訪問介護・ケアマネ事業所への電話は数より相手選び|在宅介護を開拓する方へ

この記事でわかること
- 訪問介護が営業リストの多くを占めるのに、かけてもなかなか取れない理由
- 訪問介護を2つの質問で見分け、ケアマネには収入の話から法人へつなぐやり方
- 「訪問系」でまとめず、商材に合う種類を選び直し、事務所にいる時間を狙うコツ
このコラムは、次のような方に向けて書いています。
介護の施設・事業所の一覧を取ると、一番多く並ぶのが訪問介護とケアマネ事業所(居宅介護支援事業所)です。数が多いので、営業リストを上から順にかけていくと、自然とこの2つにかける時間が一番長くなります。それなのに、かけた時間ほどアポが増えない。在宅の事業所に電話で売る会社の多くが、ここで行き詰まります。
この記事は、介護ソフト・機器・採用の仕組みなど、在宅の事業所に電話で売る会社の営業担当・責任者に向けて書いています。訪問系の事業所は、数で押すより「どこに、何の話で、だれ宛てにかけるか」を選ぶ方が結果が出ます。介護の施設・事業所への電話の基本(種類ごとの呼ぶ相手・つながる時間・忙しい時期)は「介護・障害福祉のテレアポ攻略法」にまとめているので、あわせて読んでみてください。
前提:在宅の事業所は「数が多い所」から順にかけない
訪問介護やケアマネ事業所で取れないのは、話し方が下手だからではありません。在宅の事業所は人が少なく、日中は利用者の家を回っていて事務所にいません。1つの事業所が使えるお金も小さい。入所の施設と同じ電話では取れなくて当然です。
同じ「在宅」でも、種類によって数の動きも運営する法人の形も違います。
| 種類 | 全国の数 | 4年の動き | 運営する法人 |
|---|---|---|---|
| 訪問介護 | 約3.7万 | 少しずつ増えている | 株式会社などが7割を超え、小さい事業所が多い |
| 居宅介護支援(ケアマネ事業所) | 約3.7万 | 4年で約2,000減った | 株式会社などが半分。社会福祉法人・医療法人も多い |
| 訪問看護 | 約1.8万 | 4年で約1.5倍に増えた | 株式会社などが7割近く。医療法人も2割ほど |
出どころ:厚生労働省「令和6年介護サービス施設・事業所調査」(2024年10月1日現在)。4年の動きは2020年との比較。
訪問介護とケアマネ事業所は、営業リストの大きな割合を占めます。けれども営業リストの量と、取れる量は一致しません。数が多いことが得になるのは、相手の事業所の大きさと、売る物の形が合っているときだけです。
また、訪問介護とケアマネ事業所を同じ事務所で運営する法人は多く、1つの電話番号に複数の事業所がひもづくのが普通です。営業リストの作り方は「介護の営業リストの作り方」にまとめています。
POINT
訪問介護は、小さい事業所でも払える商材かどうかで決める
訪問介護は、在宅の事業所の中でも一番小さい会社が多い種類です。東京商工リサーチの調べでは、2025年の介護事業者の倒産は176件と過去最多で、そのうち訪問介護が91件と3年続けて過去最多でした。倒産した事業者の8割ほどは従業員10人未満です(2026年1月9日公表)。訪問介護員が足りないと答えた事業所も8割を超えています(介護労働安定センター「令和6年度介護労働実態調査」)。
人も少なく、余裕もない事業所に、事業所ごとにまとまった金額がかかる物を売ろうとすると、つながっても決まりません。業務の仕組みと採用の仕組みという性質の違う2つの商材で、訪問介護にかけた結果を見ると、どちらも事業所の種類の中で訪問介護が一番低く、入所の施設の4分の1ほどにとどまりました。営業リストの半分近くを占めていたのに、一番取れなかった種類です。
ただし、ここから「訪問介護は取れない」と言い切ることはできません。取れなかった2つの商材は、どちらも事業所ごと・1人ごとにまとまった金額がかかる物でした。小さい事業所でも無理なく払える金額や形の商材なら、数の多さはそのまま強みになります。決めるのは「訪問介護かどうか」ではなく、自分たちの商材が、小さい事業所でも払える形かどうかです。
NG 営業リストの並びのままかける
一覧の順にかけ、件数の多い訪問介護に一番時間を使う
→ かけた時間の割にアポが少なく、「訪問介護は取れない」と結論を急いでしまう
OK 商材の形を見てから並べる
小さい事業所でも払える形なら訪問介護を前に、事業所ごとの金額が重いなら入所の施設やケアマネ事業所を前にし、訪問介護は見分けてから当てる
→ 同じ時間で、話を聞いてもらえる相手に多く当たれる
事業所ごとに金額がかかる商材なら、入所の施設を先にかけ、訪問介護は後ろに回すのが基本です。そのうえで、訪問介護の中から「話が通る事業所」を見分けて当てていきます。
訪問介護は2つの質問で「手間の話」か「金額の話」かを見分ける
訪問介護の中にも、話を聞いてくれる事業所はあります。見分け方としては、電話の早いうちに次の2つを聞くやり方があります。介護の業務の仕組みに詳しい売り手が使っている見立てで、どちらかに当たれば話が通りやすい、というものです。
特定事業所加算を取っているか
取っている事業所は、ヘルパーへの指示や報告、会議・研修の記録など、サービス提供責任者の確認の仕事が重い
「手間が減る」話が通る
訪問介護を何か所運営しているか
3か所以上を運営する法人は、事業所ごとにかかる月々の費用が積み上がっている
「まとめて安くなる」話が通る
どちらにも当たらない
加算を取っておらず、1か所だけを運営している小さい会社
更新の時期だけ聞いて残す
特定事業所加算は、人の配置や研修・会議・記録の決まりを満たした事業所が取れる加算です。取っている事業所ほど、サービス提供責任者が登録事項やケアのあとの申し送りの確認に時間を取られるので、「手間」の話が届きます。
事業所の数を聞くのは、お金の話の入口を探すためです。1か所ごとに月々の費用がかかる仕組みは、事業所が増えるほど負担が積み上がります。3か所以上なら「法人でまとめれば1か所あたりが下がる」話になり、単価だけの比べ合いを避けられます。
どちらにも当たらない1か所だけの会社には無理に話を進めず、次の更新の時期だけを聞いて残します。
2つの質問へつなぐ言い方の例
この言い方には型があります。まず「すでに何かお使いだと思いますが」と前に置きます。これを言わないと「間に合っています」で切られます。次に、よくある困りごとを1つだけ出します。3つ並べると聞き流されます。最後は説明で終わらず、相手が答えやすい質問で返します。訪問系の事業所でもタブレットやスマホで記録を入力している所は半分を超えていて(介護労働安定センター「令和6年度介護労働実態調査」)、「何も入っていない」前提で話すと、その時点で外れます。
ケアマネには「担当できる件数=収入」の話を。決めるのは法人
ケアマネ事業所は、介護の施設ではありません。利用者がどのサービスを使うかを決め、ケアプランを作り、近くの訪問介護やデイサービスなどにつなぐ所です。1〜5人ほどの小さい事業所が多く、管理者のケアマネも日中は利用者の家を回っています。
ケアマネの仕事は、担当している利用者の数がそのまま事業所の収入になります。2024年度の介護報酬改定では、国の連携の仕組みを使うなどの条件を満たすかどうかで、高い単価のまま担当できる件数が変わりました。だから、「効率化」ではなく「担当できる件数=収入」の話なら聞いてもらえます。
NG 効率化で話す
「事務の手間が減ります」「作業が楽になります」。ケアマネは自分のやり方で回しているので、「うちは間に合っている」で終わる
OK 収入で話す
「連携の仕組みを使うかどうかで、高い単価のまま担当できる件数が変わります」。事業所の売上の話になり、手を止めて聞いてもらえる
業務の仕組みを売る商材で、ケアマネ事業所に収入の話で当たると、同じ営業リストの訪問介護の3倍以上の割合でアポになり、デイサービスよりも取れました(1つの商材での記録です)。数は減っていても、入口さえ合えば手応えのある相手です。
ただし、話を聞いてもらえることと、決めてもらえることは別です。ケアマネ事業所は小さく、ソフトや機器などの決裁は法人にあることが多いのです。ケアマネからは「私の一存では決められない」という言葉がよく返ってきます。ここで終わりにせず、法人の話に広げる入口として使います。
法人のほかの事業が分かれば、1か所の話が「法人の事業所をまとめる話」に変わります。障害福祉も運営していれば、高齢と障害をまとめて見直す話にもつなげられます。社会福祉法人などで、だれがいつ決めるのかは「介護の営業:だれが決め、いつ予算が付くか」にまとめています。
「訪問系」でまとめず、商材が使われる場面から種類を選び直す
訪問介護・ケアマネ事業所・訪問看護・定期巡回などは「訪問系」とひとまとめにされがちですが、利用者の様子・困りごと・決める人はまったく違います。商材が使われる場面を先に考え、合う種類を選び直すと、結果が大きく変わります。
たとえば、呼び出しの仕組みのように利用者自身が使う物は、話せて、タブレットを使える利用者がいる所でなければ使い道が浮かびません。入所の施設では介護度の高い利用者が多く、話が進みませんでした。そこで「話せる利用者がいて、夜間の呼び出しがある所はどこか」で選び直し、日中と夜間に定期的に回る定期巡回の事業所を最優先にしたところ、最初の週からアポが出始めました。
| 商材の性質 | 合いやすい種類 | 合いにくい相手 |
|---|---|---|
| 利用者が使う物(呼び出し・見守りなど) | 話せる・タブレットを使える利用者がいて、夜間の呼び出しがある定期巡回 | 介護度の高い入所の施設。夜間の呼び出しが月に1〜2回の所、夜は常駐していない所 |
| 採用の仕組み・人材 | 採用の悩みが強く、所長が金額まで決める訪問看護 | 採用を本社で一括して決める大手 |
| 事業所ごとに金額がかかる業務の仕組み | 入所の施設、収入の話が通るケアマネ事業所、加算を取る・複数を運営する訪問介護 | 日中は全員が訪問に出ている訪問看護、1か所だけの訪問介護 |
| 外国人材の紹介 | 2025年4月から、条件付きで訪問系も対象に | 条件(研修の修了・実務の経験など)を満たす人がいない募集 |
同じ訪問看護でも、商材によって結果は正反対になりました。採用に悩む訪問看護には、つながればアポになる割合がはっきり高かった一方、業務の仕組みでは日中に事務所にだれもおらず、ほとんど通電しませんでした。医療保険と介護保険の両方が動く訪問看護では、売る物が医療保険の請求にどこまで対応しているかも、かける前に確かめておく必要があります。
外国人材の紹介では、訪問系を営業リストから外すのが一般的でした。2025年4月からは、初任者研修の修了や1年以上の実務経験などの条件付きで、外国人も訪問系のサービスに従事できます(厚生労働省「外国人介護人材の訪問系サービスへの従事について」)。前の決まりのまま外しているなら、見直す価値があります。
事務所にいる時間を狙い、外れたら資料を先に送っておく
訪問介護・ケアマネ事業所・訪問看護は、日中は利用者の家を回っていて、事務所にいる時間が短い種類です。時間を決めずにかけると、結果で一番多くなるのは「不在」です。訪問看護の採用の案内では、実際に一番多かった結果が不在でした。
だから、在宅の事業所には「事務所にいる時間」にかけるのが基本です。目安は、出かける前の朝、昼の戻り、夕方の戻りの3つです。
朝一
出かける前の時間
訪問看護は朝9時過ぎがつながりやすく、そのあとは訪問に出てしまう。訪問介護も午前の早い時間に寄せる
昼
訪問の合間の戻り
12〜13時は事務所に戻る人がいる。訪問看護の所長から「昼ならつながりやすい」と言われることもある
夕方
訪問からの戻り
ケアマネは夕方の戻りが狙い目。夜や土日しか時間が取れない管理者には、携帯で時間を決めてかける
時間を合わせても外れる先はあります。不在なら戻りの時間を聞き、その時間を再架電の日時として営業リストに入れます。受付の方に「ちょうど戻られました」とつないでもらい、そのままアポになったこともあります。「全員訪問に出ています」という先には、FAXやメールで資料を先に送ってからかけます。「朝8時〜8時半しかいない」ような先は、いったん後回しで構いません。追いかける先を選ぶことも、相手選びのうちです。
時期では、毎月1〜10日の請求の時期を外すのは入所の施設と同じです。ケアマネは月初に給付管理と実績の突き合わせが重なり、特に忙しくなります。訪問看護の時間の目安は、病院・クリニック向けの「病院・クリニックのテレアポ攻略法」でも触れています。
詳しい相手に崩されない言い方と、アポにする線を決めておく
在宅の事業所の管理者やケアマネは、制度と自分の仕事の流れにとても詳しい相手です。言い過ぎた一言や、仕事の順番を外した説明は、すぐに見抜かれます。たとえば「連携の仕組みでFAXが全部なくなります」と言えば、「電子にできるのはやりとりの一部だけ」と返されて、その場で信用を失います。
話す中身と同じくらい、言わないこと・アポにしない線を先に決めておきます。
在宅の事業所にかける前に決めておくこと
できることを言い過ぎない
「全部なくなる」「必ず取れる」と言い切らない。詳しい相手には一言で崩され、その先を聞いてもらえない。
他社を下げない
「今お使いの物ではできません」と言わない。相手が選んだ物を否定すると、相手の判断を否定したことになる。
仕事の順番に沿って話す
機能の名前ではなく、相手の仕事の流れのどこで、どの手間が減るかで話す。順番を外すと「分かっていない会社」と見られる。
時間をもらえた先だけアポにする
「名刺交換だけ」のアポは取らない。20〜30分の時間をもらえた先だけをアポにし、「時間は取れない」先は次の機会に回す。
最後のアポの線は特に大事です。名刺交換だけの短いアポを重ねても、見積りまで進むものはごくわずかでした。日時が決まったあとに「当日は画面も見ていただきながら、20〜30分ほどいただけますか」と、長さまで確かめておきます。
断りの多くは「時期」の話でもあります。業務の仕組みを売る電話では、「変えるつもりがない」「入れ替えたばかり」という断りが、合わせて2割近くありました。「次のご更新はいつ頃になりそうですか」とだけ聞き、その少し前にかけ直す日を残します。次の切り替えの時期に思い出してもらうための電話と考えます。補助金や報酬改定の日程で時期を決める考え方は「介護の補助金・報酬改定と電話の時期」にまとめています。障害福祉の相談支援のように、行政の承認が先に来る仕事への話し方は「障害福祉の事業所への営業」で取り上げています。
うまくいった例・いかなかった例
在宅の事業所への電話で、何をして何が分かったかを紹介します。会社名は伏せ、商材の種類だけを書いています。
利用者が使う呼び出しの仕組みを、定期巡回に絞り直した
状況
映像で話せる呼び出しの仕組みの案内。展示会で集めた古い名簿にかけてもほとんど取れず、入所の施設に当てても、介護度の高い利用者が多く使い道が浮かばなかった
やったこと
「話せる利用者・タブレットを使える利用者がいて、夜間の呼び出しがあるのはどこか」で種類を選び直し、定期巡回の事業所を最優先の電話先にした
分かったこと
最初の週からアポが出て、その後の2週間のアポの大半が定期巡回だった。カメラに抵抗のある管理者はほとんどいなかった。「訪問系」でまとめず、商材が使われる場面から種類を選ぶと結果が変わる
ケアマネ事業所に、効率化ではなく収入の話で当たった
状況
介護の業務の仕組みの案内。効率化の話では、ケアマネから「うちは間に合っている」と言われることが多かった
やったこと
国の連携の仕組みを使うかどうかで、高い単価のまま担当できる件数が変わる、という収入の話を入口にした
分かったこと
同じ営業リストの訪問介護の3倍以上の割合でアポになり、デイサービスよりも取れた。ケアマネには「楽になる」より「収入が変わる」が届く
営業リストの半分近くを占める訪問介護に、並びのままかけた
状況
介護の業務の仕組みの案内で、営業リストの半分近くが訪問介護だった
やったこと
ほかの種類と同じトークで、営業リストの並びのまま訪問介護にかけた
分かったこと
種類の中で一番取れず、入所の施設の4分の1ほどだった。小さい事業所が多く、1か所ごとの金額が重かった。訪問介護は、払える形の商材か、加算や事業所の数で見分けてから当てる
3つの例から言えること
まとめ:在宅の事業所は「数」ではなく「相手選び」で決まります
訪問介護とケアマネ事業所は、数が多い一方で、小さく、人が事務所にいない相手です。押さえるのは次の6つです。
訪問介護・ケアマネ事業所への営業で押さえること
- 営業リストの量と取れる量は一致しない。数の多い種類から順にかけない
- 訪問介護は、小さい事業所でも払える商材かどうかで、前に置くか後ろに回すかを決める
- 訪問介護には「加算を取っているか」「何か所運営しているか」を聞き、手間の話か金額の話かを見分ける
- ケアマネには収入の話で入り、法人のほかの事業を聞いて法人の窓口へつなぐ
- 「訪問系」でまとめず、商材が使われる場面から合う種類を選び直す
- 事務所にいる時間にかけ、外れたら戻りの時間を聞くか、資料を先に送っておく
在宅の事業所への電話は、たくさんかけた会社が勝つ営業ではありません。相手の大きさと仕事の流れを知り、聞いてもらえる相手を選んでからかける。それが一番の近道です。
よくある質問
訪問介護の事業所に営業電話をしても、なかなかアポにならないのはなぜですか?
ケアマネ事業所(居宅介護支援事業所)に営業するときのコツはありますか?
訪問介護・訪問看護・ケアマネ事業所に電話がつながりやすい時間帯はいつですか?
介護・福祉業界での支援事例は「介護・福祉の営業代行実績」にまとめています。
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このような状況でしたら、
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- 訪問介護・ケアマネ事業所・訪問看護など、在宅の事業所の新規開拓を始めたい
- 営業リストの多くが訪問介護なのに、かけてもアポにならない
- ケアマネ事業所と話せても、法人の決める人までたどり着けない
- 自社の商材に合う事業所の種類を選び直し、営業リストを作り直したい
- 外注したいが、本当に結果が出るのか・情報の扱いは大丈夫か不安
(外に任せるべきか、自社で直すべきかも含めて整理します)