病院への人材紹介は「誰がどの職種を採るか」から|医療の紹介会社へ

病院・クリニック向け人材紹介の営業攻略法

この記事でわかること

  • 病院が紹介会社に頼りながら、紹介の電話を断り続ける理由
  • 看護師・リハビリ職・事務など、職種ごとに分かれた採用の窓口の見つけ方
  • 毎日届く紹介の営業電話と同じに聞こえないための、最初の一言の考え方

このコラムは、次のような方に向けて書いています。

「病院に看護師の紹介の電話をしても、事務の方に『結構です』と言われて終わってしまいます」
「担当の方とは話せたのに、『私一人では決められない』『理事に通さないと』で止まりました」
「大きな病院ほど人を募集しているのに、受付を通すとまったく採用の担当に届きません」

病院・クリニック・訪問看護は、看護師をはじめとする医療職の紹介会社にとって、一番の営業先です。人手が足りず、紹介会社を使う理由もはっきりしています。それでも、電話で新しい病院と取引を始めるのは簡単ではありません。

この記事は、医療職を紹介する会社に向けて、病院の「採用の窓口」を見つける電話に絞って書いています。病院・クリニックへの電話の基本(施設の性質、つながる時間、断りを時期として残すこと)は「病院・クリニックのテレアポ攻略法」にまとめているので、あわせて読んでみてください。

前提:病院は紹介会社に一番頼り、手数料に一番不満がある

最初にお伝えしたいのは、病院が紹介の電話を断るのは、紹介を使いたくないからではないということです。病院は、看護師をはじめとする医療職の採用で、紹介会社に一番頼っている相手です。

病院が医師以外の正職員を採るときに使った経路の中で、「一番効いた」と答えた割合が一番高かったのは人材紹介会社で、73.6%でした(福祉医療機構「2025年度病院の人材確保に関する調査」)。看護職の有効求人倍率は全国で2.06倍、訪問看護ステーションでは4.54倍です(2024年度。厚生労働省「看護を取り巻く現状について」、日本看護協会の分析)。人が足りず、自力では集めきれないので、紹介会社を使わざるを得ないのです。

紹介に一番頼っている

医師以外の正職員で一番効いた採用経路は、人材紹介会社

紹介そのものを否定している病院は少ない

手数料に一番不満がある

看護の紹介の平均手数料率は21.6%(2024年度実績、厚生労働省)

「お金をかけない」「完全成功報酬なら」が出やすい

紹介の電話があふれている

取引先の紹介会社が10社、多い所では40社ほどという病院もある

新しい紹介会社と付き合う理由が見当たらない

そのうえで、病院には紹介会社からの電話が毎日のように届きます。事務長が1人で採用も兼ねている病院では、午前中だけで10件ほど紹介会社の営業電話が入り、すべて断っているという話もあります。手数料への不満を抱えながら、すでに多くの紹介会社と付き合っている。病院から見れば、新しい紹介会社の電話は「もう足りている話」なのです。

POINT

病院は紹介を使わないのではなく、「同じ紹介会社がもう一社増えても困る」と感じています。だから、最初の電話で売り込むより先に、どこの誰が、どの職種の採用を持っているかをつかむことが大切になります。

病院の採用の窓口は、職種ごとに分かれている

病院への紹介の電話でつまずく一番の理由は、呼ぶ相手を間違えることです。病院は、事務長・総務課・人事課・看護部・法人本部に採用の窓口が分かれていて、しかも職種ごとに担当が違います。看護師の紹介の話を事務の窓口にしても、医療事務の紹介の話を看護部にしても、つながっただけで何も進みません。

電話口では、たとえば次のような答えが返ってきます。

「作業療法士の採用の窓口は私ですが、それ以外の看護などは事務長がやっています」
「看護部の秘書なので、私が分かるのは看護師の採用だけです」
「人事は法人本部でやっています」「今のご連絡先は外来なので、求人のことは人事部の直通へ」

同じ病院の中でも、職種によって窓口が違う。これが病院の採用の形です。病院の担当者には比較的つながりやすいのに、つながった先の8割以上が断りで終わるのは、話の相手と話の中身が合っていないことが多いからです。紹介を売る側から見た、職種ごとの窓口の目安は次のとおりです。

紹介する職種・相手 採用の窓口になりやすい所 電話で気をつけること
看護師(病院) 看護部(看護部長・看護部の秘書)。採用担当が看護部長という病院もある 看護部は午前が外来で忙しい。午後に寄せる
看護師以外(事務・介護職など) 事務長・総務課・人事課 事務・人事は午前の方がつながりやすい。昼は外出が多い
リハビリ職 その職種の部門の人が窓口になっている病院もある 看護と同じ窓口だと思い込まず、職種を挙げて聞く
系列のある病院 法人本部・本社の人事 病院で聞いた話を持って本部へ上がる
クリニック 院長(経営者として最後に決める) 診察中は取り次げない。院長につながる時間を聞く
訪問看護ステーション 管理者とは別に、採用の担当がいることが多い 看護師は訪問に出ていて不在が多い。朝9時台か昼を狙う

つながる時間が窓口で変わるのも、病院ならではの点です。同じ病院でも、事務の窓口は午前、看護部は午後と、ちょうど逆になります。窓口を聞いたら、その窓口がつながる時間も一緒に聞いて残すと、かけ直しの空振りが減ります。施設ごとのつながる時間の目安は「病院・クリニックのテレアポ攻略法」に表でまとめています。

最初の電話は「誰がどの職種を採るか」を聞く電話と割り切る

窓口が分かれているなら、最初の電話の役目も変わります。1回目の電話でアポまで取ろうとせず、「この病院では、誰がどの職種の採用を持っているか」を聞く電話と割り切ります。窓口が分かれば、2回目からは最初からその人を名指しで呼べます。

受付や事務の方に聞くときは、「採用のご担当者様」とひとくくりにせず、職種と役職を出して聞きます。たとえば看護師の紹介なら、看護部長の名前と、明日はいるか、何時ならつながるかまで聞きます。役職を具体的に出すと、受付の方も答えやすくなり、名前と在席の両方を聞き出しやすくなります。

職種で聞く
紹介したい職種を挙げて、採用の窓口がどこかを聞く。「看護は看護部、それ以外は事務長」のように分かれていないかも確かめる
名前を聞く
窓口の役職を出して、担当者の名前と、明日はいるか、何時ならつながるかを聞く
直通を聞く
人事課や看護部の直通の番号があれば聞く。「求人のことは人事部の直通へ」と教えてもらえることも多い
記録に残す
職種ごとの窓口・名前・直通・つながる時間を、病院の行にまとめて書いておく

もう一つ押さえておきたいのは、窓口の人と、決める人は別だということです。病院では、電話に出た人が前向きでも、その場では決められません。「結局、話を聞いても理事に通さないといけない」「私一人で決められることではない」という言葉はよく返ってきます。窓口を聞くときは、あわせて「最後はどなたが決めているか」も聞いておきます。系列のある病院で「採用は本部で一括」と言われたときの進め方は「「採用は本社一括」と言われたら」にまとめています。

アポが取れたら、商談の前に聞いておくこと

今使っている採用の手段

無料・有料の求人媒体、ハローワーク、人材紹介のどれを使っているか。

有料で採っている職種

お金をかけてでも採っている職種はどれか。紹介の話は、ここから始まる。

採用の悩み

集まらないのか、費用が高いのか、すぐ辞めるのか。悩みの中心は時期で移る。

決める人と流れ

窓口の人のほかに、誰が決めるか。本部や理事会に上がるか。

病院の大きさと系列で、窓口のある場所が変わる

病院の採用の窓口は、病院の大きさと、系列があるかどうかでも、ある場所が変わります。「大きい病院ほど人を多く採るから、紹介の話も進むはず」と考えがちですが、紹介の電話から見ると、そうとは限りません。

大きい病院

採用センターや人事部の本部が分かれている。いつも看護師を募集している

受付・代表電話を通すと、まず届かない。窓口の名前と直通を先に調べる

中くらいの病院

人事課・総務課・看護部が窓口。病院の中で採用を決められることが多い

職種ごとの窓口が分かれば、話が進みやすい

小さい病院

事務長1人が採用も兼ねている。紹介の電話を毎日のように断っている

新しい話を聞く余裕がない。かける時間と一言を絞る

もう一つ知っておきたいのが、職種による競争の違いです。看護師の紹介は、どの紹介会社も一番に狙うため、病院への電話が集中します。看護師が足りない病院でも、看護師の紹介の話だけでは、ほかの紹介会社の電話と区別されにくいのです。

一方で、看護師ではなく、介護職やケアの仕事、リハビリ職の求人を出している病院への電話が、話の入口になった例もあります。紹介できる職種が複数あるなら、病院がどの職種の求人を出しているかを見て、競争の少ない職種から入るのも一つのやり方です。

POINT

病院は「大きいほど取れる」相手ではありません。大きい病院は窓口が本部にあり、小さい病院は事務長1人で手一杯です。病院の大きさで窓口の場所を見当付け、職種ごとの窓口に合わせて電話することが、紹介の電話を前に進めます。

毎日の紹介の営業電話と、同じ話をしない

病院には、紹介会社からの電話が毎日届いています。だから、何の会社か分からない前置きや、「看護師の求人はありますか」から始まる電話は、名乗った時点で「いつもの紹介」として切られます。断りの言葉も、「営業のお電話ですか、お断りしております」「興味もなければ実績もないような会社は結構です」と、決まった形で返ってきます。

病院の手数料への不満は、金額そのものだけではありません。高い紹介料でも、人柄も相性もよく5年、10年と働いてくれる人なら安い。けれども、払ったのに1か月で辞められたら無駄になる。病院が気にしているのは、払ったお金に見合う人が来るかどうかです。電話の入口は、その気がかりに答える形にします。

NG 名乗りの前置きが長い

会社の説明から入り、何の電話かが最後まで分からない。「結局なんの電話?」と警戒され、受付で止まる

OK 何の会社かをすぐ言う

最初の一言で、何の会社の、何の電話かを言う。初めての電話であることも伝え、「いつもの紹介会社」と取り違えられないようにする

NG 「求人はありますか」から入る

どの紹介会社も同じことを聞いてくる。病院からは「今すぐ来る看護師がいるのか、それを調べてから電話してほしい」と返される

OK どんな人を紹介できるかから入る

病院が気にしているのは、払う紹介料に見合う人が来るか。紹介できる人の具体的な姿や、続いて働いてもらうための強みを先に言う

「今は募集していない」「人は足りている」と言われても、そこで終わりではありません。病院には「人は足りているが、急な退職に備えて募集はかけている」という所も多く、看護師の転職は、夏や冬の賞与のあとに加えて、急な退職もあるため、1年を通して起こります。断りは「いつならよいか」として営業リストに残し、時期を変えてかけ直します。断りへの返し方は「人材会社の営業:断りへの返し方」に、介護施設への紹介の電話は「介護施設向け人材紹介の営業攻略法」にまとめています。

うまくいった例・いかなかった例

ここからは、医療機関への採用の案内の電話で、何をして、何が分かったかを紹介します。特定を避けるため、会社名は伏せ、どんな会社だったかだけを書いています。

うまくいった例

訪問看護ステーションへの、看護師の採用の案内

状況

訪問看護ステーションに、看護師の採用の案内の電話をしていた。管理者を呼んでも、訪問に出ていて事務所にいないことが多く、電話の4割近くが不在で終わっていた

やったこと

呼ぶ相手を管理者から採用の担当者に変えた。名乗りでは何の会社かをすぐに言い、初めての電話であることを伝えた。伝える強みも2つに絞った

分かったこと

訪問看護は、管理者とは別に採用の担当がいる所が多い。「いつもの紹介」と思われた時点で切られるので、最初の数秒で何が違うかを伝えることが、話を続けてもらう条件になる

いかなかった例

いつも看護師を募集している、大きな病院

状況

大きな病院は、いつも看護師などを募集していて、紹介の営業先として一番魅力があるように見えた

やったこと

代表電話から受付・総合受付を通して、採用の担当を呼び出した。止まった先には資料を送った

分かったこと

受付経由では、ほとんど採用の担当に届かなかった。大きな病院は採用が本部や採用の部署に集まっていて、資料送付で止まりやすい。窓口の名前と直通を先に調べてからかける必要がある

2つの例から言えること

どちらも、話し方より先に「誰を呼ぶか」で結果が分かれています。病院への紹介の電話は、職種ごと・病院ごとの採用の窓口を知るだけで、届き方が大きく変わります。

まとめ:病院への紹介は「窓口を知る」ことから始まります

病院は紹介会社に一番頼りながら、手数料に一番不満があり、毎日の紹介の電話に疲れている相手です。押さえるのは次の5つです。

病院への人材紹介の営業で押さえること

  • 病院は紹介を使わないのではなく、「紹介会社がもう一社増えても困る」と感じている
  • 採用の窓口は職種ごとに分かれている。看護は看護部、それ以外は事務長・人事が目安
  • 最初の電話は「誰がどの職種を採るか」を聞く電話と割り切り、名前・直通・時間を残す
  • 病院の大きさと系列で窓口の場所を見当付け、競争の少ない職種から入ることも考える
  • 「求人はありますか」ではなく、「どんな人を紹介できるか」から話す

病院への紹介の営業は、数をかける前に、相手の病院の中で「誰がどの職種を採っているか」を知るところから始まります。窓口が分かれば、2回目からの電話はまったく別のものになります。

よくある質問

病院の看護師の採用は、誰に電話すればよいですか?
多くの病院では、看護師の採用は看護部(看護部長や看護部の秘書)が窓口です。看護師以外の職種は、事務長・総務課・人事課が窓口になることが多く、系列のある病院では法人本部の人事が採用を持っていることもあります。病院ごとに違うので、最初の電話で「どの職種の採用を、どなたがお持ちか」を聞くのが確実です。
病院への紹介の営業電話で、最初に何を聞けばよいですか?
紹介したい職種を挙げて、その採用の窓口がどこかを聞きます。あわせて、担当者の名前、明日はいるか、何時ならつながるか、直通の番号があるかを聞いておきます。1回目の電話はアポを取る電話ではなく、窓口を知る電話と割り切ると、2回目から担当者を名指しで呼べるようになります。
大きな病院ほど、紹介の営業は進みやすいですか?
そうとは限りません。大きな病院はいつも人を募集していますが、採用が本部や採用の部署に集まっていて、代表電話から受付を通しても担当者に届きにくい相手です。一方で小さな病院は、事務長1人が採用も兼ねていて、新しい話を聞く余裕がないことが多くあります。病院の大きさで窓口の場所の見当を付けてから電話します。

人材サービス業界での支援事例は「人材サービスの営業代行実績」にまとめています。

このような状況でしたら、

ぜひセグロスにご相談ください

  • 病院・クリニックへの人材紹介で、新しい取引先を増やしたい
  • 病院に電話しても、採用の担当者までたどり着けない
  • 職種ごとの採用の窓口を調べた営業リストを作りたい
  • 紹介の電話が、ほかの紹介会社と同じに聞こえてしまう
  • 外注したいが、本当に結果が出るのか・情報の扱いは大丈夫か不安
まずは現状を伺い、「どこで詰まっているか」と「次の一手」を整理します。

(外に任せるべきか、自社で直すべきかも含めて整理します)