介護施設への人材紹介は「どんな人か」の一言で決まる|紹介会社の方へ

介護施設向け人材紹介の営業攻略法

この記事でわかること

  • 介護施設に人材紹介の電話をしても、「いい人を紹介できます」が全部同じに聞こえてしまう理由
  • 強みの一言の作り方、事業所ごとのかけ方、施設の形ごとの当て方
  • 「人は足りている」「紹介は結構です」といった、紹介会社ならではの断りの受け止め方

このコラムは、次のような方に向けて書いています。

「介護施設に紹介の電話をしても、名乗った瞬間に『紹介は結構です』と言われてしまいます」
「施設長と話せても『本部が決めるので』で止まり、どこに話を持っていけばいいのか分かりません」
「強みはいくつもあるのに、電話だと何を言っても他の紹介会社と同じに聞こえてしまいます」

介護施設は、人材紹介の会社にとって一番大きな営業先の一つです。人手不足ははっきりしていて、紹介を使った経験のある施設も多い。それなのに、電話ではなかなか話を聞いてもらえません。

この記事は、介護職を施設に紹介する会社(日本人・外国人のどちらも)に向けて、紹介を売る側の目線で書いています。介護の施設・事業所への電話の基本(施設の種類ごとの呼ぶ相手・つながる時間・忙しい時期)は「介護・障害福祉のテレアポ攻略法」にまとめているので、あわせて読んでみてください。

前提:介護施設には紹介の電話が毎日届き、手数料と定着に不満がある

最初にお伝えしたいのは、介護施設への紹介の電話が難しいのは、話し方が下手だからではないということです。介護施設は人手不足がはっきりしている分、紹介会社の電話もファックスも毎日のように届いています。求人に採用担当の名前が出ていれば、その人をめがけて紹介会社の営業が何度も来ます。

数字で見ても、介護の人手不足は際立っています。介護関係の職種の有効求人倍率は4.03倍です(2025年平均、厚生労働省「一般職業紹介状況」)。1人を探す施設が4つあるような状態で、紹介会社にとっては営業先が多い業界ですが、そのぶん同じ施設に何社もの紹介会社が電話をかけています。

紹介の電話があふれている

電話は来るし、ファックスは鳴りやまない。施設は紹介の営業に慣れきっている

「また紹介か」で、名乗った時点で切られる

手数料が高いと感じている

介護の紹介の平均手数料率は20.2%(2024年度実績、厚生労働省)

「お金をかけない」「無料だけでいい」が出やすい

すぐ辞めることに困っている

紹介を使う側の困りごとの一番は「紹介された人がすぐ辞める」

「どんな人か」「続くのか」を最初に聞いてくる

医療・介護・保育の分野で紹介を使う側に聞いた調査では、不満の一番は紹介手数料(82.0%)で、次が定着(50.8%)でした。困りごとでは「紹介された人がすぐ辞める」が56.8%で一番多くなっています(「職業紹介業に関するアンケート調査報告書」2023年3月)。

さらに国は、医療・介護・保育の分野で、決まりを守っている紹介会社を認定する制度を設けています(厚生労働省。2021年11月に初めての認定)。介護の現場には、電話口で「認定を受けているか」を聞き、その場で調べて「認定されていないようなので結構です」と断る施設もあります。

POINT

介護施設は「紹介を使いたくない」のではなく、「同じような紹介会社が多すぎて、どこを選べばよいか分からない」状態です。手数料・定着・信頼のどれかに、他社と違う一言で答えられるかが、話を聞いてもらえるかどうかの分かれ目になります。

「いい人を紹介できます」は全部同じに聞こえる。強みを一つ、一言で言う

紹介会社の電話の多くは、「人材サービスの会社です。人を募集されていますか。いい人を紹介できます」という形です。会社が違っても、施設から見ると全部同じに聞こえます。同じ電話をした瞬間に、アポは取れなくなります。

介護施設がこうした電話に慣れているのには、理由があります。人材紹介の業界では昔から、名前を伏せた求職者の経歴書をファックスで一斉に送り、電話でも「20代女性の看護師の方で、日勤も夜勤もできて、来年4月に転職を考えている方がいるのですが、今応募できますか」と、具体的な人を挙げて案内してきました。施設はこの形に慣れているので、紹介の電話には「で、どんな人?」と聞き返してきます。ここで「いろいろな方がいます」と答えると、その時点で他社と同じ棚に入ります。

そこで、電話の入口に「どんな人か」に一言で答えられる強みを一つだけ置きます。強みは並べるほど薄まります。他社が言えない一言が一つあれば足ります。介護施設への紹介で反応が変わったのは、たとえば次のような種類の強みです。

OK 資格で言う

「介護福祉士の資格を持つ人も紹介できます」。資格は、施設が知りたい「どんな人か」にそのまま答えられる。自社で外国人材の支援の仕組みを持っている施設からも「介護福祉士がいるなら話を聞きたい」と言われた

OK 今いる場所と経験で言う

「日本ですでに働いている人に限って紹介しています」。日本での仕事の経験があると、言葉や生活の不安が先に消える。外国人材の紹介では、海外にいる人だけの会社と比べて反応がはっきり違った

OK 定着で言う

「紹介した人の、半年以内の離職が少ない」。施設の困りごとの一番の「すぐ辞める」に、正面から答える一言。数字で言える会社は、その数字が一番の強みになる

NG 並べて言う

「登録者が多く、対応も早く、手数料も相談に乗れて、定着の支援もしています」。全部本当でも、電話の数十秒では何も残らない。結局「いい人がいます」と同じに聞こえる

強みの一言は、電話の順番も大事です。人物の話から入って早いうちに「紹介は大丈夫です」と断られるなら、強みの一言を先に出し、人物の話を後に回します。反対に、強みを言っても反応が薄い施設には、求人票に書かれた職場の様子に合わせて、「職員を大事にされている職場に興味を持っている、明るくて気が利き、周りを巻き込める協調性のある方」というように、人物を具体的な言葉で伝えます。

求人票から人物像を作るやり方は「外国人材の紹介会社のテレアポ攻略法」で詳しく書いています。日本人の介護職の紹介でも、そのまま使える考え方です。

法人ではなく事業所ごとにかける。お金は本部、まず現場に聞いてもらう

介護施設は、1つの法人がいくつもの施設・事業所を持っていることがとても多い業界です。社会福祉法人の下に、特養、デイサービス、ショートステイ、訪問介護と事業所がずらりと並んでいます。

紹介の営業では、法人を1件と数えずに、事業所を1件として営業リストに並べます。採用の窓口が事業所ごとに分かれている法人が多く、同じ法人の中でも、ある施設は断り、別の施設は話を聞いてくれることがあるからです。受付から「もう一つの施設とは採用の管轄が違う」と言われ、2つの施設それぞれで話が進んだこともあります。

もう一つ押さえておきたいのが、お金の出どころです。多くの施設では、紹介料のようにお金のかかる採用は法人の本部が予算を持っています。だからといって、本部だけに電話しても「各施設の判断です」と回されがちです。施設長1人で決められるとは最初から考えず、まず施設に聞いてもらい、現場から上げてもらう。これが基本の流れです。

事業所で並べる
同じ法人でも、施設ごとに営業リストの1行にする。法人の名前だけで「かけ済み」にしない
現場に聞く
施設長・事務長に、強みの一言と人物の話を聞いてもらう。「この人なら会ってみたい」が後押しになる
本部へ上げる
紹介料の判断が本部なら、施設から上げてもらう。本部の担当と番号もこの時に聞いておく
ほかの施設へ
一つの施設で話が進んだら、同じ法人のほかの施設にも、その話を持って電話する

事業所がずらりと並ぶ大きな法人より、中くらいの規模の法人の方が話が進みやすい傾向もあります。大きな法人は本部で決めた採用の決まりが全施設に広がっていて、現場から上げる余地が小さいからです。「採用は本部で一括」と言われたときの進め方は「「採用は本社一括」と言われたら」にまとめています。

施設の形で、決める人も、つながりやすさも、取れやすさも違う

「介護施設」とひとくくりにすると、紹介の営業は外れます。特養・老健・有料老人ホーム・グループホーム・デイサービス・訪問介護では、いる人も、決める人も、電話に出られる時間も違います。紹介を売る側から見て押さえておきたい違いは、次のとおりです。

施設の形 電話で呼ぶ相手 紹介を売るときの見方
特別養護老人ホーム(特養) 施設長・事務長。複数の施設を持つ法人は本部 担当者に一番つながりやすい。定員100名の施設も珍しくなく、職員の数も多い
介護老人保健施設(老健) 事務長・看護師長(施設長は医師のことが多く、取り次がれにくい) 介護職だけでなく、看護やリハビリ職の紹介も話に出る。手数料は本部、面接は現場という形もある
有料老人ホーム・サ高住 施設の管理者。そこから本社の担当部署 株式会社の運営が多い。つながる割合は特養ほどではないが、つながった後は話が進みやすい傾向
グループホーム 管理者(常駐していないことが多い) いる時間を聞いてかけ直す前提で並べる
デイサービス 管理者 決めるのは速いが、1件の規模は小さい。送迎の時間は避ける
訪問介護 管理者・サービス提供責任者 数は一番多いが、担当者につながる割合は特養の半分ほど。運転が要る募集も多い

この表で一番伝えたいのは、つながりやすさと取れやすさは別だということです。特養は担当者につながる割合が、訪問介護やデイサービスの倍ほどあります。一方で、つながった後にアポになる割合は、有料老人ホームの方が高い傾向がありました。営業リストを「つながる順」だけで並べると、取れる施設を後回しにしてしまいます。施設の形ごとに、つながった数と取れた数を分けて記録し、並び順を直していきます。

つながる時間も施設の形で違います。デイサービスは朝と夕方の送迎の時間、入所の施設は昼の食事・入浴の介助の時間、どの施設も毎月10日までの請求の時期は避けます。1回目でつながらなければ、施設長がいる曜日と時間を聞いて、その時間にかけ直します。施設ごとの時間の目安は「介護・障害福祉のテレアポ攻略法」に表でまとめています。

POINT

16時を過ぎると、担当者につながる割合は午前や13時台より3割ほど落ちます。夕方はデイサービスの送迎の時間などに重なり、不在が増えるためです。紹介の電話は午前と昼過ぎに寄せ、夕方は「かけ直しの約束を守る時間」に使うと、空振りが減ります。

紹介会社への断りは「人が足りている」が一番多い。理由ごとに受け止める

介護施設が紹介会社の電話を断る理由は、ほとんどが決まっています。介護施設の採用担当への電話で、理由が分かった断りを振り分けると、一番多かったのは「人が足りている」で、次が「時間が取れない」「費用がかかる」でした。そのあとに「媒体(採用の窓口)をこれ以上増やしたくない」「本部が決める」「決まった紹介会社がある」「ハローワークや無料の求人で足りている」が続きます。

断りの中身は、時期によっても移り変わります。ある年は春に「ハローワーク中心で、お金をかけない」が多く、夏には「今は足りている」、秋には「人が足りている」「採用を外部や決まった先に任せている」が増えました。「足りている」は、その時点の話にすぎないことが多いのです。

よくある断り 背景 受け止め方
「人は足りています」 今は欠員がない。ただ、急な退職に備えて募集を続ける施設も多い 引き下がって、次に募集をかけるのはいつ頃かを聞いて残す
「紹介は結構です」 紹介の電話が多すぎて、名乗った時点で断っている 強みの一言を名乗りの直後に出す。「どんな人か」で他社と分ける
「実際に紹介できる人がいないなら結構です」 「いい人がいます」と言うだけで、紹介してこない会社に疲れている 具体的な人物を一人挙げられる状態で電話する
「費用をかけられない」 紹介料への不満。初期費用があると特に嫌がられる 紹介は、決まるまで費用がかからない形が多いことを、短く添える
「ハローワークだけで十分」 無料で集めたい。お金を使わない方針の施設もある 「無料の求人だけでは人が集まらない、雇っても続かない」という声が多いことを伝える

「人が足りている」と言われたときに、無理に押し返すのは逆効果です。一度断られてから言い返す形では、アポはまず取れません。断りの言葉をそのまま記録し、理由ごとに「次にいつ、何を持ってかけるか」を決めて残す方が、次の電話につながります。断りへの返し方は「人材会社の営業:断りへの返し方」に、外国人材の紹介で「外国人は不可」と言われたときの受け止め方は「外国人材の紹介で「外国人」を理由に断られるとき」にまとめています。

強い分野に絞り、紹介できない募集は電話の前に外す

紹介会社は「介護だけでなく、製造や外食にも広げたい」と考えがちです。けれども、介護に強みがあるなら、まずは介護だけに絞る方が結果は早く出ます。介護は、施設が採用を決めるまでが速く、契約までの手順も短い業界です。工場のように段階を踏んで何か月もかかることが少ない、という声もあります。製造や農業などは、紹介会社どうしの食い合いが介護より激しいこともあります。

実際に、介護に強い紹介会社が営業先を介護だけに絞ったところ、月のアポの上限に、月の前半で届きました。広げるのは、強い分野で形ができてからで十分です。

介護施設への紹介で、電話の前に決めておくこと

強い分野に絞る

強みのある介護に、営業先を絞る。広げるのは、強い分野でアポの形ができてから。

募集していない施設はアポにしない

今、人を募集していない施設は、電話の段階で外す。アポの質は、この一本の線で決まる。

紹介できない募集は外す

運転が要る介護の募集など、紹介できる人がいない仕事は、電話の前に営業リストから外す。

会いに行く準備をしておく

電話だけの商談では契約まで進みにくい。訪問を望まれたら、近くの施設と同じ日にまとめて会いに行く。

資料を送って終わりにしないことも大切です。資料を送っても、返事が来るのは1割ほどです。「資料を送ってください」と言われたら、送ったあとに見てもらう日を決めて電話するか、短い時間でも会う約束に切り替えます。

うまくいった例・いかなかった例

ここからは、介護施設への紹介や採用の案内の電話で、何をして、何が分かったかを紹介します。特定を避けるため、会社名は伏せ、どんな会社だったかだけを書いています。

うまくいった例

同じ法人の、2つの施設それぞれで話が進んだ

状況

介護施設の採用担当に、採用の案内の電話をしていた。社会福祉法人の一つの施設で話を聞いてもらえたあと、同じ法人のもう一つの施設にも電話した

やったこと

受付で「もう一つの施設とは採用の管轄が違う」と言われたので、法人をまとめず、施設ごとに担当者を呼び出して案内した

分かったこと

2つの施設それぞれでアポになった。介護の法人は、施設ごとに採用の窓口が違うことがある。法人を1件と数えると、取れる施設を落としてしまう

うまくいった例

強みの一言を、人物の話より先に出した

状況

介護施設に外国人材を紹介する会社の電話。人物の話から入ると、早いうちに「紹介は大丈夫です」「外国人は大丈夫です」と断られることが多かった

やったこと

電話の順番を入れ替え、「介護福祉士の資格を持つ人も紹介できる」という一言を先に出し、人物の話は後に回した

分かったこと

別の紹介会社の電話で断られ続けていた施設でも、話を聞いてもらえた。入口の一言としては思っていた以上に効き、「資格を前に出すと相手が身構える」という心配は当たらなかった

いかなかった例

電話での商談と、資料の送付で止まった

状況

遠方の施設から「電話で話を聞きたい」「資料を送ってほしい」と言われることが多かった

やったこと

電話での商談と、資料のメール送付で対応した

分かったこと

電話の商談だけでは契約まで進みにくく、資料への返事は1割ほどだった。電話を望まれても持ち帰って訪問に切り替え、近くの施設と同じ日にまとめて回る形に変えた

3つの例から言えること

どれも、話し方より先に「どの単位で、どの順で、どう会うか」を直しています。介護施設への紹介は、施設の事情に合わせて当て方を変えるだけで、反応が大きく変わる営業です。

まとめ:介護施設への紹介は「一言の強み」と「施設ごとの当て方」で決まります

介護施設は、紹介の電話に慣れきっていて、手数料と定着に不満を抱え、決める人が施設と本部に分かれている相手です。押さえるのは次の6つです。

介護施設への人材紹介の営業で押さえること

  • 介護施設は紹介の電話であふれている。同じ電話をした瞬間に取れなくなる
  • 「どんな人か」に一言で答えられる強みを一つだけ、入口に置く
  • 法人ではなく事業所ごとにかけ、現場から本部へ上げてもらう
  • 施設の形で、決める人・つながりやすさ・取れやすさを分けて見る
  • 断りは理由ごとに記録し、「人が足りている」は時期の話として残す
  • 強い分野に絞り、募集していない施設・紹介できない募集は電話の前に外す

施設が知りたいのは、紹介会社の大きさではなく「うちに合う人がいるのか」です。その問いに一言で答えられる準備をしてから電話をかける。それだけで、同じ施設からの返事は変わります。

よくある質問

介護施設に人材紹介の営業電話をしても断られるのは、なぜですか?
介護施設には、紹介会社の電話やファックスが毎日のように届いていて、「いい人を紹介できます」という電話はどれも同じに聞こえるからです。施設は紹介の電話に慣れていて、「どんな人か」を聞き返してきます。資格・日本での経験・定着など、他社が言えない強みを一つ、一言で言えるようにしてから電話すると、話を聞いてもらいやすくなります。
介護施設への紹介の営業は、法人の本部と施設のどちらに電話すればよいですか?
基本は施設(事業所)です。同じ法人でも施設ごとに採用の窓口が違うことが多く、本部だけに電話すると「各施設の判断です」と回されがちです。紹介料の判断は本部が持っていることが多いので、まず施設に聞いてもらい、現場から本部へ上げてもらう流れを作ります。
「人は足りています」と言われたら、どうすればよいですか?
その場で押し返さず、引き下がって記録に残します。介護施設では、急な退職に備えて募集を続ける施設も多く、「足りている」はその時点の話であることがほとんどです。次に募集をかけるのはいつ頃かを聞いておき、その時期にかけ直します。

人材サービス業界での支援事例は「人材サービスの営業代行実績」にまとめています。

このような状況でしたら、

ぜひセグロスにご相談ください

  • 介護施設への人材紹介で、新規の施設を増やしたい
  • 紹介の電話をしても、名乗った時点で断られてしまう
  • 自社の強みを、電話でどう一言にすればよいか分からない
  • 施設の形ごとの営業リストを作りたい
  • 外注したいが、本当に結果が出るのか・情報の扱いは大丈夫か不安
まずは現状を伺い、「どこで詰まっているか」と「次の一手」を整理します。

(外に任せるべきか、自社で直すべきかも含めて整理します)