外食の特定技能が止まった今、どこへ電話するか|外国人材の紹介会社へ

外食・飲食料品製造向け特定技能の紹介営業

この記事でわかること

  • 2026年4月からの外食の特定技能の受け入れ停止で、紹介会社の営業先がどう変わったか
  • まだ枠のある飲食料品製造などへ、営業先を広げるときの当て方
  • 「いつもと同じ紹介の電話」と思わせない入口と、規模・相手の絞り方

このコラムは、次のような方に向けて書いています。

「取引先のほとんどが外食だったので、受け入れ停止のあと、どこに営業すればいいのか分かりません」
「食品工場にも電話していますが、アポが取れても商談がなかなか進みません」
「飲食店に電話すると『外国人はもういる』『お金はかけられない』で、すぐに断られます」

外食と飲食料品製造は、特定技能の人材を紹介する会社にとって、長く大きな営業先でした。ところが2026年4月、外食の特定技能で、海外から新たに人を呼ぶ道が原則として止まりました。外食に営業先が偏っていた紹介会社ほど、次の一手を急いで考える必要があります。

この記事は、外国人材の紹介会社・登録支援機関に向けて、外食の受け入れ停止のあと、どこへ、どう電話するかに絞って書いています。求人票から電話の理由を作る方法や、アポの線の引き方など、外国人材の紹介の電話の基本は「外国人材の紹介会社のテレアポ攻略法」にまとめているので、あわせて読んでみてください。

前提:外食は新規の受け入れが原則止まり、飲食料品製造にはまだ枠がある

最初に、今の制度の状況を確かめておきます。出入国在留管理庁は、特定技能の「外食業」分野について、2026年4月13日以降に受け付けた在留資格認定証明書の交付申請を、原則として交付しないとしました。海外から新たに人を呼ぶための申請が、原則止まったということです。今働いている人の在留期間の更新は対象外で、飲食料品製造業は止まっていません。再開の見通しは示されていません(2026年10月時点、出入国在留管理庁)。

背景にあるのは、分野ごとに決められた受け入れ見込み数です。外食業は5万人の見込み数に対して在留者が近づき、農林水産大臣が法務大臣に措置を求めました。分野ごとの埋まり具合を見ると、外食だけがほぼ上限に達していることが分かります。

分野 受け入れ見込み数 特定技能1号の在留者数 埋まり具合
外食業 50,000人 49,290人 98.6%
飲食料品製造業 133,500人 101,922人 76.3%
介護 126,900人 81,436人 64.2%
工業製品製造業 199,500人 63,032人 31.6%

出どころ:出入国在留管理庁「特定技能1号の受入れ見込数及び在留者数について」(2026年7月末時点・速報値)。受け入れ見込み数は2029年3月までの合計です。

POINT

外食の枠はほぼ埋まり、海外からの新しい受け入れは止まっています。一方で、同じ「食」の仕事でも飲食料品製造には、まだ3万人分ほどの余地があります。外食で積み上げた紹介の経験は、食品を作る現場への営業に生かせます。

制度の変更一つで営業先は無くなる。外食以外の営業先を早めに持つ

外食の受け入れ停止で一番影響を受けたのは、取引先の多くが外食だった紹介会社です。主力の営業先が、制度の変更一つで一度に無くなりました。どれだけ電話のやり方を磨いても、制度が止まれば営業先そのものが消えます。

特定技能は、分野ごとの枠と制度の運用で、営業先の広さが決まります。一つの分野に偏るほど、制度の変化に弱くなります。外食が止まったことは、外食以外の営業先を早めに持っておく必要がある、というはっきりした合図です。広げる先として、まず次の3つの状況を押さえておきます。

外食

海外からの新規は原則停止。飲食店の多くは、すでに外国人を雇っている

「何が違うか」を言えないと、話が始まらない

飲食料品製造

停止していない。外国人労働者が一番多いのは製造業

外食で積んだ「食」の経験が生きる。ただしアポは取りにくい

介護

停止していない。枠の埋まり具合は6割台で、まだ余地がある

強みがあれば、アポが商談につながりやすい

外国人労働者の数を産業別に見ると、製造業が63万5,075人(24.7%)で一番多く、宿泊業・飲食サービス業は31万9,999人(12.4%)です(2025年10月末時点、厚生労働省「外国人雇用状況」の届出)。製造の現場は、もともと外国人が多く働いている場所です。

外食の側にも、知っておきたい事情があります。ハローワークの求人では、記載のある求人のうち、食堂・レストランの9割前後が「外国人雇用実績あり」と書いています(2026年8月時点。欄が空いている求人も7割ほどあります)。外食は、外国人をすでに雇っている前提で電話する相手です。介護へ広げるときの当て方は「介護施設向け人材紹介の営業攻略法」にまとめています。

「いつもと同じ紹介の電話」と思わせない入口を一つ持つ

受け入れ企業から見ると、外国人材の紹介の電話はどれも同じに聞こえます。外食も飲食料品製造も、紹介会社や支援機関からの電話を何社分も受けています。大事なのは、「いつもと同じ電話、いつもと同じ会社だ」と思わせないことです。極端に言えば、同じだと思われなければ、入口は何でも構いません。

一番強い入口は、受け入れ企業と同じ仕事を、紹介会社が自分でもしていることです。たとえば自社でも飲食店を運営している紹介会社なら、「同じ飲食店を運営されている会社に限って紹介しています」と言えます。「うちの仕事を分かっている会社だ」と受け取られ、同業として名乗った電話は、ほかの外国人材の紹介の電話と比べて3倍以上アポになりました。ただ、この入口はどの会社にもあるものではありません。同業でない会社は、次のような入口を一つ選びます。

OK 人物の姿で言う

外食なら「指示待ちではなく、忙しい時間ほど落ち着いて動ける」「感情的にならず誠実」「小さな変化に気づける」「続ける力があって明るい」。仕事の場面に合わせた言葉で、どんな人かを伝える

OK 想いと実績を一言に絞る

なぜこの仕事をしているのかという想いを先に置き、人物の姿と実績を短く添える。長い提案より、短い言葉の方が電話では通った

OK 今いる人に足せる人で言う

「外国人はもういる」と言われたら、永住権を持つ人や、外国人のまとめ役・教育を任せられる人も紹介できる、と伝える。今の受け入れに足せる人なら、話が続く

NG 長い提案型で話す

課題の整理、求める人物の設計、定着が良くなった事例と、提案を順に積み上げる。中身は正しくても、電話では長すぎて最後まで聞いてもらえない

求人票の仕事内容から「御社で働きたい人がいる」という電話の理由を作るやり方も、外食・飲食料品製造でそのまま使えます。詳しくは「外国人材の紹介会社のテレアポ攻略法」を、「外国人は不可」と断られたときの受け止め方は「外国人材の紹介で「外国人」を理由に断られるとき」を見てみてください。

小さな店は費用で断る。正社員がいる規模に当てる

外食に電話していると、すぐに気付くことがあります。個人の居酒屋のような小さな店は、紹介の話をほとんど必要としていません。「少しだけアルバイトが欲しい」という店が多く、紹介料を払う余地がないからです。実際に、「費用がかかるものは不可」という断りは、小さな会社に集まっていました。

反対に、正社員がいる規模の会社に電話する分には、外食だからといって特別に難しいわけではありません。ほかの業種の会社に電話するのと、反応はほとんど変わらないのです。営業リストは、最初から規模で切っておきます。

営業先 営業リストの絞り方の例 理由
外食 従業員30〜50名以上。正社員か契約社員の求人を出している会社 小さな店は費用で断る。正社員がいれば、紹介料を払う余地がある
食品製造 従業員50〜100名以上。大量に作っている工場 小さな工房や職人の店は、外国人の受け入れが難しい
外す先 アルバイトだけの募集、個人の店、すでに取引のある会社 費用で断られるか、アポになっても商談で止まる

規模で切ると、営業リストの数は減ります。それでも、話のできる相手に電話を集める方が、結果は早く出ます。

飲食料品製造には「特定技能なら紹介できる」と言い、大量生産の工場に当てる

外食からの広げ先として一番近いのが、飲食料品製造です。ただし、外食と同じ電話では通りません。つながった後にアポになる割合は、外食の方が飲食料品製造の2倍近くありました。飲食料品製造は、外食より一段難しい営業先だと考えて準備します。

電話をすると、食品を作る会社からは次のような答えが返ってきます。

「特定技能の支援機関が7社あるので、これ以上は増やしません」
「技能実習生から特定技能へ育てているので、特定技能からは採っていません」
「今年はもう特定技能をたくさん採ったので、今の業者からも止めています」

大きな食品工場ほど、すでに受け入れの仕組みを持っています。技能実習の3年を終えて特定技能に移る人が多く、監理団体や支援機関もすでに入っていることがほとんどです。その一方で、大きな工場では、特定技能の人をまとまった人数で受け入れる例もあります。仕組みがある会社だからこそ、今の仕組みに何を足せるかを言えるかどうかが分かれ目です。

名乗り方にも気をつけます。食品加工の現場は、ビザの都合で普通の派遣が入りにくい場所です。「人材派遣の会社です」と名乗ると、それだけで対象外として扱われます。

NG 「人材派遣」として名乗る

ビザの都合で派遣が入りにくい現場だと分かっている相手には、最初から合わない話に聞こえ、対象外にされる

OK 「特定技能なら紹介できる」と名乗る

派遣では入れない現場でも、特定技能なら受け入れられることを相手は知っている。それが話を聞く理由になる

当てる工場も選びます。大量生産の食品加工は、外国人が働きやすい現場です。一方で、こだわりのパン屋のような職人の仕事は、外国人には難しいことが多く、アポになっても続きません。製造業の会社に電話するときの、決める人の見つけ方は「技術者派遣の製造業向けテレアポ攻略法」も参考になります。

アポは「今募集している会社」だけ。外国人の採用を仕切る人事につなぐ

外食でも飲食料品製造でも、アポの線は一本です。今、人を募集しているかどうか。外国人への温度感は問いません。「今は募集していない」と言われたら、アポにしません。この線を守るだけで、商談の場で「人手不足ではなかった」と分かるずれを防げます。

もう一つ大事なのが、電話をつなぐ相手です。食品製造では、現場の方とのアポは商談になりにくい傾向がありました。現場の方には採用を決める権限がなく、外国人の採用は人事が仕切っている会社が多いからです。アポになった相手を見ても、総務・人事・管理の担当者が一番多く、次が社長・役員で、店長や現場の責任者は少数でした。

アポを商談につなげるための決めごと

募集が無ければアポにしない

「募集していない」と言われた先は、温度感が良くてもアポにしない。この線を、電話をかける人全員で守る。

人事・総務につなぐ

食品製造は、現場の責任者ではなく、外国人の採用を仕切る人事・総務を呼ぶ。現場の方とのアポは商談になりにくい。

案内は2日前と前日に

オンラインの商談に来ない理由のほとんどは、案内のメールを見ていないこと。2日前に案内し、前日までに電話で確かめる。

つながらなければ伝言を頼む

前日までに2回電話してもつながらなければ、受付に「明日打ち合わせの予定なので、メールを見ていただくよう伝えてください」と頼む。

うまくいった例・いかなかった例

ここからは、外食・飲食料品製造への特定技能の紹介の電話で、何をして、何が分かったかを紹介します。特定を避けるため、会社名は伏せ、どんな会社だったかだけを書いています。

うまくいった例

同業として名乗り、電話する会社の規模を絞った

状況

自社でも飲食店を運営している紹介会社が、外食と飲食料品製造へ特定技能の人材を紹介していた。電話をすると、「費用がかかるものは不可」という断りが多かった

やったこと

名乗りで飲食店を運営していることを最初に言い、「同業の会社に限って紹介している」と伝えた。費用の断りが小さな会社に集まっていたので、従業員100名以上に絞り、外食と飲食料品製造の割合も決めた

分かったこと

同業として名乗ると、外国人材の紹介の電話としては、はっきり高い割合でアポになった。費用の断りは小さな会社に集まっていて、規模で切れる。入口と規模の両方をそろえると、話のできる相手に電話を集められる

いかなかった例

募集していない飲食店のアポが、商談で止まった

状況

外食に特定技能の紹介の電話をしていた。募集しているかどうかを、電話のどこでどう確かめるかをトークに決めていなかった

やったこと

商談に行くと、「売上の状況から、紹介料と本人の給与を出すのが難しい」(飲食店)、「人手不足ではなく、制度と求めるものが合わない」(居酒屋)という理由で話が止まった

分かったこと

人が足りていない店でなければ、紹介は検討されない。このあと、「募集が無い場合はアポにしない」とトークの決まりに書き入れ、電話をかける人全員で守る形にした

2つの例から言えること

どちらも、話し方より先に「誰に電話し、どこで線を引くか」を直しています。外食・飲食料品製造への紹介は、入口・規模・アポの線をそろえるだけで、商談になるアポが増えていく営業です。

まとめ:外食の停止は、営業先を見直す合図です

外食の特定技能の受け入れ停止は、外食に偏った紹介会社にとって大きな変化です。ただ、それは営業先を見直す合図でもあります。押さえるのは次の6つです。

外食・飲食料品製造への特定技能の紹介営業で押さえること

  • 外食は海外からの新規が原則停止。飲食料品製造・介護にはまだ枠がある
  • 一つの分野に偏るほど、制度の変化に弱い。外食以外の営業先を早めに持つ
  • 「いつもと同じ紹介の電話」と思わせない入口を一つ持つ
  • 小さな店・職人の店は外し、正社員がいる規模・大量生産の工場に当てる
  • 飲食料品製造には「特定技能なら紹介できる」と名乗る
  • アポは今募集している会社だけ。外国人の採用を仕切る人事・総務につなぐ

制度は、これからも変わり続けます。営業先を一つの分野に預けず、分野ごとの枠と運用を見ながら、電話の入口と当てる先を組み替えていく。それが、外国人材の紹介の営業を止めないための一番の備えです。

よくある質問

外食業の特定技能は、今も紹介できますか?
海外から新たに人を呼ぶための在留資格認定証明書の交付申請は、2026年4月13日以降に受け付けた分が原則として交付されなくなりました。今働いている人の在留期間の更新は対象外で、飲食料品製造業は止まっていません(2026年10月時点、出入国在留管理庁)。細かい扱いは変わることがあるので、営業の前に出入国在留管理庁の最新の案内を確かめてください。
外食の受け入れ停止のあと、どの分野に営業すればよいですか?
まだ受け入れの枠が残っている分野が候補です。2026年7月末時点で、外食業の埋まり具合は98.6%ですが、飲食料品製造業は76.3%、介護は64.2%です。外食で積んだ「食」の経験を生かすなら飲食料品製造が近く、強みがあるなら介護も候補になります。一つの分野に偏らず、複数の営業先を持っておくことが大切です。
飲食料品製造の会社には、誰に電話すればよいですか?
外国人の採用を仕切っている人事・総務の担当者です。食品製造では、現場の責任者とのアポは商談になりにくい傾向があります。現場の方には採用を決める権限がないことが多いためです。また、名乗るときは「人材派遣」ではなく「特定技能なら紹介できる」と伝えると、派遣が入りにくい現場でも話を聞いてもらいやすくなります。

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