「派遣はいらない」を変える、派遣の種類の伝え方|派遣会社の営業の方へ

この記事でわかること
- 相手が「派遣」と聞いて身構える本当の理由と、その打ち消し方
- 無期雇用・紹介予定派遣・正社員への切り替えを、電話で「何を・どの順で」言うか
- 登録型の派遣会社が、ほかの派遣会社との違いとして何を出せばよいか
このコラムは、次のような方に向けて書いています。
派遣会社の新規開拓の電話で、いちばん多い断りは「うちは直接雇用だけです」「正社員しか採りません」です。言葉どおりに受け取ると、派遣を使う気のない会社に見えます。ところが、その多くは派遣という仕組みそのものを嫌っているのではありません。「派遣」と聞いた瞬間に浮かぶイメージを嫌っています。
この記事では、無期雇用・紹介予定派遣・派遣から正社員への切り替えといった派遣の種類を、電話でどう伝えるかをまとめます。制度の説明の仕方ではなく、何を、どの順で言えば相手が話を聞いてくれるかという型です。
前提:紹介と派遣、派遣の種類の違いを相手の目線で整理する
電話の相手は、派遣の種類を細かく知っているとは限りません。むしろ多くの会社にとって「派遣」は1つのイメージでくくられています。まずは、売る側が自分の扱う種類を、相手から見てどう映るかで整理しておきます。
| 種類 | 中身 | 相手から見た印象 |
|---|---|---|
| 人材紹介 | 働く人は紹介先の会社と直接雇用を結ぶ。入社が決まったときに紹介料を払う | とにかく良い人が欲しいときに使う |
| 登録型の派遣 | 派遣会社に登録した人を、仕事ごとに雇って派遣する | どんな人が来るか分からない、急に辞めるかもしれない |
| 無期雇用の派遣 | 派遣会社が期間を決めずに雇っている社員を派遣する。派遣が終わっても雇用は続く | 派遣会社が、何ができるかを分かっている人が来る |
| 紹介予定派遣 | 派遣で働いたあと、双方が合意すれば派遣先が直接雇用する。派遣の期間は6か月まで | 合うかどうかを見てから正社員にできる |
| 派遣から正社員への切り替え | 派遣で働いてもらったあと、条件を決めて派遣先の正社員に切り替える。紹介予定派遣とは別に扱う会社もある | 試用期間のように使ってから、正社員にできる |
紹介予定派遣は、ふつうの派遣と違って、派遣で働き始める前に面接をしたり、履歴書を受け取ったりできます。直接雇用したあとに、あらためて試用期間を設けないことも決まりになっています(厚生労働省)。2024年度に紹介予定派遣で派遣された人は25,535人で、そのうち13,881人、およそ半分が直接雇用につながりました(厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」)。
派遣で働く人は約220万人で、無期雇用の派遣が約91万人、有期雇用の派遣が約129万人です(同)。数の上では、期間を決めて雇う派遣がまだ多数派です。だからこそ、相手の頭にある「派遣」は、多くの場合「登録型の派遣」の姿をしています。
POINT
相手が嫌がっているのは「派遣」ではなく「どこの誰か分からない人」
派遣を嫌う会社が思い浮かべているのは、「どこの誰か分からない人が急に来て、急にシフトに穴をあけたり、急に辞めたりする」という姿です。派遣会社の側も、送る人がどんな人かをよく分からないまま派遣することがあり、それが業界全体の印象になっています。実際に電話をしていると、「よく分からない人を派遣された」という経験を持つ会社に何度も出会います。
このイメージを持つ相手に、「無期雇用型です」「紹介予定派遣です」と制度の名前を伝えても響きません。名前を聞いただけでは、自分の不安がどう消えるのかが分からないからです。伝えるのは名前ではなく中身です。
NG 制度の名前で伝える
「弊社は無期雇用型の派遣会社でして、紹介予定派遣も扱っております」
→ 相手にはどちらも「派遣」に聞こえ、いつもの派遣の電話として断られる
OK 中身で伝える
「登録型ではなく、自社で雇っていて、何ができるか分かっている社員を派遣しています」
→ 相手の不安(どこの誰か分からない人が来る)に直接答えているので、話を聞いてもらえる
「そうじゃないですよ」という話をすればするほど、相手は「そうなんだ」と受け止めてくれます。中身で伝えるときは、相手の不安を1つずつ言葉にして、それに答える形にすると伝わりやすくなります。
もう一つ、違う種類であることは、相手の「すでに付き合っている派遣会社」と比べたときにも効きます。「派遣会社とは何社も契約しているので新規は無理」と言われた先でも、話を聞いていくと「無期雇用の派遣会社とは付き合っていない」ということがあります。世の中の派遣会社は登録型が多いので、種類の違いは、すでに埋まっている取引先の中に入り込む理由にもなります。
POINT
派遣を「御社の正社員採用につなげる入口」として話す
「うちは直接雇用だけ」は、反射的に返ってくる断りです。ここで「派遣のよさ」を説明し始めると、派遣会社と、人を募集している会社の、売る側と買う側の話になります。相手はますます身構えます。
そこで、立ち位置を変えます。派遣会社の立場から離れて、相手の採用の側に回るのです。「正社員を採りたいのは、こちらも同じです。その手段として、入口が派遣なだけです」と伝えると、どの会社にも当てはまる話になります。電話先からよく返ってくるのは、次のような声です。
3つ目の声のように、正社員にしたいという希望はどの会社にも共通しています。派遣を「正社員採用の入口」として話すと、この希望とぶつからず、むしろ沿う形になります。言い方は、次の3つが軸になります。
選べる
派遣の期間で合うかを見てもらう
合えば正社員、合わなければ終了
つなぐ
採用が決まるまでの人手を埋める
よい人ならそのまま直接雇用
長く働く
すぐ終わる・すぐ辞めるの不安を消す
教えた人が残る前提で話す
人を採ろうとすれば時間がかかるのは当たり前です。とはいえ、人を集めている間も人手は足りていません。その一時的な期間を派遣で埋め、その人がよければそのまま直接雇用してもらう、という話は、正社員採用と張り合いません。「派遣はすぐに終わる」「せっかく教えてもどこかに行ってしまう」というイメージも強いので、長く働いてもらう前提であることもあわせて伝えます。
正社員への切り替えを前に出した月は、取れたアポのすべてが、切り替えの話がきっかけでした。トークを大きく変えたわけではなく、押す所をはっきりさせただけです。仕事による違いもあります。事務は「ずっと派遣を使うくらいなら社内の人にしたい」と考える会社が多く、切り替えの話がよく効きます。一方、工場の現場の仕事は景気の波が大きく、正社員を考えていない会社も多いので、通常の派遣のままの方が合うこともあります。
何を・どの順で言うか。違いを先に、募集の確認は後に
伝える中身が決まったら、次は順番です。同じことを言っても、順番を間違えると断りの言葉を引き出してしまいます。
よくあるのは、担当者につながってすぐ「今、募集されていますか」と聞く形です。相手は「どうせ派遣の営業だろう」と思いながら答えるので、募集があっても「ありません」「最近足りました」と返ってきます。また、受付で「派遣の件で」「人材紹介の件で」と名乗ると、営業だとすぐに分かり、担当者までつながりません。ねらうのは、受付の方に「よく分からないけれど、大事そうな話だからつないでおこう」と思ってもらうことです。
最後の確かめは、アポを減らすためではありません。紹介ではなく派遣であること、必須の経験があるかを確かめておくと、商談で「派遣とは思っていなかった」「その経験の人はいない」というずれを防げます。募集が無い、派遣は検討の余地がない、と分かった先は、無理にアポにしません。
あいさつで言い切る「一番の違い」は、会社によって違います。無期雇用で社員を派遣している会社なら、それを一言目に言うくらいの勢いでかまいません。名前を伏せた方が伝わる相手もいます。技術者を派遣している会社が、「無期雇用」という言葉を出さずに、社員ができる仕事の中身だけを伝えた方が通じた、ということもあります。
登録型の派遣会社なら、何を「違い」にするか
無期雇用や正社員への切り替えは、強い違いになります。では、登録型の派遣を中心に扱う会社は、何を違いにすればよいのでしょうか。制度で差がつかないなら、「誰を、どこで、どんな形で出せるか」で差をつけます。架電の中で反応がよかったのは、次の3つです。
紹介予定派遣も選べる
合うかを見てから正社員にできる
派遣が初めての会社にも届く
地域に根を張っている
その地域で長くやっている
電話が集中する都心の外で効く
働きたい人が実際にいる
近くに住み、その仕事を希望する人
いつもの電話と違って聞こえる
紹介予定派遣は、登録型の派遣会社でも扱えることが多い仕組みです。「正社員への切り替えができる紹介予定派遣も行っています」と添えるだけで、通常の派遣は足りているという会社が「それなら検討できる」と答えることがあります。派遣を使ったことがない会社でも、「3〜6か月派遣で働いてもらい、お互いに合えば正社員に切り替える形です」と仕組みを説明しただけで日程の調整に応じてもらえた例があります。
働きたい人が実際にいる、という伝え方も、登録型の会社の強みになります。登録スタッフの中から、その会社の近くに住み、その仕事を希望している人を具体的に言えると、どこの誰か分からない人ではなくなります。エリアの絞り方は「登録型派遣の営業リストの絞り方」、求人票に合わせた人物の伝え方は「事務職派遣のテレアポ攻略法」で詳しく書いています。
その地域に根を張っていることも、違いになります。都心の会社には派遣会社の電話が集中していますが、少し外れた地域では、地元の人が使う呼び方で地域を言い、「この地域で長くやっている」と見せる方が、近くの会社からの電話として聞いてもらえます。
POINT
切り替えは押しすぎず、誤解されやすい所は一言で先に伝える
正社員への切り替えは強い武器ですが、押しすぎると別の問題が起きます。紹介だけを望む会社や、「派遣は嫌だが、正社員になる人なら会いたい」という会社までアポになり、商談で話がかみ合わなくなります。押しすぎず、誤解されやすい所は電話の場で一言先に伝えて、刺さりすぎた先を省きます。アポを取る力は落とさずに、ずれだけを減らす考え方です。
誤解されやすい所は2つあります。1つは、紹介予定派遣かどうかです。最初から「紹介予定派遣しか受けない」という会社も多く、派遣から正社員への切り替えを紹介予定派遣と同じものと受け取られると、商談でずれます。紹介予定派遣ではない仕組みなら、そのことを一文入れておきます。もう1つは、切り替えのときの手数料です。電話で聞かれたときの答え方を、あらかじめ決めておきます。
| 聞かれること | 答え方 |
|---|---|
| 切り替えの手数料は? | 金額を決め打ちしない。「派遣で何か月働いたあとに切り替える場合の目安」と、条件をセットで伝え、詳しくは商談で話す |
| 紹介予定派遣のこと? | 違うなら、その場で「紹介予定派遣ではなく」と一言で伝える。どちらも扱うなら、違いを短く伝えて相手に選んでもらう |
| 派遣の単価は? | 答えるだけで終わると、相手が決める側に回る。「一度お話しする機会をいただけないでしょうか。〇日か〇日はいかがですか」まで必ずセットで言う |
| 履歴書を送ってほしい | 通常の派遣では履歴書は出せないことを伝え、働きたい人の経歴をまとめた資料で応える |
| 紹介だけ頼みたい | 派遣を売るなら、紹介だけを望む先はアポにしない。紹介予定派遣を出せる会社なら、「数か月見ていただいてから紹介する形なら力になれる」と返せる |
手数料の受け止め方は、相手によって大きく違います。同じ金額を伝えても、「他社に比べて安いですね」と言う会社と、「手数料がネックで難しい」と言う会社に分かれました。だから電話では金額で勝負せず、条件を添えて商談に回します。冒頭から金額に強く反応する相手には、「派遣で一定期間働いていただいたあとに切り替える場合の目安です」と一言足しておくと、商談でのずれを防げます。
一度「手数料が高い」と断った会社に、業務の内容によっては別の形でも案内できると伝えたところ、直接会って話したいとなった例もあります。手数料の話は、断りの理由であると同時に、次の電話の理由にもなります。
「ハローワークのみ」「派遣は絶対無理」は電話で覆そうとしない
どんなに伝え方を工夫しても、電話で動かない相手はいます。お金を一銭もかけないと決めている会社や、派遣と分かったうえで話を聞かない会社です。過去に派遣の人との間で問題が起き、まだその傷が癒えていない会社もあります。こうした相手に電話で粘ると、1時間あたりにかけられる件数が落ちるだけで、商談にはなりません。
一方で、同じ断りでも、勢いの違う断りがあります。「うちは派遣は結構です」と言い切る相手と、「募集はあるんですけど、派遣は使ったことがないんですよね」と迷いを含む相手です。引く相手と、一歩踏み込む相手を分けることが大切です。
引く・踏み込むの決めごと
「ハローワークのみ」は引く
求人にお金をかけないと決めている相手です。粘って1時間にかけられる件数を落とすより、切り返さずに次の先に移る方が早いです。
迷いを含む断りには踏み込む
「募集はあるが、派遣は使っていない」という相手には、「選択肢の一つとして聞いていただけないか」と一歩だけ踏み込みます。
派遣への強い拒否は商談の場で
派遣と分かったうえで嫌う相手を、電話で覆すのは難しい。本来は商談で、顔を合わせて話す相手です。
「パートなら募集」は決めつけない
派遣ではなくパートなら募集している、という相手は、話の様子で判断します。派遣は絶対に無理と言われたら、無理に取りません。
電話でできるのは、「一つの選択肢として話を聞いてもらう」ところまでです。相手のイメージを電話の数分でひっくり返そうとせず、商談につなぐ役に徹します。断りごとの返し方は「人材会社の断りへの返し方」、商談で話がずれたときの見直し方は「人材会社の商談で受注しない原因の分け方」にまとめています。
うまくいった例・いかなかった例
派遣を使ったことのない会社に、紹介予定派遣の仕組みを伝えた
状況
派遣を一度も使ったことがない会社に架電した。通常の派遣の話だけでは、使うきっかけがない相手だった
やったこと
通常の派遣に加えて紹介予定派遣も扱っていることと、「数か月派遣で働いてもらい、お互いに合えば正社員に切り替える」という仕組みを説明した
分かったこと
説明だけで日程の調整に応じてもらえた。派遣に慣れていない会社ほど、「合うかを見てから正社員にできる」という中身が伝わりやすい
「直接雇用しか考えていない」先に、社内で相談するための資料を送った
状況
電話の時点では「直接雇用しか考えていない」と言われた
やったこと
断りを電話で覆そうとせず、「社内で相談するときに、手元に資料があった方が分かりやすい」と伝えて資料の送付を提案した。了承を得て、働きたい人の経歴をまとめた資料を送った
分かったこと
メールのやりとりが始まり、求人をもらえた。電話で答えを迫らず、相手が社内で話しやすい材料を渡すと、断りが入口に変わることがある
切り替えの手数料に冒頭から反応した先と、商談がかみ合わなかった
状況
正社員への切り替えを前に出したところ、切り替えの手数料の金額に強く反応する会社が出てきた
やったこと
そのままアポにして商談に進んだ
分かったこと
相手は手数料の安い紹介を求めていて、派遣の話とずれた。トークは変えず、金額に強く反応した相手にだけ「派遣で一定期間働いたあとに切り替える場合の目安」と一言足すことにした
POINT
まとめ:派遣の種類は「名前」ではなく「中身」で伝える
派遣の種類を伝えるときに押さえること
- 相手の頭の中の「派遣」は、多くの場合「登録型の派遣」の姿をしている
- 嫌われているのは「どこの誰か分からない人」。種類の名前ではなく中身で打ち消す
- 派遣を「御社の正社員採用につなげる入口」として話す
- 受付では「派遣」「紹介」と言わない。担当者には違いを先に言い、募集の確認は後に
- 登録型の会社は、紹介予定派遣と、実在する働きたい人の具体さで違いを作る
- 切り替えは押しすぎない。紹介予定派遣かどうか、手数料の条件は一言で先に伝える
- 「ハローワークのみ」「派遣は絶対無理」は電話で覆さず、商談の役目にする
どれも土台にあるのは、相手が嫌っているのは派遣の名前ではなく、その裏にある不安だという考え方です。不安を中身で消し、正社員を採りたいという相手の希望に沿って話せば、「派遣はいらない」と言っていた会社とも、話を始めることができます。
よくある質問
派遣会社の電話で「直接雇用だけ」と断られたら、どうすればよいですか?
無期雇用派遣や紹介予定派遣は、どう説明すれば伝わりますか?
登録型の派遣会社は、電話で何を強みとして伝えればよいですか?
人材サービス業界での支援事例は「人材サービスの営業代行実績」にまとめています。
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このような状況でしたら、
ぜひセグロスにご相談ください
- 派遣会社の新規開拓で「直接雇用だけ」と断られ続けている
- 無期雇用や紹介予定派遣の良さが、電話でうまく伝わらない
- 正社員への切り替えを推したら、商談で話がずれるようになった
- 登録型の派遣で、ほかの会社との違いをどう伝えるか決めたい
- 外注したいが、活動の中身が見えなくなるのが不安
(外に任せるべきか、自社で直すべきかも含めて整理します)