 求人と働きたい人がほぼ同じ数。一般事務より人が集まりにくい
職業全体 1.12倍 全体では人手が足りない側にある

一般事務は、働きたい人が多く、会社が自分で採りやすい仕事です。会社の側から見ると、「事務なら自社ですぐ見つかる」と思われやすく、派遣の電話は後回しになります。一方で、営業事務のように、一般事務より人が集まりにくい事務もあります。同じ「事務」でも、どの事務に当てるかで電話の通り方は変わります。

架電の数字でも、事務の難しさははっきり出ます。事務のアポは、どの派遣会社の案件でも、倉庫・軽作業などの現場の仕事より低めにそろい、現場の仕事の半分ほどにとどまりました。加えて、事務は人気職種なので、募集を出してもすぐに埋まります。接客の募集より、締まるのが目に見えて早く、電話をすると「最近決まりました」という返事が多くなります。

POINT

事務は「求人が多いから取りやすい」のではなく、人気だから同じ電話が多く、埋まるのも早い職種です。だからこそ、電話の中身で違いを作る必要があります。

「ほかの派遣とは違う」と言える点を1つだけ前に出す

同じ電話が何度も来ている相手に対して、まず必要なのは「いつもの派遣の電話とは違う」と分かってもらうことです。事務の電話は、どれだけ頑張ってもほかと同じに映りやすいので、違いを1つに絞って、はっきり前に出します。

難しいと思って試した事務で、思いのほかアポが取れたことがあります。そのときの派遣会社は、強みや特徴がはっきりしていて、「何でもかんでも、よく分からない人を出す会社ではない」と言い切れました。違いが言い切れると、事務でも話を聞いてもらえます。

NG 違いをいくつも並べる

無期雇用であること、紹介予定派遣もできること、地域に根を張っていることを、まとめて並べて話す
→ どれも相手に残らず、結局「いつもの派遣の電話」に聞こえる

OK 一番の違いを1つだけ言い切る

その会社の一番の違いを1つに絞り、あいさつの一言目で言い切る。事務の求人なら「合えば御社の正社員に切り替えられます」
→ 最初の一言で区別がつき、続きを聞いてもらえる

前に出す違いは、会社によって違います。無期雇用で社員を派遣していること、正社員への切り替えができること、紹介予定派遣も扱えること、その地域に根を張っていることなどです。事務の求人では、とくに正社員への切り替えが効きます。会社は「ずっと派遣を使うくらいなら、社内の人にしたい」と考えることが多く、事務は正社員にしたい意向が強い職種だからです。

種類ごとの言い方や、登録型の派遣会社が何を違いにすればよいかは「派遣の種類の伝え方」で詳しく書いています。

求人票の仕事内容から「この仕事を希望している人」を語る

違いを伝えたら、次は人です。「事務の募集を出されていますよね。事務を希望している方がいます」というくらいの浅い話は、誰でも言えます。事務の求人票には、仕事内容や会社の特徴、どんな人に来てほしいかが細かく書かれていることが多いので、その中身に合わせて「この会社の、この仕事を希望している人」を語ります。

「希望している人がいます」より、「御社のこの仕事を見て、働きたいと言っている方がいます」の方が、アポは取れます。求人票を読み込んでいることが伝わり、相手は「うちのことを見て電話してきた」と受け止めます。

読む
求人票の仕事内容、会社の特徴、「こういう人に応募してほしい」というメッセージを読む。来客対応があるか、営業の補佐か、経理の手伝いかを見る
重ねる
自社の登録スタッフに多い経歴を、その仕事に重ねる。接客の経験があり事務に移りたい人が多いなら、来客対応や営業事務に結び付ける
具体にする
「事務の経験者がいます」ではなく、「一般事務を数年経験した方が複数名います」のように、経験の中身と人数で言う
伝える
求人票の言葉に合わせた人物像を、「御社で働きたいと希望している方」として伝える

たとえば、接客販売の経験があって、少し営業もかじっていた人は、営業事務にぴったり合います。お客様の目線を持ちながら事務ができる、と伝えられるからです。登録スタッフに多い経歴が、そのまま求人に合う人物像になります。

実際に働きたい人がいるなら、その人の情報を使うのが一番です。住む市、いつから働けるか、事務と接客のどちらの経験があるか、といった情報を営業担当から共有してもらい、本人ありきでアポを取ると、話が一番早く進みます。求人票の読み込み方は「外国人材の紹介会社のテレアポ攻略法」でも、欄ごとに詳しく書いています。

POINT

事務の電話は、求人票の言葉で人物を語れるかどうかで、ほかの電話と分かれます。ここは時間がかかっても省きません。

人を出せない事務は、電話の前に営業リストで外す

事務のアポで一番困るのは、アポは取れたのに、その事務に出せる人がいないことです。事務には、未経験でもすぐ始められる事務と、資格や長い経験が要る事務があります。後者に電話をしても、取れたアポは商談で止まります。

これを電話口の判断に任せると、架電する人によってぶれます。だから、出せない事務は、電話の前に営業リストで外しておきます。

外す事務 外す理由
医療事務・調剤事務 資格を求められ、診療報酬の請求(レセプト)の経験が要ることが多い。忙しい時期も冬に寄り、時間も短くなりやすい
保険の事務 保険業界での実務経験を必須にしている求人が多い
貿易事務 外国語が必須で、求められる水準が高い。派遣に慣れていない会社も多い
長い経験が要る経理 経理の実務を3年以上など、長い経験を求める求人は合う人がいない。1年ほどの経験でよい求人なら残す
事務の名目の現場作業 介助・送迎・配送・運転など、仕事内容を読むと事務ではない求人

職種の名前だけで外すと、漏れや外しすぎが出ます。外すかどうかは、求人票の仕事内容の文章で判断するのが確実です。社会保険労務士の事務所のように、給与計算や労務の事務の先として残した方がよいものもあります。

会社の形でも傾向があります。小さく昔ながらの会社や、専門の資格が要る事務所は、アポになりにくい傾向がありました。派遣を使ったことがなく、担当の方に決める権限もない、ということが多いからです。大きすぎる会社も、電話では進みにくい傾向がありました。

それでも外しきれない求人はあります。アポが決まったら、最後に「募集の求人で、必ず要るスキルや経験はありますか」と確かめます。外国語が必須など、出せる人がいないと分かったら、アポにはしません。この一言は、商談の準備にも役立ちます。営業リストを作る細かい手順は「「今採用している企業」の営業リストの作り方」にまとめています。

当てるのは「未経験でもいける事務」と営業事務

外す事務を決めたら、反対に、どの事務に当てるかです。当てるのは、未経験でもいける事務です。派遣会社に事務を希望して登録する人の多くは、事務の経験が浅いか、ほかの仕事から事務に移りたい人だからです。架電の中で、話が進みやすかったのは次の3つでした。

「全部あります」の事務

来客・電話・書類・メール対応

人が来て働く前提の仕事

営業事務

営業の補佐、受注や納品の管理

商談に進みやすい事務

入力中心の事務

パソコンでの入力ができればよい

取れれば話が早く進む

来客対応や電話、銀行とのやりとりなど、いろいろな仕事をまとめて任せる事務は、人が職場に来て働くことが前提です。派遣で人を出す話とよくかみ合います。

営業事務は、一般事務より人が集まりにくい事務です。どの事務が商談に進みやすいかで見ても、営業事務が一番でした。接客や販売の経験がある登録スタッフを合わせやすい点でも、狙い目です。

パソコンでの入力ができれば未経験でもよい、という事務の求人も、取れれば話が早く進みます。求人票に「未経験可」とあっても、会ってから経験を求められることがあるので、仕事内容の文章までよく読んでから当てます。

POINT

事務は「どこの地域か」より、「どんな事務か」で選ぶ方が結果が出ます。事務なら地域による差はあまりありません。

事務は量をまとめてかけ、年末から春の時期を読む

事務は、少しずつかけて少しずつ取る、という進め方に向きません。200件ほどかけたくらいでは、何が正解かが見えてこないからです。量をまとめてかけ、まとめて取る方が、アポの数も見込めます。そのうえで、事務の求人が動く時期に、量を寄せます。

冬は退職する人が出て、事務の求人も増えます。その分、埋まるのも早い時期です。年明けからは営業リストを新しい求人の版に替え、今募集している先に量をまとめて当てます。

4月に向けては、会社も求人媒体や直接応募で正社員を採ろうとします。その時期に、派遣の電話は競り負けやすくなります。だからこそ、2月ごろに募集が思うように進んでいない先が狙い目です。「最近決まりました」と断られた先も、時期を空ければまた話せることがあります。

事務だけに振り切らず、現場の仕事と組み合わせて量を保つ

事務は派遣会社が一番人を出したい職種なので、架電を事務だけに振り切りたくなります。ところが、事務だけに絞った月は、アポの割合が全体の半分以下に落ちました。事務は、時期や地域によっては求人そのものが少ないこともあります。

そこで、事務を軸にしながらも、倉庫の軽作業など、未経験でもできる現場の仕事と組み合わせて、架電の量とアポの数を保ちます。派遣会社への依頼も、事務の次に多いのは軽作業や物流倉庫の梱包など、未経験でもできる仕事です。

事務と現場の仕事を組み合わせるときの決めごと

事務の量は、まとめて確保する

事務を少しずつ混ぜるのではなく、事務に当てる時期と量を決めて、まとまった数をかけます。

事務が細る時期は現場の仕事で支える

事務の求人が少ない時期や地域は、軽作業など現場の仕事の割合を増やし、アポの数を保ちます。

条件を緩めるなら、営業リストから

事務の当て先を広げるときは、アポの条件より先に、営業リストの条件(給与やパート募集など)を広げます。

出せる人の顔ぶれで割合を決める

事務と現場の割合は、今すぐ働ける登録スタッフの希望と経験に合わせて、週ごとに見直します。

現場の仕事の選び方や、エリアの絞り方は「登録型派遣の営業リストの絞り方」にまとめています。

うまくいった例・いかなかった例

うまくいった例

難しいと思って試した事務で、目標を大きく上回った

状況

事務はアポになりにくいと分かっていたが、派遣会社の登録スタッフに事務の希望者が多く、事務に当てることになった

やったこと

その会社ならではの違いを、あいさつの一言目で言い切った。何でもかんでも人を出す会社ではないことを、はっきり伝えた

分かったこと

事務のアポは目標を大きく上回った。事務でも、違いが言い切れれば、ほかの電話と区別して聞いてもらえる

いかなかった例

求める経験が高すぎる貿易事務のアポを取ってしまった

状況

以前断られた先にかけ直したところ、「人が決まる予定だったが決まらなかった。話を聞きたい」と言われ、貿易事務のアポになった

やったこと

そのまま商談に進んだが、求人は高い語学の資格が必須で、出せる人がいなかった

分かったこと

貿易事務は営業リストから外し、アポの後に「必ず要るスキルや経験」を確かめる一言を足した。出せない事務は、電話口ではなく仕組みで外す

いかなかった例

事務だけに振り切った月に、アポが大きく落ちた

状況

登録スタッフに事務の希望者が多かったため、1か月の架電のほとんどを事務に振り切った

やったこと

電話をかける先のほぼすべてを事務の求人にした

分かったこと

アポの割合は全体の半分以下に落ちた。その後、倉庫の軽作業など現場の仕事を中心に当てる方針に切り替えた。事務だけに頼ると、量もアポも細る

POINT

事務で結果を分けたのは、違いを言い切れたか、出せない事務を先に外せたか、量のバランスを取れたかの3つでした。

まとめ:事務職派遣の営業は「違い」と「具体さ」で決まる

事務職派遣の営業で押さえること

  • 事務は一番人気の職種。求人は多いが、同じ電話も多く、埋まるのも早い
  • 「ほかの派遣とは違う」と言える点を、1つに絞って一言目で言い切る
  • 求人票の仕事内容に合わせて、「この仕事を希望している人」を具体的に語る
  • 医療・保険・貿易・長い経験が要る事務は、電話の前に営業リストで外す
  • 当てるのは未経験でもいける事務と営業事務。地域より事務の中身で選ぶ
  • 事務は量をまとめてかけ、年末から春の求人の動きに合わせる
  • 事務だけに振り切らず、現場の仕事と組み合わせて量を保つ

どれも土台にあるのは、相手に「いつもの派遣の電話」と思わせないという考え方です。違いを一言で言い切り、求人票の言葉で人を語り、出せる事務だけに当てる。この3つがそろえば、一番むずかしい事務の求人でも、話を聞いてもらえる相手は確実に増えていきます。

よくある質問

事務職の派遣は、なぜテレアポでアポが取りにくいのですか?
どの派遣会社も紹介会社も一番狙うのが事務なので、相手の会社には同じような電話が何度も来ているからです。また、一般事務は働きたい人が多く、会社が自分で採りやすい仕事でもあります(2025年平均の有効求人倍率0.34倍、厚生労働省)。普通に「事務の方を紹介できます」と言うだけでは、ほかと同じ電話に映ります。
事務職派遣の営業リストでは、どんな求人を外せばよいですか?
人を出せない事務を外します。資格や診療報酬の請求の経験が要る医療事務・調剤事務、業界経験が必須の保険の事務、外国語が必須の貿易事務、長い実務経験を求める経理・会計の事務、事務の名目で介助や運転などをする求人です。職種名だけでなく、仕事内容の文章で判断し、アポの後にも必ず要る経験を確かめます。
事務職派遣の電話は、どの時期にかけるのがよいですか?
年明けから2月は、4月入社に向けた事務の求人が増えるので、量をまとめてかける時期です。ただし直接応募や正社員採用ともぶつかり、埋まるのも早くなります。3月前後は、募集が思うように進んでいない先に、4月直前の人手として派遣を提案するのが効きます。

人材サービス業界での支援事例は「人材サービスの営業代行実績」にまとめています。

このような状況でしたら、

ぜひセグロスにご相談ください

  • 事務を希望する登録スタッフは多いのに、事務の求人でアポが取れない
  • 事務の電話が、ほかの派遣会社と同じに聞こえてしまっている
  • アポは取れても、求める経験が合わずに商談で止まってしまう
  • 事務の求人が動く時期に合わせて、架電の計画を立てたい
  • 外注したいが、活動の中身が見えなくなるのが不安
まずは現状を伺い、「どこで詰まっているか」と「次の一手」を整理します。

(外に任せるべきか、自社で直すべきかも含めて整理します)