介護・障害福祉の営業リストの作り方と業界の数字|施設に売る会社の方へ

この記事でわかること
- 介護・障害福祉の営業リストの元を「誰に売るか」で選ぶ考え方と、国の公開データの使い分け
- 付ける列・並べる順・同じ法人のまとめ方を、売る物から逆算して決めるやり方
- 数字で見る業界の今と、営業リストの件数の持ち方・作り直す時期
このコラムは、次のような方に向けて書いています。
介護・障害福祉の施設・事業所に、職員が使う物・利用者が使う物・仕組みなどを電話で売るとき、結果の大半は電話の前に決まっています。どの一覧を元にし、どんな列を付け、どの順に並べ、同じ法人をどうまとめたか。ここがずれていると、どれだけ話し方を磨いてもアポは増えません。
施設の種類ごとの呼ぶ相手やつながる時間は「介護・障害福祉向けのテレアポ攻略法」にまとめました。この記事では、その手前にある営業リストの作り方を、元の選び方・列・法人のまとめ方・件数と更新の4つに分けて深く掘り下げます。
前提:同じ介護でも、営業リストの作り方で取れ方が大きく変わる
最初にお伝えしたいのは、介護・障害福祉の営業リストに「どの商材にも使える正解の一覧」は無いということです。同じ介護の事業所に電話していても、付けた列と並べ方が違うだけで、アポの取れ方は大きく変わります。
たとえば、障害福祉の事業所に向けた仕組みの案内では、ほかのサービスを併設している法人と、1種類だけを運営している法人とで、つながったあとのアポの割合に2倍以上の差が出ました。同じ一覧から作った営業リストでも、「併設」という列が1本あるかどうかで、どこから先にかけるべきかが架電の前に分かったのです。
営業リストを作るときに決めることは、次の5つです。どれも「その商材で相手が何を得するのか」から逆算して決めます。
電話をかけながら人が判断すると、判断は必ずぶれます。判断は営業リストの段階で、決まりとして済ませておくことが土台です。
数字で見る介護・障害福祉の今:増える種類と減る種類
営業リストの元を選ぶ前に、業界の数がどう動いているかを押さえておきます。介護・障害福祉は、事業所の開設・閉鎖・譲渡が多く、数年前の一覧はそれだけで中身が古くなっている業界です。増えている種類と減っている種類も、はっきり分かれています。
| 種類 | 2020年 | 2024年 | 動き |
|---|---|---|---|
| 訪問看護ステーション | 12,393 | 18,042 | 4年で約1.5倍 |
| 介護医療院 | 536 | 917 | 4年で約1.7倍 |
| 訪問介護 | 35,075 | 37,264 | 少しずつ増えている |
| 通所リハ | 8,349 | 8,030 | 減っている |
| 居宅介護支援(ケアマネ事業所) | 39,284 | 37,258 | 4年で約2,000減 |
| 特養(介護老人福祉施設) | 8,306 | 8,621 | 少しずつ増えている |
出どころ:厚生労働省「令和6(2024)年介護サービス施設・事業所調査の概況」、2025年12月19日公表、各年10月1日時点。
障害福祉でも、事業所は大きく増えています。就労継続支援B型の事業所は2021年3月の13,972から2024年12月の18,427へ、障害のグループホームは10,164から14,247へ増えました。しかも、B型の事業所のうち株式会社などの営利法人が運営する割合は23.1%から37.1%に上がり、社会福祉法人を抜いています。グループホームでも、営利法人の割合は24%から40%になりました(厚生労働省 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム 第47回 資料3、2025年6月25日)。
運営する法人の形も、種類ではっきり分かれます。2024年10月1日時点で、特養は社会福祉法人が95.7%、老健は医療法人が75.5%、通所リハは医療法人が79.2%である一方、訪問介護は営利法人が73.2%を占めます(同じく令和6年の介護サービス施設・事業所調査)。
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営業リストの元は「誰に売るか」で選ぶ
営業リストの元は、「誰に売るか」で選びます。施設・事業所そのものに売るのか、採用の担当に売るのか、施設に人を送る紹介会社に売るのかで、向いている元がまったく違います。
施設・事業所に売る
介護は介護サービス情報公表システム、障害福祉はWAM NET
種類・電話番号・管理者・定員・法人の情報がそろう
採用の担当に売る
ハローワークの求人
今募集している先と、担当者の名前が分かる
紹介会社に売る
職業紹介の許可の一覧、登録支援機関の登録簿
国の許可・登録を受けた会社そのものが分かる
施設・事業所に売るなら、国の公開データが一番の元です。介護は厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」、障害福祉は「WAM NET(障害福祉サービス等情報公表システム)」で、どちらもまとめて取り出せるデータが公開されています。
WAM NETのデータには、運営法人の名前・法人番号・法人の住所と電話番号まで入っています。2026年3月末の版では、全部で209,452の事業所が載っていました。法人ごとにまとめれば、本部向けの営業リストも作れます。営業時間・定員・利用者数の列も取れますが、利用者数が埋まっているのは一部の事業所です。
そのほかにも、売る物に合わせて元を足します。住宅型の有料老人ホームは国の調査では一部しか数えられていないので都道府県が公開している一覧、サービス付き高齢者向け住宅なら国の登録の情報、病院と同じ番号の事業所なら医療情報ネットで電話番号を埋める、といった使い分けです。採用の担当に売る場合の作り方は「「今採用している会社」の営業リストの作り方」で詳しくまとめています。
NG 民間の一覧・求人サイトをそのまま使う
施設検索サイトや求人サイトに載っている法人名・電話番号を、そのまま営業リストにする。閉じた事業所や、運営する法人が変わった事業所が混ざり、「もうその法人ではありません」と言われる。
OK 公的なデータで今の法人名に直す
民間の一覧を使う場合も、公的なデータと電話番号で照らして今の法人名・種類に直し、閉じた所を外してから使う。確かめられない項目は空欄のまま残す。
ある地域で、求人サイトに載っていた介護の事業所の法人名を介護サービス情報公表システムと照らし合わせたところ、9割で運営する法人の名前が変わっていました。民間のサイトは、掲載した時点の情報が直されないまま残りやすいのです。
施設の名前から住所や電話番号を埋めるときは、順番を決めておきます。まず運営法人・施設の公式サイト、次に公的なデータと自治体・都道府県の一覧、最後に大手の施設検索サイトです。推測では埋めず、確かめられない項目は「不明」のまま残します。同じ名前の施設が全国にいくつもあって、どれか決められないときも「不明」です。間違った番号にかけるより、空欄の方がずっとましです。
付ける列と並べる順は、売る物の得から逆算する
元が決まったら、列を付けます。ここでよくある失敗が、どの商材にも同じ列(名前・住所・電話番号・種類)だけを付けることです。列は「その商材で相手が何を得するか」から逆算して、取れる先と取れない先を分ける手がかりを選びます。
| 売る物 | 付ける列 | なぜその列か |
|---|---|---|
| 記録や請求に使う物 | 施設の種類(入所系かどうか)、法人のサービス数 | 記録や請求の手間は、職員と利用者の多い所ほど重い |
| 法人で入れる仕組み | 法人ごとに持っているサービス、併設の有無、本社の行 | 併設が多い法人ほど、まとめて入れる得が大きい |
| 規模で得が変わる物 | 利用者の数、定員 | 利用者の多い所ほど、手間を減らす得が大きい |
| 利用者が使う物 | 利用者の状態(介護度・会話ができるか)、種類 | 使える利用者がいるかで、そもそも合うかが決まる |
| 加算に関わる物 | 加算の取り方、名前からの手がかり | 取っている所と、これから取る所で話が変わる |
| 食事・設備 | 食事の委託先、食費、定員、建物の形 | 今の委託や設備の形で、入れ替えの余地が分かる |
列を付けると、結果の差がはっきり見えるようになります。障害福祉の事業所に向けた案内では、利用者が20人以上の事業所は、20人未満の事業所と比べて、つながったあとのアポの割合が約2倍でした。営業時間の列があれば、営業時間の短い事業所にも時間内で日程を出せます。
種類の列が無い営業リストには、公的なデータと突き合わせて種類を付けます。突き合わせは電話番号の一致、名前の完全な一致、名前の一部の一致、名前からの推定の順に当てます。名前だけで種類を判定できたのは全体の約6割でしたが、電話番号での突き合わせから始めると9割を超えました。
列が付いたら、上に並べる種類を決めます。ここで気を付けたいのは、「入所系が一番売れる」と決めつけないことです。上に置く種類は、売る物で入れ替わります。
NG どの商材でも入所系を上に置く
「規模が大きくお金もある入所系から」と、商材を見ずに並べる。利用者が使う物では、使える利用者が少なく、上から順に断られる
OK 種類ごとの数字を早めに取って並べ直す
最初は種類を混ぜてかけ、種類ごとのアポの取れ方を見てから、上に置く種類を決め直す
NG 件数の多い種類から順にかける
訪問介護のように件数の多い種類が営業リストの半分近くを占めても、取れる割合が低ければ架電の多くがむだになる
OK 職員の数で得が増える物は入所系から
記録や請求の手間が職員の数だけ重くなる物は、入所系を上に置く。率の低い地域ほど、入所系が少なかった
件数の多い種類と、取れる種類は一致しません。種類ごとの取れ方を数字で見られるようにすることが、列を付ける一番の目的です。
同じ法人のまとめ方は「決めるのが法人か事業所か」で決める
介護・障害福祉では、1つの法人がいくつもの事業所を持っているのが普通です。訪問介護と居宅介護支援のように、1つの電話番号に複数の事業所がひもづいていることも珍しくありません。まとめ方を決めずに使うと、同じ相手に何度も電話することになります。
まとめ方は、その商材を決めるのが法人か事業所かで決めます。本部で決める商材なら、法人ごとに本社の行を作り、その法人が何を持っているかで広げる順番を決めます。事業所ごとに決まる商材なら、事業所の行のまま、同じ番号の重なりだけを整理します。障害福祉の事業所に向けた案内では、本社の行は事業所の行と比べて、つながったあとのアポの割合が倍以上でした。
法人をまとめるときの決めごと
法人番号だけでまとめない
公開データの法人番号には、桁のずれ・先頭のゼロ落ち・事業所番号の取り違えが混じります。法人番号の先頭の1桁は確かめ用の数字なので、計算で誤りを弾き、事業所番号や「法人名+電話番号」でも同じ法人を拾います。
残す行の順を先に決める
同じ電話番号の行が何行もあるときは、どの行を残すかを先に決めます。売りたい種類・新しい情報・担当者の名前がある行を優先し、ほかの行には同じ法人の印を付けます。
同じ名前の別法人に気を付ける
「医療法人〇〇会」のように、全国に同じ名前の別法人がたくさんあります。名前だけで同じ法人と決めず、住所や電話番号と合わせて見ます。
取引先・商談中の先は最初に外す
すでに取引がある先・商談中の先は、まとめる前に外します。外す一覧に都道府県が無いときは、名前が同じなら別の県でも外し、誤って電話するのを防ぎます。
呼び方の列も、まとめ方と一緒に決めます。本社にも各事業所にも同じ代表者の名前が入っている法人では、名前で呼ぶと「不在です」で止まります。営業リストの名前が、今その仕事をしている人かどうかで、名前で呼ぶか役職で呼ぶかを分けます。
本社と事業所の番号が同じ法人も多くあります。行を分けても電話先は同じなので、1行にまとめて「本社と同じ番号」と印を付けておきます。
件数は架電の量から逆算し、絞らずに優先の印を付ける
営業リストを作るとき、決まりやすい先だけに絞り込みたくなります。ところが、条件を重ねて絞ると母数が減り、まだ電話していない先がすぐに尽きます。あとは不在だった先を追いかけるだけになり、架電の時間を使い切れなくなります。
NG 条件で絞る
「併設あり」「利用者20人以上」など、取れそうな条件に合う先だけで営業リストを作る。最初はよく取れるが、すぐにかける先が尽き、追加のたびに条件をゆるめることになる。
OK 絞らずに優先の印を付ける
条件に合う先には優先の印を付けて上に置き、合わない先も営業リストに残す。上から順にかけ、印の無い先にも当たれる量を持っておく。
件数は、かける人数と期間、かけ直しの回り方から逆算します。一度かけて不在だった先に、間をあけてもう一度かける。その流れが止まらずに回る量が必要です。数人で同時に架電するなら万の単位の件数が要り、小出しに足すよりまとめて用意した方が順番を組みやすくなります。
追加の営業リストに頼るやり方にも限りがあります。障害福祉の事業所に向けた案内では、追加で受け取った営業リストの回を重ねるたびに、つながったあとのアポの割合が下がり、最後は最初の半分以下になりました。最初の母数を大きく持つことが、結果を安定させる近道です。
優先の印は、施設の種類や併設の有無など、相手の様子で付けます。過去にかけたときの結果は、優先の印に混ぜず、理由の列に書くだけにします。「導入したばかり」「本部で一括」なども、外すのではなく、優先を下げて理由を残しておけば、時期が変わったときにかけ直せます。
3月末・9月末
公開データの新しい版を取る
WAM NETなどの公開データは年2回新しくなる。新しい版を土台にして、開設した事業所を足し、閉じた所を外す
作り直すとき
古い版から履歴だけを移す
架電の履歴・外した先・聞き取った呼び方と読みだけを引き継ぎ、二重の電話を防ぐ
かけ終わったら
しばらく休ませる
同じ営業リストを擦り切れるまでかけず、3か月ほど休ませてから、忘れられた頃にもう一度当たる
電話で分かったことも、営業リストに戻します。「老人ホーム」と名乗られても、特養・介護付きの有料老人ホーム・住宅型・サービス付き高齢者向け住宅のどれなのかは分かりません。種類がはっきりしないときは、その場で聞いて列を直します。
種類や法人の様子を確かめる一言
「法人全体では、ほかにどのようなサービスをされていますか?」
1つの事業所で断られても、同じ法人の別のサービスに道が残っていることがあります。閉じた・譲渡された事業所も、分かったら印を付けて外します。
うまくいった例・いかなかった例
ここからは、介護・障害福祉の営業リストづくりで、何をして、何が分かったかを紹介します。特定を避けるため、会社名は伏せ、どんな商材だったかだけを書いています。
職員が記録に使う物で、種類の列を付けて入所系から先にかけた
状況
手元の営業リストに施設の種類の列が無く、地域によってアポの取れ方が大きく違っていた。理由が分からないまま、同じ順番でかけ続けていた
やったこと
公的なデータと電話番号で突き合わせて種類の列を付けた。名前だけの判定では約6割しか付かなかったが、突き合わせで9割を超えた。そのうえで、記録の手間が職員の数だけ重くなる入所系を上に並べた
分かったこと
率の低い地域は、営業リストに入所系がほとんど無かった。地域の差に見えたものは、種類の差だった。入所系だけに当てたアポの割合は、全体を大きく上回った
障害福祉の事業所に向けた仕組みで、持っているサービスの列から広げる順番を決めた
状況
就労継続支援B型の事業所から始め、グループホームや相談支援へ広げようとしていたが、どの法人から広げるかが決まっていなかった
やったこと
公開データの事業所を、法人番号に加えて事業所番号と「法人名+電話番号」で法人ごとにまとめ、法人が持っているサービスの数を列にした。本社の行と事業所の行を分けて並べた
分かったこと
併設のある法人は、B型だけの法人の2倍以上アポにつながり、本社の行は事業所の行の倍以上だった。「今のトークが使えるB型を併設している法人から」という広げる順番が、架電の前に決められた
利用者が使う物で、入所系を一番上に並べた
状況
規模が大きくお金もある入所系が一番売れると考え、特養・老健を営業リストの一番上に並べた
やったこと
つながった先で使い道を聞くと、「話せる利用者がほとんどいない」「今の見守りの機器で足りている」という答えが続いた
分かったこと
利用者が使う物では、利用者の状態が合うかが先に来る。比較的自立した利用者の多い種類を最優先に並べ直した。同じ「入所系から」でも、売る物が変わると順番は逆になる
まとめ:営業リストは売る物から逆算して作ります
介護・障害福祉の営業リストを作るときに押さえること
- 元は「誰に売るか」で選ぶ。施設・事業所なら介護サービス情報公表システムとWAM NET
- 民間の一覧は公的なデータで今の法人名に直す。確かめられない項目は「不明」のまま残す
- 列は売る物の得から逆算する。上に置く種類は、種類ごとの数字を取ってから決める
- 法人のまとめ方は「決めるのが法人か事業所か」で決める。法人番号だけに頼らない
- 件数は架電の量から逆算し、絞らずに優先の印を付ける
- 公開データの新しい版に合わせて作り直し、電話で分かったことを営業リストに戻す
介護・障害福祉は、事業所の数も運営する法人の形も年ごとに動いている業界です。どの商材にも同じ一覧を使うのではなく、売る物から逆算して元・列・まとめ方・件数を決めることで、どこで取れてどこで取れないのかが見え、次に打つ手が決まっていきます。
よくある質問
介護施設の営業リストは、何から作ればよいですか?
営業リストにはどんな列を付ければよいですか?
営業リストはどのくらいの間隔で作り直せばよいですか?
介護・福祉業界での支援事例は「介護・福祉の営業代行実績」にまとめています。
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このような状況でしたら、
ぜひセグロスにご相談ください
- 介護・障害福祉の営業リストを作っているが、どこで取れているのかが見えない
- 同じ法人に何度も電話してしまう、本部と事業所のどちらにかけるか迷っている
- 民間の一覧を使っていて、閉じた事業所や法人名の違う先が多く混じる
- 条件を絞った営業リストで始めたら、すぐに電話する先が尽きてしまった
- 外注したいが、どんな営業リストに電話しているのかが見えなくなるのが不安
(外に任せるべきか、自社で直すべきかも含めて整理します)