1アポにいくら払えるかを紹介手数料から逆算|外注を考える人材会社の方へ

1アポにいくら払えるかを紹介手数料から逆算する

この記事でわかること

  • 人材会社が、1アポに払える上限を「1件の売上 × アポから決まる割合」で出す計算のしかた
  • 人材紹介・特定技能の紹介・人材派遣それぞれで、公的な数字や仮の数字を入れた計算の例
  • 月額の料金を1アポあたりに直す方法と、アポの数ではなく成約まで見て判断する決めごと

このコラムは、次のような方に向けて書いています。

「営業代行の見積をもらったけれど、1アポにこの金額が高いのか安いのか、判断の物差しがありません」
「アポの値段だけで比べると安い方を選びたくなります。でも、それで前に失敗したこともあります」
「紹介と派遣では売上の入り方がまるで違うので、同じ計算で考えてよいのか分かりません」

人材会社が新規開拓を外に任せるかどうかを考えるとき、最後に残る問いは「1アポにいくらまで払えるか」です。アポの値段だけを並べても、高いか安いかは決められません。同じ値段でも、紹介料が大きい会社には安く、小さい会社には高くなるからです。

この記事では、1件決まったときの売上から逆算して、1アポに払える上限を出す計算のしかたをまとめます。紹介・特定技能の紹介・派遣のそれぞれについて、公的な数字や仮の数字を入れた例を載せています。お手元の数字に置き換えて使ってください。

アポの値段は「何を1件と数えるか」で変わる

計算に入る前に、比べる「1アポ」の中身をそろえます。同じ「アポ1件」でも、何をアポと数えるかで、取るのにかかる電話の数がまったく違うからです。

たとえば、「人を募集している会社と会える」アポと、「求人票があり、今すぐ何名欲しいと決まっている会社と会える」アポでは、後の方が条件が厳しい分、取れる割合が下がります。アポの条件を上げるほど、1件の値段は上がります。電話で外に頼む新規開拓で、良いアポだけを狙うこと自体に無理がある、と考えておくのが現実的です。

そろえる所 違いの例 値段への響き
アポの線 「人を募集している会社と会える」か、「人数・時期まで決まっている会社と会える」か 条件を上げるほど取れる割合が下がり、1件の値段は上がる
アポ率の分母 不在や不通も含めた全部の架電の数か、担当者と話せた数か 同じ「アポ率」でも、分母が違えば何倍も違って見える
数える時点 取れた時点か、商談が実際に行われた時点か。日程の変更や取り消しをどう扱うか 取り消しまで数える形だと、実際に会えた1件の値段は上がる

アポ率の分母は、見落としやすいところです。人材の新規開拓の電話では、全部の架電を分母にするとアポ率は1%前後になることが多く、案件によって数倍の差があります。「アポ率6%」のような数字を見たら、担当者と話せた数を分母にしていないかを確かめます。分母がそろっていない数字どうしを比べても、判断の役には立ちません。

アポの数え方そのものは、人材会社に限らず外注全般で決めておくことです。ここから先は、そろえた1アポに、人材会社の売上から見ていくらまで払えるかを計算していきます。

1アポに払える上限は「1件の売上 × アポから決まる割合」

人材会社の売上は、1件決まるといくら入るかがはっきりしています。だから、1アポに払える上限は、次の掛け算で出せます。

1件の売上
1件決まったときに入る売上。紹介料、派遣の差額の合計など
決まる割合
アポのうち、何割が契約や入社まで進むか。分からなければ仮に2割、3割と置く
払える上限
上の2つを掛けたもの。1アポにこれ以上払うと、決まっても元が取れない
払ってよい額
上限から、求職者を集める費用・入社後の支援・社内の人件費を引いた残り

たとえば、1件決まると100万円入り、アポの2割が決まるなら、1アポに払える上限は100万円×20%=20万円です。アポ5件で1件決まり、その1件で100万円入るので、5件に払える合計が100万円、1件あたり20万円という考え方です。

アポから決まる割合は、アポの中身と商談の進め方で大きく変わります。2〜3割決まれば良い方なので、自社の記録が無いうちは、2割と3割の両方で計算しておくと幅がつかめます。商談でどれくらい決まっているかの見直し方は「人材会社の商談が受注しない原因の分け方」にまとめています。

POINT

この掛け算で出るのは「払える上限」で、「払ってよい額」ではありません。求職者を集める費用や社内の手間は会社ごとに違うので、上限から自社の分を引いて、実際の線を決めます。

人材紹介:公的な数字で計算すると

人材紹介の1件の売上には、公的な数字が使えます。民営の有料職業紹介では、1年間の常用就職が88万8,993件、常用就職1件あたりの手数料は約103万円でした(厚生労働省「令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」、2026年3月31日公表)。前の年度から10.9%増えています。

この約103万円を1件の売上に置き、アポから決まる割合を仮に変えて計算すると、次のようになります。

アポから決まる割合(仮) 計算 1アポに払える上限
1割 約103万円 × 10% 約10万3千円
2割 約103万円 × 20% 約20万6千円
3割 約103万円 × 30% 約30万9千円

1件の売上が大きい紹介では、1アポに払える上限も大きくなります。アポの値段だけを見て外注をためらう理由は小さく、むしろ効くのは、アポの中身が合っているかどうかです。その求人に紹介できる人がいない先のアポは、何件あっても決まりません。

ただし、約103万円は全職種の平均です。手数料は職種や年収で大きく違うので、計算には自社の平均の紹介料を入れます。もうひとつ見落としやすいのが返金です。紹介は、入社してすぐに辞めると紹介料の一部や全部を返す決まりが多く、返す割合は在籍した期間が長いほど下がる形が一般的です。早く辞める人が一定いるなら、その分を見込んで1件の売上を少し低めに置きます。

紹介の計算で一番効くのは「決まる割合」です。1割と3割では、払える上限が3倍違います。外注先を選ぶときは、アポの値段より、紹介できる求人に絞ったアポかどうかを先に見ます。

特定技能の紹介:1件の紹介料が小さい分、支援の月額が続く期間で考える

外国人材の紹介、特に特定技能の紹介は、1件の紹介料が小さめです。公的な数字で割り算すると、特定技能の在留資格の職業紹介(有料)は、常用就職2万3,142件に対して手数料が約79.6億円で、1件あたり約34万円が目安になります(厚生労働省「令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」、2026年3月31日公表の数字から割り算。手数料には常用以外の就職の分も含まれるため、目安です)。全職種の平均の3分の1ほどです。

このため、紹介料だけで計算すると、1アポに払える上限は小さくなります。一方で、多くの紹介会社は登録支援機関も兼ねていて、入社の後も毎月の支援の料金が入ります。紹介料だけで計算を止めるか、支援の月額が続く期間まで足すかで、答えが大きく変わります。

紹介料を安くして、支援の料金で稼ぐ形の会社もあります。紹介料が小さい会社ほど、紹介料だけで考えると外注は割に合わないように見えます。その場合は、1人が何か月支援を続けるかを自社の記録から置き、支援の売上まで含めた1件の売上で計算します。

外国人材の紹介料や支援の料金には、公的な相場の統計がありません。ここは必ず自社の料金と、自社で支援が続いている平均の月数を入れてください。どの分野に絞って営業するかは「外国人材の紹介会社のテレアポ攻略法」にまとめています。

人材派遣:毎月の差額と、働く期間を仮に置いて計算する

派遣は、紹介のように1件決まると一度に大きく入る形ではありません。派遣の料金と、働く人に払う時給の差を、働いた時間の分だけ受け取ります。1か月の売上は小さくても、働いている間ずっと入ります。だから、1件の売上は「1時間の差額 × 月の時間 × 続く月数」で置きます。

下の数字はすべて仮に置いたものです。自社の差額と、派遣の人が平均で何か月働いているかに置き換えて使ってください。

この96万円を1件の売上に置き、アポから契約になる割合を仮に2割とすると、1アポに払える上限は96万円 × 20% = 約19万円です。続く期間が半年なら、上限も半分になります。派遣の計算では、続く月数の置き方が一番効きます。

ほかにも、派遣ならではの注意が3つあります。まず、差額の中から社会保険などを払うので、手元に残る分は差額より少なくなります。次に、契約になっても、実際に人が入るまでに時間がかかったり、入らなかったりします。最後に、新しい取引は欠員の1〜2名の穴埋めから始まり、働きぶりと定着を見て人数が増えていくのが普通です。1件目の契約の売上だけで見ると小さく見えても、増員まで見れば大きくなります。

派遣は商談から契約・配属までが長いため、成約で払う形の外注とは相性がよくありません。計算は、続く月数と、1件の契約で入る人数を自社の記録から置いて組み立てます。

月額の料金は「月の料金 ÷ 取れるアポの数」で1アポあたりに直す

外注の料金は、1アポいくらの形だけではありません。月額や時間で払う形なら、1アポあたりの値段に直してから、払える上限と比べます。直し方は単純です。

1アポあたりに直す式

1アポあたりの値段 = 月の料金 ÷ その月に取れるアポの数
取れるアポの数 = 月の架電の数 × アポ率

たとえば、仮に月1,000件架電するとして、アポ率ごとに1アポあたりの値段を出すと次のようになります。

アポ率(仮) 月に取れるアポ 1アポあたりの値段
0.5% 5件 月の料金 ÷ 5
1% 10件 月の料金 ÷ 10
2% 20件 月の料金 ÷ 20

アポ率が半分になれば、1アポの値段は倍になります。月額の外注では、料金そのものより、アポ率をどう見込むかで1アポの値段が決まります。見積を受け取ったら、アポ率をいくつと置いた計算なのか、その根拠は何かを確かめます。前例の無い商材なら「やってみないと分からない」と最初に言う相手の方が、後で数字がずれません。

1アポいくらで払う形と、月額や時間で払う形は、どちらが良い悪いではありません。決まったときだけ払う、成約で払う形は、頼む側には安心に見えます。ただ、成約は候補者がいるか、時期が合うか、商談の中身で決まり、電話をかける側には動かせません。決まらなかった分の電話の手間が誰にも払われないため、「これはアポと認めない」という言い争いも起きやすくなります。どの形でも、1アポあたりに直して、払える上限と並べて見るのが判断の基本です。

アポの数ではなく、成約まで同じ表で見ると判断がぶれない

外注を始めた後に「1アポあたり高い」と感じたときは、アポの数だけで判断しないことです。アポの値段は、決まる割合とセットでしか高いか安いかを言えません。決まらない理由が電話の側にあるのか、商談や候補者の側にあるのかで、打つ手はまるで違います。

成約まで同じ表で見るための決めごと

アポごとに結果を残す

商談した・決まった・決まらなかったを、アポ1件ずつ同じ表に残します。決まらなかったものは理由も書きます。

原因を電話と商談に分ける

募集していなかった、決める人でなかったは電話の側。候補者がいない、時期が合わないは商談の側です。

条件を足す前に件数を計算する

アポ率が低いうちに条件を足すと、月のアポがゼロになることもあります。足す前に何件残るかを見ます。

募集の時期に合わせて当てる

動く月の直前に最新の求人を仕入れ、その時点で募集している先に絞って電話します。

決まる割合の物差しも、先にそろえておきます。アポの2割前後が先へ進んでいれば、電話での新規開拓としては十分な成果だと言えます。この物差しを持たずに見ると、どんな結果でも「高い」に見えてしまいます。

POINT

上限の計算は、始める前の一度で終わりではありません。始めてから実際に決まった割合を表から出し、計算に入れ直します。仮の数字が自社の数字に変われば、続けるか変えるかの判断がはっきりします。

うまくいった例・いかなかった例

人材会社の新規開拓で、何をして、何が分かったかを紹介します。特定を避けるため、会社名は伏せ、どんな会社だったかだけを書いています。

いかなかった例

アポ1件の値段だけで、費用に見合うかを見ていた

状況

派遣会社が新規開拓を外に任せていた。アポを段階に分けて見ると、費用に見合っているのかが気になり始めた

起きたこと

アポの数と値段しか見ていなかったため、どのアポが決まり、どのアポがなぜ決まらなかったかが分からず、話が「1件の値段」から先に進まなかった

分かったこと

商談の結果と断りの言葉を営業リストに残し、動く月の直前に最新の求人を仕入れて募集中の先に絞る形に変えた。成約まで同じ表で見えるようにしておかないと、費用の話はアポの値段だけになる

うまくいった例

アポの線と、月の量の幅を先に決めた

状況

外国人材の紹介会社が新規開拓を外に任せた。いくつもの分野に広げたかったが、強いのは1つの分野だった

やったこと

アポの線を「人を募集している会社と会える」に置き、得意な分野に絞った。月のアポの量にも下限と上限の幅を付け、頼む側も受ける側も量を読みやすくした

分かったこと

商談の多くが前に進み、1件決まったときの売上から見ても、外注の費用を十分に回収できる割合で決まった。アポの線と量を先に決めておくと、計算どおりに続けるかを判断しやすい

まとめ:1アポの値段は、1件の売上と決まる割合で判断します

1アポにいくら払えるかを考えるときに押さえること

  • 比べる前に、アポの線・アポ率の分母・数える時点をそろえる
  • 1アポに払える上限 = 1件の売上 × アポから決まる割合
  • 上限から、集める費用・支援・社内の手間を引いた残りが払ってよい額
  • 紹介は公的な数字で約103万円。決まる割合が1割と3割で上限は3倍違う
  • 特定技能の紹介は、支援の月額が続く期間まで足して計算する
  • 派遣は1時間の差額 × 月の時間 × 続く月数。続く月数が一番効く
  • 月額の料金は、月の料金 ÷ 取れるアポの数で1アポあたりに直す
  • 始めた後は、成約まで同じ表で見て、仮の数字を自社の数字に入れ替える

アポの値段は、それだけを見ると高くも安くも見えます。1件決まったときの売上と、アポから決まる割合を並べれば、自社にとっての線が引けます。まずは仮の数字で計算し、始めてから実際の数字に置き換えていくことが、外注で迷わないための一番の近道です。

よくある質問

人材紹介会社は、1アポにいくらまで払えますか?
「1件決まったときの売上 × アポから決まる割合」が上限です。たとえば、常用就職1件あたりの手数料は約103万円(厚生労働省「令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」、2026年3月31日公表)なので、アポの2割が決まるなら約20万6千円、3割なら約30万9千円が上限になります。ここから求職者を集める費用や社内の手間を引いた残りが、実際に払ってよい額です。手数料は職種で大きく違うので、自社の平均の紹介料で計算し直してください。
アポから決まる割合が分からないときは、どう計算すればよいですか?
自社の記録が無いうちは、仮に2割と3割の両方で計算して、上限の幅をつかみます。2〜3割決まれば良い方です。外注を始めたら、アポ1件ずつの商談の結果を同じ表に残し、実際に決まった割合が出たところで計算に入れ直します。仮の数字のまま判断を続けないことが大切です。
派遣会社の場合は、どう計算すればよいですか?
1件の売上を「1時間の差額 × 月に働く時間 × 続く月数」で置きます。仮に差額500円、月160時間、12か月なら96万円で、契約になる割合が2割なら1アポに払える上限は約19万円です。派遣は続く月数で売上が大きく変わるので、自社の派遣の人が平均で何か月働いているかを使います。新しい取引は少人数から始まって増えることが多いので、増員まで見て判断します。

人材サービス業界での支援事例は「人材サービスの営業代行実績」にまとめています。

このような状況でしたら、

ぜひセグロスにご相談ください

  • 1アポの値段が高いのか安いのか、判断の物差しが無い
  • 紹介と派遣で、外注にかけてよい費用の考え方が分からない
  • 前の外注で、アポの数はあっても決まらなかった
  • アポから成約までを、同じ表で見る形を作りたい
  • 外注したいが、活動の中身が見えなくなるのが不安
まずは現状を伺い、「どこで詰まっているか」と「次の一手」を整理します。

(外に任せるべきか、自社で直すべきかも含めて整理します)